1999年5月 北陸攻略

旅行期間:1999年4月30日(金)夜出発〜5月5日(水)早朝帰着

主な滞在地
5月1日(土):
日中城跡・称名谷・神岡町内各所・夫婦滝・常虹滝・金沢夜景
5月2日(日):

金沢城址・石川県立航空プラザ・一乗谷遺跡・一乗谷滝
越前大野城跡・平泉寺白山神社・丸岡城・小松空港
5月3日(月):

敦賀市内各所・燧ヶ城址・杣山城跡・武生市内各所
津幡城跡・気多大社・妙成寺・城端夜景
5月4日(火):
白川郷・五箇山・越中八尾町内・富山城
北陸攻略行程地図


この年の黄金週間は曜日の並びが良くて、5月1日〜5日まで5連休!
5日も休みがあればどこかへ出かけたくなるのがかすこばでござる。
ちょうど友人のとんび氏が北陸方面へ行きたいという話だったので
何とな〜く意気投合、2人で旅行する予定になったのでありました。
しかし、そのとんび氏が遊べるのは5月1日・2日の2日間だけ。
何でも3日には東京で所用があるという事なので、連休前半は2人で旅歩きをし
後半戦は拙者1人で残りの旅路を味わうという計画になりました。
我々の旅行といえば、前日夜に出発して移動というのがお約束のパターン。
4月30日の夜、当時の我が愛馬(車)・街一番号に乗り、
かすこば&とんびの2人組は中央高速・長野自動車道を乗り継いで
北陸自動車道へ入り、有磯海SAで仮眠を摂ったのであります。

とりあえず夜が明けた5月1日、朝一番で向かったのは…城攻め (^^;
立山ICで高速を下り、道路地図帳で見つけた日中城へと赴いた。
全国的には無名の城、でも地図に載っているからには凄い城か?と色々考えつつ
いざ日中城にたどり着いてみれば、やはり無名城だけあって小規模。
一応立山町の史跡になっており、良く見れば堀跡の環濠と思しき溝も
しっかりと残っているのだが、悲しいかな、無残にもその堀跡には
不法投棄された廃材やらゴミやらが散乱し、目を覆うばかりの惨状。
もっときちんと整備すればそれなりに見栄えもする史跡なのにねぇ。残念。
とりあえず写真を1枚撮り、その場を後にしようとしましたが
振り向いてみれば田植え直前の水田に立山連峰が反射して
「逆さ富士」ならぬ「逆さ立山」の美しい光景が目に入りました。
城跡はイマイチだったけど、綺麗な景色を堪能したので良しとしませう★

そこから進路を南へ取り、今日のメインイベントになる称名(しょうみょう)滝へ。
滝好きのとんび氏は目を輝かせて楽しみにし、前年の6月に攻略済みの拙者も
今回こそは雪解けシーズンにだけ現れるハンノキ滝も見られる事を期待し
車中は大盛り上がり!ちなみに称名滝は通年見られる滝として
日本一の落差を誇る高さ350m(東京タワーより高い!)の直瀑。その隣に出現する
ハンノキ滝は、立山の雪解け水が流れる500m(更に高い!!)の大滝でござりまする。

称名谷の山道を登り、車を駐車場に停めたらそこから徒歩で約15分。
遂に見ました、称名滝とハンノキ滝の並ぶ光景!
た、高い。あまりに高すぎて空を見上げるかのような絶壁から
2つの流れが左右の滝となって白い帯になっていました。
高すぎて何が何だかわからなくなりそう ( ̄∇ ̄;ひぇ〜!
いやー、感動ですねこの眺めは!日本一である称名滝は言うに及ばず、
雪解けの時にしか見られないハンノキ滝も見られたのが何より嬉しいです。
2つの滝は1つの川になって流れてくるのですが、その川の水がまた
透き通っていて素晴らしく綺麗な碧の色あい。とても東京や神奈川じゃ
この川の水の色はお目にかかれません。辺りにはまだまだ残雪が高く積もり
雪の白さ、山の黒さ、空の青さ、水の碧さ、様々な色が折り重なっていました。

