1999年5月 北陸攻略(2)

明けて5月2日。とんび氏が金沢城内を見物し
拙者は堀越しに外からの城を写真に撮影。今日はこれから金沢を発ち
福井へと南下して各地の観光地(もちろん城跡も)を見て廻る予定。
とんび氏は夕方に小松空港から羽田へと帰るので、それまでが観光の時間だ。
とりあえず、飛行機のチケットだけは確保しておこうという事で
金沢西ICから北陸自動車道で小松ICまで向かい、空港カウンターへ。
帰宅時間に上手く合う飛行機を決め、航空券を購入したとんび氏。
せっかく小松空港まで来たんだから、ついで(と言っては何だが)に
石川県立小松航空プラザにも立ち寄った。去年の中部旅行でも見物した場所だが
色々な航空機が展示され、しかも入場無料というのが嬉しいので再び入館。
ちょうどこの時には期間限定で国内に1機だけ保存されている珍機
Do(ドルニエ)28型プロペラ機が展示されておりました。
石川県立小松航空プラザ
石川県立小松航空プラザ

これがそのDo28型機。
何だか丸っこい機体が「おちゃめ」な感じ。
色といい、形といい、連想されるのは…ドラえもん?!

小松空港を離れ、片山津ICから再度北陸自動車道に入る。
このまま一気に福井県へと進み、福井ICから国道158号線に突撃、
目指すは国の特別史跡に指定されている一乗谷朝倉氏遺跡だ。
足羽川の支流、一乗谷川に沿って戦国の城下町が栄え
堅固な要塞都市が築かれた場所は、もちろん一条谷城を中心としている大史跡。
朝倉氏が5代約100年に渡って本拠にした歴史は、織田信長の越前侵攻で灰燼に帰したが
現代では発掘調査が重ねられ、見事に史跡整備が行われている。
武家屋敷や寺町は視覚的に分かるような形態が整えられ、
城跡は荒れる事無く遺構が整地されているので、歴史好きな拙者ととんび氏は
色々な驚きや興奮を覚えながら見学を楽しんだ。
昔の居館址には庭園があり、この庭園は国の特別名勝にも指定されている。
史跡の南、一乗谷川の源流には小柄ながら清らかな一条谷滝も。
この滝は剣豪・佐々木小次郎が「燕返し」の秘技を編み出した場所という伝承が。
歴史には興味がない方でも、この庭園や滝を眺めるのは
十分に価値がある事なのではないでしょうか?
国特別名勝 諏訪館庭園
国特別名勝 諏訪館庭園

一条谷朝倉氏遺跡の中枢部、
朝倉氏の諏訪館跡にある名園。
枯山水庭園と池泉回遊式庭園を融合させ
まさに幽玄の世界を表現した美しさには
思わず時間を忘れて目を奪われます。
これ以外にも、遺跡内には庭園が沢山ありますぞ。

一条谷の見学に満足した我々は、なおも東へ赴いて大野市を目指します。
大野もまた、戦国期〜江戸時代にかけて栄えた城下町。
ひっそりとした山里の町に向かう国道158号線は、
のどかな山並みの間を縫って走り、時折橋やトンネルを越えていきます。
新丁トンネルを抜けたところから開けるのが大野市街地。
そんな市街地の一番西端には戍山城があるというのですが…。
20〜30分探し回ったものの、どこが入口か見つからない。
まぁ、無名の小さな城に引っかかっていては時間の無駄なので
諦めてメインの越前大野城へと方向転換しました。
別名を亀山城とも言うこの城は、織田家の部将・金森長近が築き
度重なる城主の交代を経て、江戸時代には土井家歴代の城となった由緒あるもの。
土井家は徳川譜代の重臣で、幕府の老中を度々務めた事がある家柄でござる。
当然、大野の城は幕閣の名家に相応しい大規模なもので
大野市街地に独立する丘陵を全山に渡り城砦化させ、石垣で厳重に囲っております。
昭和になって再建された天守は、古建築とは異なる構造で正しい復元ではないものの
それでも名城たる大野城の勇姿を想像させるのには十分な風格。
公園として市民の憩いの場となり、名城の跡として観光客も多く訪れる大野城。
もちろん、拙者ととんび氏も城跡の散策で楽しませて頂きました。

