2012年10月 松江弾丸往復

旅行期間:2012年10月6日(土)夜半出発〜10月8日(月)帰着

主な滞在地
10月7日(日):

鳥取城・鳥取砂丘・由良台場
富長城・淀江台場・米子城・松江城
10月8日(月):
敏満寺城
松江弾丸往復行程地図 (C)goo map


10月最初の月曜日は体育の日(と言う事になってました)。
土・日・月で3連休というカレンダーになっていて、我が家の2男の幼稚園が
10月6日(土)に運動会を開催。ちょうどこの日はその子の誕生日でもありました。
それならば翌日の日曜日に、誕生日祝いを兼ねてどこか遊びに行くか?と計画していたんですが…。

肝心の運動会で体力を使い果たし、家族全員「もう何もしたくない」と満場一致でドタンバ否決 (T-T)

え゙ーっ!こっちはそのつもりでちゃんと予定空けておいたのに〜!
3連休のうち2日が、全く無意味な休みになってしもうた…どうしよう?
それならばむしろ「俺一人でどっか行ってもいい?」と訊いた所、これまた満場一致で「勝手にどうぞ」との事。
えーい!それならば勝手に行かせて貰うわい!
で、どこ行くか?一人で気ままに出かけるのだから、好き勝手出来る訳だし…それならば
現存12天守の城で唯一未訪だった松江城に行こう!
よし、目指すは山陰。鳥取〜島根のあたりを攻め獲るぞ!!と決定。夜の9時前に家を出て
速攻で東名高速〜新東名〜伊勢湾岸道〜新名神と走破。草津PAで一休みしたのは午前2時半頃。
更に西を目指し、中国道の西宮名塩SAで午前6時になろうかと言う所。休憩しつつも、まだまだ先は長いので
中国道から鳥取道へ進みます。が、大原ICで一旦一般道へ。当時はここまでしか開通していませんでした。
国道373号線で西粟倉村を走り、そこから西粟倉ICを経て再び鳥取道。そして鳥取県。いよいよ山陰地方!

午前8時頃、鳥取市街地に到着。鳥取自動車道の「終点」鳥取ICを出て、一目散に向かったのは鳥取城跡です。
鳥取城は市街地の端にある「久松山(きゅうしょうざん)」と言う小高い山と、その山麓一帯を用いて築かれた城で
現在、山麓部は大半が鳥取西高校の敷地になっています。と言う事で、その高校を目指して行ったのですが
何せ鳥取の街中から久松山は目立つ!どこからでも見えます。ってなワケで、特に迷う事も無く鳥取城跡に到着しました。
霧の久松山
霧の久松山

朝方、小雨がパラついていた時刻。
鳥取城の見事な石垣の間を通学の高校生が傘をさして抜けて行きます。
その彼方に見えるのが久松山なのですが、山の上は霧の中。
街中の小山…と思っていたのですが、案外急峻な山なんですねぇ。
駐車スペースを確保している間に、雨は止みました。さぁ城攻め開始だ!
国史跡 鳥取城跡 山麓部石垣
国史跡 鳥取城跡 山麓部石垣

高校の裏手に回った途端、この巨大な石垣がドーン!
まるで壁、そして高い石垣が目の前を塞ぎます。
スゲー!スゲースゲー!!
鳥取城って、こんなに凄い城だったんだ!(驚喜)
国史跡 鳥取城跡 天球丸 巻石垣
国史跡 鳥取城跡 天球丸 巻石垣

そして鳥取城の石垣で最も特徴的なのがコレ。
天球丸と呼ばれる曲輪の巻石垣。城の石垣とは思えない
丸いドームが出来上がっています。不可思議な光景…。
鳥取城って、こんなに凄い城だったんだ!(歓喜)
ひとしきり山麓部を見て回っただけで、十分満足。でも…やっぱり山上部も見ないと
鳥取城を全部見たとは言えないよねぇ。これは一発、久松山も攻略せねば!
なーに、近世城郭の詰めの城なんだから、登ろうと思えばサクサク行ける筈でしょ? (^^)v

―――なーんで思って山を登り始めたけど、これが甘かった! (x_x)
街中の山だなんて軽く見ていたけど、かなりキツい登山道で
しかも延々と登り続けないといけなくて、終わりが見えない。
よくよく考えてみりゃ、鳥取城って戦国時代から使ってる実戦城郭やん!
そりゃ、詰めの城ともなれば険しい筈だよ。失敗った〜!!! (><)
でもここまで登って来ちゃったから後にも引けず。こうなったら我慢して登り切るしかない!
15分くらいかけて、ヒィヒィ言いながらようやく山頂へ到着しましたが
どうやら地元のお年寄りには「朝の散歩コース」だったらしく、御年輩の方々がホイホイと上がって来る。
何で?どう見てもオイラより(かなり)年上の方々なのに、楽々登って来るなんて…。
やっぱり慣れているとどうってこと無くなるの?それにしたって、そんなに簡単なモンでも無かろうに…。
山頂で暫しボーゼンとしてしまいました。なんなんだ久松山… Σ( ̄□ ̄;;;ンナアホナー!
久松山頂からの眺め