自然の美しさに圧倒され、満足しつつも次に向かったのは飛騨方面。
国道41号線を南へ走り、鉱山の町としても有名な城下町・神岡が目的地です。
JR高山本線と並走し、車窓左手には神通川の流れを見つつ
41号線を南下すると景色はだんだんと新緑の山へと変わっていきます。
景勝地として知られる神通峡を通り過ぎ、神通川第一ダムも通り越すと
富山県から岐阜県へ。この辺りから神通川は高原(たかはら)川と名を変え
国道は崖っぷちの小さなトンネルをいくつも貫通するように。
そんな中、高原川と跡津川が合流する地点には土(ど)城があると地図帳に記載アリ。
その場で見てみれば、2つの清流に挟まれた新緑の山並みが城跡になっている。
山の緑が何とも目に鮮やかで、たとえ城跡でなくとも気に入る風景だ。

で、やってきました神岡の町。古くは鉱山で繁栄した所でありますが、
今や採掘の勢いもなく閑散とした町になってしまったものの…むしろこれがとても良い!
まるで時の流れが止まったかのような古い町並み、昭和初期の姿を留める街路、
ひなびた風情は情緒あふれる佇まいで感動モノ!思わずとんび氏は
「あぁ、俺ここに住みたい!」とまで発言しておりました。
まだ日本にはこういう場所があったのか、と改めて目の覚める衝撃に酔いしれながら
神岡城も見てみれば、これまたとても良い!
小さな模擬天守が建てられた古城郭でありますが、模擬と言いつつ
町の雰囲気に溶け込むかのような趣があり、まるで現存する古建築のよう。
下手に飾り立てず、小さな望楼形式の櫓というのが現実感あって素晴らしいですな。
これで巨大なコンクリ造りの大天守なんか建ってたらかえってしらけてしまいます。
城櫓の隣には移築されてきた古民家の旧松葉家住宅(こちらは本物)もあり
まさに観光地として絶妙なバランスを保っている場所でありました。
ちなみに、今や神岡と言えばカミオカンデでも有名な町ですね。
宇宙物理学研究において世界最高水準の実験施設、カミオカンデが
かつての神岡鉱山坑道を活用して建造された訳でありまして、
表向きは古風な観光の町、その実、世界最先端の科学技術都市でもあるって事です。
いやぁ、侮れませんな神岡という所は…。
旧松葉家住宅
旧松葉家住宅

城址の広場に展示されている古民家。
かつて、飛騨北辺の要所として栄えた神岡の町に
こうした豪農の家はいくつあったのでしょうか。
古くからの伝統を感じさせる古民家は
郷愁を誘う風合いを魅せてくれています。

神岡の町を後にして、車は国道41号線を更に南へと走ります。
古来から越中東街道として用いられていた道なので
飛騨の小さな集落を結びつつ高山へと抜ける重要な幹線。
そうした集落には政元城野口城といった古城址が並びます。
野口城を眺める交差点で折り返し、今度は国道471号線を北上。
先年通れなかった国道360号線を使って白川郷へと向かおうという計画です。
野口から宮川沿いに走り、程無く角川(つのがわ)集落で360号線に合流、
左に折れて白川郷方面に進路を取りますが…おや?またもや「通行止め」の表示。
国道360号線の天生(あもう)峠、確かに冬季通行止めの区間ですが
山にはもう雪も無く、北海道でもない限り十分「冬季」とは言えない季節であるはず。
雪の壁で有名な立山黒部アルペンルートや、上高地に抜ける国道158号線、
日光の奥を貫く金精峠道路だって開通する時期だし…。
何かの間違いか?本当に通行止めなのか?どうなんだ?と疑問だらけの我々は
ちょうど見つけた駐在所に立ち寄り、交通情報を訊いてみた。
お巡りさんは警邏で不在だったので、その奥様が親切に応対して下さったものの
恐れていた通り、答えは「通れません」という悲しい結果。
聞けば、天生峠は「7月8月しか開通していない」んだそうな。
それじゃ「冬季通行止め」というより「夏季のみ通行可」と言うべきだろ!

