2012年2月 東奔西走オフ

旅行期間:2012年2月10日(金) / 2月11日(土)

主な滞在地
2月10日(金):北杜市内諸城郭
2月11日(土):御茶屋御殿跡・謙信一夜城跡・師戸城址・本佐倉城跡
東奔西走オフ行程地図(1) (C)Mapion


2月11日の祭日、城仲間の小城さんが千葉県の本佐倉(もとさくら)を案内するオフ会を開催して下さるとの事。
本佐倉はまだ行った事が無く、かねてから行ってみたいと思っていたので一も二もなく参加表明。
で、その前日も休みが取れたので、それはそれでどこかへ行こうかと思い
2月10日は取りこぼしのおさらい&再訪したい城めぐりという事で、山梨方面へ。
2日間で西へ東へと別々の旅となりますが、まぁそれも面白かろうとw

てな訳で2月10日は早朝から山梨へ乗り込み、まず最初に訪れたのは長坂長閑斎(ながさかちょうかんさい)屋敷
八ヶ岳が良く見える、実に良い場所…なんですが、史跡としての手入れは皆無。
以前、訪れてはみたもののどこから中に入れば良いか分からず、遠目に見ただけだったので
今回は改めて中まで突撃!と言う感じですがね―――
長坂長閑斎屋敷から眺む
長坂長閑斎屋敷から眺む

ご覧の通り、ひたすら藪。せっかくの八ヶ岳が
木々に埋もれてる…。まだ冬枯れしている
季節だから良いものの、もう少し暖かくなれば
完全に藪藪藪となって何も見えなくなります。
いや、この写真でさえも何だか良く分かりませんがw
一応、堀や土塁の跡?と思しき起伏は見受けられるんですけど…やっぱり良く分かりませんw
縄張図と付け合わせながら歩いてようやくそれっぽい所?と感じられる程度の雰囲気なんでwww
でもこの史跡、もっときちんと手入れすれば大化けすると思うんだけど
何せ長坂長閑斎という人物のイメージが芳しくないので(ほぼ冤罪なんですがね)
あまり「ここを整備しよう!」と言う機運にならないんでしょうねぇ (^ ^;
まず冤罪を晴らして地元の方の協力意識を取り付ける所から始めないといけないのかな?

須玉(すたま)の町へ降りてきて、訪れたのは若神子(わかみこ)跡。
ここはすっかり公園化されていて、誰でも簡単に見学できる城跡。
長閑斎屋敷とは大違いだ…と言うか、公園化し過ぎて逆にあまり城郭感が少ないけど(苦笑)
ここの見どころは公園のほぼ中心にある畝堀の跡。でもまぁ薄い… (^ ^;
畝堀という事で、小田原後北条氏が甲斐武田氏滅亡後に利用した?という説がある一方
高台にあるので、武田信玄が整備した狼煙リレーの中継点と見るのも有力で
公園化に伴って“狼煙台”を再現した建物があった―――んですけど、どうも老朽化で
近年取り壊されてしまったそうで(この当時はありました)。う〜む。

若神子城の傍にあるスーパーで弁当を買い込んで、軽く昼食。よし、腹ごしらえは終了!

そこから東、須玉川と塩川を渡った先に進むと一面の田圃が。
その田圃の中に、突如として分厚い土塁が出現します。ここが屋代氏居館址。
市史跡 屋代氏居館跡 土塁
市史跡 屋代氏居館跡 土塁

ちゃんと案内の看板があって、場所は一目で分かります。
ただ、この土塁が1枚あるだけで、中には田圃があるだけ。
全然、城館跡という雰囲気は見受けられない―――のが
普段の姿なんですけど、何とこの日は…!!!
発掘調査の真っ最中!しかもこの翌日に現地説明会が開かれる予定との事 !!!
そんな訳で、土塁の裏側に入らせて頂くと
発掘調査の様子
発掘調査の様子

現説前日という事もあって、一番見易い状態になってました。
この日を狙って行った訳ではなく、全然知らずに行ってみたら
偶然こういうタイミングになったんですが、それだけに
思いもよらぬ見事な状況を目の当たりにして大感動です!
という事で、ここから貴重な光景をいくつか御紹介。
池泉跡? 礎石跡?
これ池泉?どう見ても池の跡ですよね?
敷地の向こうには礎石らしき石が並び、豪華な庭園を備えた邸宅があった!
屋代氏の屋敷は江戸時代初期の武家居館ですが、いくら何でも立派過ぎない?
凄いよ、コレ! (><)
池を眺む
邸宅側から池を見たアングルがこちら。
池の隣に例の土塁が。その向こうに
長坂や八ヶ岳の山並みが頭を出します。
これ、隣の屋敷を土塁で隠しつつ、彼方の山で
借景を作り出す効果を狙ってますよねぇ?
池と土塁の境界
池と土塁の境界部がこちら。
土塁直下に縁取りのような側溝があり
池への水を取り込んでいる?もしくは
排水している?という様子が分かります。
やっぱり高度な技術を使った立派な
池泉が備えられていたと言う事ですよねぇ。
雨水受けの側溝?
←敷地内に目を転じると、こんな石列も。
屋根の雨だれを受け、排水する石の並びかと。

そして大きな石も点々と置かれ、これは→
恐らく建物の礎石だったんじゃないかと。

地方武士の居館と侮るなかれ、この館跡は
かなりの上級武士が威厳を以って暮らしていた?
建物の礎石?
そして石垣!土塁の内法側ですが、こんなに立派な石垣が!!
石垣! 虎口跡なのか?
これって虎口?どうなの???(縄張上、ここに虎口は無いようですが…でもこの見事さだよ?)
それとも後世に作られたもの?にしては古態だけど…。
池と土塁の境界(反対側から)
池と水路の位置関係