さて、大野からは北へと転進。大野市の北にある勝山市へと向かいました。
確か勝山にも城跡があったはず…と思いつつ、今度は国道157号線を走れば
さすがに隣町だけあって、すぐに勝山市へと入ります。
勝山は越前大仏で有名な町なんですが、史跡好きの我々としては
やはり城が第一目標であります。ところが、そんな拙者らの目に入ってきたのは
どー――見てもウソっぽい観光天守閣。何だありゃ、姫路城のパクリか?!
しかも石垣(風のコンクリート台座)には龍か何かの彫り物まで…。
我々の士気は一気に0になりました。あ、あんなの城でも何でもない (TへT)
馬鹿デカい天守建てりゃ良いってもんじゃないぞ!
だいたい何なんだ、石垣に彫刻って!!そんなのある訳ないじゃないか!!!
どう考えても非常識。こんなの城跡として認めたくないわぃ。
そんなワケで、勝山城は見物する価値なしと判断して却下しました。
当然、「大天守」の頁にも掲載しておりません!

勝山まで来てこの有様ではやってられないので、
もっとまともな観光地を見よう、と思い立ち
平泉寺白山神社に参拝する事としました。ここは良かった。
北陸の名峰として有名な白山を御神体とする白山神社ですので、
もちろん、鳥居をくぐって本殿へと歩む参道の向こうには白山が控えています。
しかもこの参道は「日本の道100選」の一つに数えられる風情ある道ですし
境内には名勝の旧玄成院庭園も。加えてここは越前僧兵の拠点・平泉寺城の跡地。
北陸有数の神社、庭園、そして歴史ある城跡をまとめて見物できたので
何とか勝山まで来た甲斐はあったかな、と納得した次第であります。

時刻は既に午後3時過ぎ。そろそろ小松空港に戻らないと
とんび氏が東京行きの飛行機に乗り損ねるハメになってしまいます。
越前の大河・九頭竜(くずりゅう)川に沿って国道416号線・福井県道17号線を爆走し
勝山市から一気に丸岡町へと下ってきました。丸岡ICから北陸自動車道に入り
小松へと向かうのですが、待て待て、丸岡といえば現存天守で有名な丸岡城がある!
茅ヶ崎に住んでいて、遠路はるばる丸岡まで来る機会なんてそうそうないんだし
ここまで来て古建築の残る城を素通りするなんて…我々は出来ません (^^;
時間が押し気味ながら、しっかりと城跡を見物いたしました。
拙者は去年も来たものの、改めて見てみると風格ある建物ですなぁ。
やっぱり、歴史ある場所は何度見ても良いという事なんですね。
国重文 丸岡城天守
国重文 丸岡城天守

西日を背に受けた丸岡城の天守。
小さな天守なんですが、こうして仰ぎ見ると
迫力ある大きさで迫ってくるようです。
野面積みの荒々しい石垣、
重厚感ある下見板貼りの建物、
世にも珍しい石瓦を葺いた屋根の組み合わせは
無骨ながらそれだけ深みのある存在感ですね。

丸岡城を後にして、今度こそ小松空港へ急行。
丸岡ICから今朝通った北陸自動車道を遡り、片山津ICまで戻り
午後5時ちょっと前に小松空港のロビーに滑り込みました。
とんび氏の乗る飛行機はちょうど搭乗手続中、ベストなタイミングでした。
茅ヶ崎へと帰るとんび氏を見送り、ここからは1人の旅路となります。
昨日泊まった金沢の宿はとんび氏が手配していたものの
優雅な一人旅気分でいた拙者は、これ以後の予定は特に考えていなかったため
今夜は宿も何も全然決めていませんでした。
さて…これからどうするかなぁ?どこ行くかも決めてないし??
風の向くまま気の向くまま、明日・明後日の行き先を考えれば
ふむ、せっかく北陸まで来ているのだから、
地図に載っている城跡をしらみつぶしに攻めていくか!と決定。
(やっぱりそれかい!というツッコみはご勘弁を)
旅の起点を敦賀に定め、明日はそこから順に北へと動く事にしました。
宿はまぁ、特に決めなくてもいいかぁ。車中泊で十分だし。
そうなりゃ道筋も自ずと決まるというもの。
またもや北陸自動車道で移動し、敦賀の手前まで向かいます。
今日何度も通った高速道路を今一度南下、敦賀ICの直前にある
杉津PAに車を停めて今日の行程終了。夜明けと共に、敦賀市内の観光です。




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