交通情報の不備に嘆きつつ、まぁ、通れないのなら仕方がない。
ここで立ち往生していても埒が明かないので、我々はいったん
富山市方面へ戻る事にし、国道360号線をそのまま北上。
こちらは越中西街道と呼ばれる道路で、JR高山本線の線路もこの街道と並走している。
白川郷には行けなかったが、この道沿いの風景もなかなかのもの。
時折大掛かりな道路工事をやっていて通行に難儀したが、
それもまた楽しみながら走り、2620mもある長い越路トンネルを抜けて
元来た国道41号線に合流した。そのまま富山ICへ行って北陸自動車道に乗るつもりだったが
地図を見ればすぐ傍に「常虹の滝」という名瀑があるらしい。
白川郷を見られなかった分、せめて綺麗な滝くらい見ようじゃないかという事になり
41号線から少しだけ外れて滝見物に赴いた。これは大当たり!
その名に違わぬ美しい滝で、しかも隣には夫婦滝と呼ばれる大滝が並んでいる。
山には新緑の青葉、そして二すじに流れ落ちる美麗な水の流れ…。
天生峠の通行止めも、この景観を眺めて忘れ去る事ができました♪
夫婦滝常虹滝
左:夫婦滝 右:常虹滝
こんな感じで2つの滝が並んでいます。
木漏れ日の間に浮かび上がる夫婦滝と
目立たぬように横でたたずむ常虹滝。
これだけ美しい滝が同時に見られるというのはかなり驚きです!

ところが、同行のとんび氏がここでトラブルを起こしてくれました。
滝見物を終え、車は再び富山ICを目指して国道41号線を北上しはじめたのですが
山岳地帯を下りて平野部までやって来たなぁという所で突然「あれ?財布が無い」
おいおい、何だそりゃ。お金がなきゃ今夜の宿にも泊まれないじゃないか。
だいたい、財布を使う機会なんて全然無かったじゃないか、何かの間違いじゃないか?
もう一回良く調べてみろよ、と大騒ぎになったものの、やはり財布は見つからない。
考えられる場所といえば、さっき下車した滝見物の時か?という事になり
せっかくここまで走ってきた道を逆戻り。30分ほど走って常虹の滝まで帰ってきて
歩いたあたりをくまなく探してみる。でも財布は見つからない。
あちゃー、こりゃ財布を落とした挙句、誰かに持って行かれちまったかぁ…。
どうにもならんので、仕方なく車に戻り国道沿いにあった交番まで行く事にした。
今後の旅費はオイラが立て替えるとして、せめて紛失届けだけでも出さないとねぇ。
右往左往した挙句、交番の玄関で「すいませーん、財布落としちゃったんですが」と
お巡りさんに声をかけたとんび氏。
その途端、お巡りさんからは「これですか?」という返事が!
何と、我々の直後に滝見物をした方が親切にも届けてくれたらしい。
いやー、一時はどうなる事かと思ったがどうやら一件落着。
これで無事に旅を続けられそうです。良かった良かった (^-^)

そうは言っても、これで時間はだいぶロスしてもう日暮れ時。
本日の宿は金沢市内に予約してあるので、もうぐずぐずしていられない。
大慌てで高速に乗り、夕焼けに追いすがるようにカッ飛ばして一路西へ。
金沢東ICで高速を下りる頃、ちょうど太陽が地平に没して暗くなってきた。
ところが、夕方の帰宅ラッシュの時間に引っかかったせいでICから市内へは大渋滞だ。
国道159号線はのろのろと走らざるを得ず、金沢随一の繁華街・香林坊の辺りにある
本日の宿を探し回っていると、どうにも道がよく分からない。加賀百万石の城下町、
金沢の町は城を中心にして道路が複雑に分岐し、行きたい方角とは違う道に迷い込むのだ。
ICを下りてから1時間を過ぎた頃、ようやく宿をみつけてチェックイン。
何だか今日はトラブル続きの一日でありました。
夕食を終えた後、拙者は夜の金沢城を写真に収めるべく市内を軽く散策。
ライトアップされた城の夜景は少し幻想的な感じで、昼間見るのとはかなり違う印象でした。
夜11時を過ぎた頃、床に就いた拙者。明日は福井方面へと走ります。




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