改めて、土塁脇の側溝を反対側から。
綺麗に石組の側溝が繋がっています。
高低差から考えると、こちら側から
池に向かって水を流し込んでいるのかな?
水量が豊富にあって、立派な池だったんだろうなぁ。
でも土塁の外側に回れば全くそんな雰囲気は見えず…土塁の外側…

この発掘調査は圃場整備事業に伴って実施されたもので、「屋代氏館跡」の本体部分
山梨県内で初となる江戸時代初期の武家住宅の全面調査だったそうです。それに拠れば
敷地は120m四方の面積、土塁だけでなく堀にも囲まれた険要な居館だったとの事。
翌日、2月11日の14時から現説があったそうで、それはそれで見てみたかったんですけど
逆に誰も居ない時にこっそり観察させて頂けて、これはこれで充実した見学になりました。

思わぬ発見に大興奮でしたが、続いても隠れた名城。塩川沿いに北へ向かい
小さな集落の脇にある獅子吼(ししく)の山に登ります。
獅子吼城の城山
獅子吼城の城山

基本的に岩盤の山なんでしょうね。
岩がニョキニョキと、まるで“生えている”如く
そこかしこに見受けられます。という事で、当然ながら…
石垣だぁ〜!!!!!獅子吼城 石垣
獅子吼城は石垣の城として有名。そしてここも信玄の狼煙台?と言われる城。
結構荒々しい山なんですが、上まで登ると爽快感抜群です♪

今度は西へ進み、朝日山塁へ。こちらも若神子城と同様に後北条氏が駐屯地に
用いたと言われる城跡。これまた以前、訪れてはみたもののどこから中に入れば良いか分からず
軽く見ただけだったので、今回はじっくりと中まで突撃!と言う感じですがね―――
何というか“ユルい”削平地があるくらいで、然程の堅固な遺構がある訳でもない雰囲気。
ふむ、兵士を野営させるだけの城だからこれで十分なんでしょうか?とりあえず、立派な石碑はありましたw

そこから更に西へ車を走らせ、次に訪れたのは国の史跡になっている谷戸城址。
さすが国史跡だけあって、ガイダンス施設なども充実。どんな城なのかは施設を見れば良く分かりますし
整備が行き届いているので、見学も楽しくできます。で、いざ城に取り掛かってみれば
国史跡 谷戸城跡
国史跡 谷戸城跡

このように綺麗〜な城跡!
ですが不思議なのは、この城
土塁の“内側”に堀があるんです…。
上の写真、左側が城外で右側が城内側。普通、城って曲輪の縁取りのように土塁があり
その外側に敵を近づけない堀が掘られているものなんですけど、この城の場合は
土塁の内側、曲輪との隙間に堀が。これだと、守備兵が土塁に取り付く事ができません。
色々考えてはみるのですが、これだという正解が思い浮かびません (^ ^;
八ヶ岳を望む
八ヶ岳を望む

とりあえず、主郭からはこのように
美しい八ヶ岳を望む事ができます★
色々な意味で、良〜い城跡です! (^ー^)b

徐々に日が傾いて来たので、日没まで時間との勝負!
次の城へと移動しようと車を走らせた直後、進行方向の雲間を見たところ
何だか不思議な光の筋が輝いている…何だコレ?と思って、車を停めて撮影。
幻日?
幻日?

南アルプスに雲がかかり、その中に太陽があったんですけど
太陽とは違う位置に、虹色のような光の塊がハッキリと。
最初は雲に色が掛かった彩雲?かと思ったんですけど
よくよく調べてみると幻日(げんじつ)という現象のようで。
山にたなびく雲も険しく、ちょっと神々しい気象現象に驚かされました。

谷戸城からほぼ真南、続いて訪れたのは深草館という小さな城跡。
前に北杜市へ来た折、この城を目指してあたりをウロウロした事があったものの
とうとう入口が分からず未訪に終わった城だったんですが、今回は改めて場所を念入りに調べリベンジ!
深草館の入口
山梨県史跡 深草館跡

田圃が並ぶ中、ちょっと深くえぐれた用水路のような小川が流れ
そこにかかる丸木橋を渡ると、城内に入れます。この入口が
どこにあるのか前回は見つけられず、今回ようやく確保!
いざ城内に踏み入ります!!
どうにもこの丸木橋が危なっかしいので、怖くて入るのを止めたという方も多いようですが
実際渡ってみると、結構しっかりしているので壊れたりする事は無さそう。
(くれぐれも足を滑らせないように、という点には注意です)
で、入ってみるとそりゃもう見事な遺構!内部は綺麗に削平され、
外から見るよりも全然荒れた様子は無く、土塁や虎口もきちんと分かります。
谷戸城のような“整備の手の入った”城跡でないのに、これだけ遺構が判別できるのですから
そりゃもうオススメの城跡ですー!

日没まであと僅か!ギリギリになってきましたが
最後に滑り込んだのが笹尾塁の跡。ここは前にも来た事があったんですけど
あれ?前回より綺麗になってる?ちゃんと整備されていて良いですねぇ!
釜無川の断崖に突き出した半島状の台地を利用した城なので
ここから西〜南〜東の眺望は抜群。そして何より、曲輪の繋げ方や仕切の土塁・堀切が凄い!
やはり何度訪れても良い城ってありますよね〜♪

と言う事で、明日の予定もあるので今日はここまで。
帰宅して、次の日は東へと向かいます。楽しみ〜★ (^_^)




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