とりあえず、頑張って山頂まで登りましたよ。
眼下には霞む鳥取市街。いやぁ、やっぱ高いわw
この部分だけ見れば、立派に山城ですな。
山城と平城を組み合わせた城なんですね、鳥取城って。
久松山頂からの眺め
ぐるりと山頂部も見て回ったら、下山。再び山麓部を見るのですが、こちらには
公園として整備された庭園も用意されております。で、そこの見どころと言えばこちら♪
国重文 仁風閣

真っ白い洋館、明治時代に作られた
仁風閣(じんぷうかく)と言われる建物です。
日本の城跡に洋館と言う組み合わせ、
案外風流なマッチングですねぇ★
背後には城の石垣が見えています。
国重文 仁風閣

さて、目的地は松江なので鳥取にばかり時間はかけられない…のだけれど
鳥取に来たからには、観光名所として鳥取砂丘は欠かせないw
と言う事で、大急ぎで砂丘を(ちょっとだけ)眺めに行きました。
国天然記念物 鳥取砂丘
国天然記念物 鳥取砂丘

「砂漠」と言うと大陸の真ん中にあるイメージなので
日本海の傍にある砂原という雰囲気はやっぱり「砂丘」と言うべきなんでしょう。
でもそう言っちゃうと「砂浜」って事でもある訳で、そうなると我が茅ヶ崎も
湘南海岸の真っ只中ですから、同じ感覚になってしまって(爆)
いや、茅ヶ崎海岸は黒砂ばかりなんで、鳥取砂丘はやっぱり別物、別格ですよホントに。
彼方に霞む海と山が、鳥取砂丘ならではの独特な風景を見せてくれますね。
駆け足で立ち寄っただけだけど、来て良かった〜 (^ ^;

そうこうしているうちに、時刻は11時に。ヤバい、こんなんじゃ松江に辿り着かん!
ここからは日本海沿いに西へ向かい、何とか松江城まで行き着くつもりですが…
途中途中にも見どころがあるから困っちゃう(苦笑)
そしてこの当時、山陰自動車道は途切れ途切れなので道路状況が必ずしも良くなくて困っちゃう(これは切実)

国史跡 由良台場

そうは言っても、ここは立ち寄っておかないと!
国道9号線沿いですから、アクセスも容易ですし。
こちらは由良台場。鳥取藩が幕末に作った台場跡。
非常に綺麗な土塁が残り、このまま何かに使えそう…。
鳥取砂丘から約40km、良い史跡です。
国史跡 由良台場
道の駅 大栄
道の駅 大栄

その台場の隣には道の駅。ここは漫画家・青山剛昌先生の故郷だそうで
こんな立派な「コナン」の銅像が…。ちなみに、道の駅「第一号」とありますが
道の駅の登録が行われた「第一期」の中の1つ、という事なので
ここだけが「最初の道の駅」という訳ではありません。

その後も国道9号線沿いにある富長城淀江台場をつまみ食いしつつ、14時に米子市へ到着。
ようやく鳥取県の西端までやって来ました。で、米子と言えば…米子城ですわなぁ(そうなのか?)
こちらも鳥取城と同じように、町の中に小高い山があり、その山と山麓部を城の敷地にした名城です。
で、車を停めていざ攻城!
国史跡 米子城 二ノ丸表御門跡

ですので、こちらも入口から立派な石垣がドーン!
この石垣の先には武家屋敷の長屋門があったり
山へ登る登城路が繋がっている訳です。
風格のある門跡、そこに古木が鎮座して
何だか“和風ラピュタ”みたいな感じ…。
国史跡 米子城 二ノ丸表御門跡
その「ラピュタ」の山頂へと上がるつもりでこの門を潜ったんですがね。
そこからすぐ先で、たまたまなんでしょうがスズメバチがブンブンと飛び回っている。
これはヤバい。迂闊に近づいたら絶対刺される。誰か巣に悪戯でもしたのか?
どう考えても危険なので(そして時間の都合もあるので)、ここは勇気ある撤退!
米子城は山の上までは行かず、山麓部を見るだけに留めました。

米子市の隣は安来市。つまり島根県です。安来市はあっという間に通り過ぎ、いよいよ松江市へ!
時刻は丁度15時。何とか余裕をもって松江城を見物できる時間に到着できました。
タイミング良く島根県庁前の観光駐車場に車も停められたので、満を持して松江城へ!
国史跡 松江城 内濠

堀越しに眺める城の全景。
石垣の上には復元ですが櫓がいくつも。
そして奥には天守の屋根も。
おぉぉぉぉ、スゲーよ!凄ぇ恰好良ぇ!!
最初のワンシーンから、もう腰砕けに感激のスケールです!
国史跡 松江城 内濠
松江城 復元南櫓
松江城 復元南櫓

安定感ありすぎだろ!という美しさ。
復元の櫓ですが、まるで現存建築と言っても
全然違和感の無い存在感。天守目当てに来たものの
松江城、思った以上に素晴らしいよ!!! (><)
松江城 復元太鼓櫓
松江城 復元太鼓櫓

大手口を入った所は巨大な枡形。
そしてその上に、これまた大きな太鼓櫓。
うぁー、狙われてるよ。撃たれるよ。
しかも石垣は高いし。良い城だ〜!!
松江城 復元太鼓櫓

大手枡形を突破して回り込んでも
やっぱり太鼓櫓が頭上に聳え続け
ずーっと狙われっ放しの状態が継続。
この櫓1基だけで、大手の守りを一手に引き受けてますねぇ。
良い所に置いてある櫓だ。上手い縄張だなぁ…。
松江城 復元太鼓櫓
三ノ門下階段
三ノ門下階段

その太鼓門の下を突撃して行かないと
本丸まで辿り着けないんですが、この階段
途中でいやらしくクランクしているんです。
ここで絶対足止めされる…そして上から
太鼓櫓の攻撃が雨あられ。
ヤだって、こんな道攻め上がるのはw
武具櫓下帯曲輪
武具櫓下帯曲輪

石垣ばっかりだと思っていたら
こんな切岸の部分もあるんですねぇ…。
国宝 松江城天守

お!ようやく天守が見えて来た!!
でもまだ石垣の向こうに見え隠れ? (^ ^;

ちなみに、この当時まだ松江城天守は重要文化財。
この後、天守創建年代が証明されて国宝になりました。
国宝 松江城天守
松江城 復元南櫓
松江城 復元南櫓

南櫓を内側から。こっち側からだと
1層目の下見板が省かれているんですね。
まぁこの部分ならすぐに補修できるから
下見板を貼る必要が無いんでしょうな。
この色合いは鮮烈だなぁ…。
興雲閣

鳥取城に続き、こちらも城内に洋館。
山陰の城には洋館が付き物なんでしょうか?(違)
興雲閣
松江城 一ノ門

そうこうしていたら、一ノ門前に到着。
この先が本丸です。でも良く見たら
この門の手前、実は小さな枡形なんですね。
窮屈で身動き取れなさそうな空間。
だからね、こんな所攻めるのイヤなんだってばw
本当に良く出来た城だなぁ…。
松江城 一ノ門
国宝 松江城天守
国宝 松江城天守

本丸へ入ってまず目に入る光景を撮りました!
感動の御対面〜♪ (T-T)感涙
一ノ門の軒の向こうに、堂々とした姿!
おぉぉぉぉ、マジ恰好良ぇぞコレ!!!
ファーストインプレッションをそのままに撮影。
国宝 松江城天守国宝 松江城天守
これで現存12天守はフルコンプ! (^_^)v
国宝 松江城天守
天守の傍へ近寄り、間近に見ると
ますます迫力が増して感動倍増!
青空と雲を背負って、黒い天守が
より一層の渋みを深めて見えます。
国宝 松江城天守国宝 松江城天守
天守の西面へ回り込んだら、あまり取り上げられないアングルなのでこれまた新鮮で感激w
こういうのは現地で見ないと分かりません。軒の連なりも、アップで見ると実に格調高い…。
松江城天守 石落とし

石垣に密着して真上を見ると
石落としが。天守をよじ登る
足軽目線で撮ってみましたが
ここから鉄砲で撃たれたら、
まぁ即死ですわな。
松江城天守 石落とし
天守内部
天守内部

天守の内部も古風…。
太い柱が何本も何本も並ぶんですが
この柱、1本の木材ではなくいくつかの
角柱や板材を束ね合わせたもの。
松江城天守の構造的特徴ですね。
天守からの眺め

天守最上階から外を眺めると
窓が大きいので実に開放的。
本丸の敷地、松江の街並み、
その向こうには宍道湖!
実に良い眺望です★
天守からの眺め
敵を撃つ
敵を撃つ

突き上げ戸の窓から見た構図。
敵兵が本丸内をウロついていたら
すぐに撃てるような視覚が広がります。
守備側からの目線、重要です。
天守西面

再び外に出て、天守西面を堪能。
大きな入母屋破風が存在感抜群。
どっしりした安定感を見せます。
何があろうと動かない
屈強さを感じますね。
天守西面
天守北西面
天守北西面

これまた、あまり書籍などでは取り上げられない構図。
大入母屋破風がグっと突き出して見えて、
躍動感ある感じに思えてきます。見る角度で
全然違う雰囲気になるんですねぇ。
個人的に、「黒い天守より白い天守」「望楼型より層塔型」が好きではあるのですが
松江城天守は「黒い望楼型」ですけど“猛烈に恰好良い!”と大ファンになりました。
何と言うか、「どっしりした安定感」「いぶし銀な下見板」に圧倒されて
例えば姫路城天守が「白鷺」と評されるならば、松江城天守は「スタイリッシュな古武士」と言うべき迫力を感じました。

さて、ひとしきり本丸を見たので、城の北側へ降りて行きます。
松江城 北ノ門跡
松江城 北ノ門跡

本丸の搦手、北ノ門跡。ここは石垣が残るのみですが
使われている石材や積み方に、古さを感じます。
こちら側にはあまり人が来ないんですねぇ。閑散…。