2000年10月 北東北旅行(3)

浅虫温泉と言えば、青森県でも有数の温泉地。
せっかく有名な温泉に来たんだから、色々と記念になる事を…と考え
まず浅虫郵便局へ。え、何故って?
えーっとですねぇ、葉書を出したんですよ。
は、それが何で記念になるのかって?
風景印を押してもらったんですよ。その葉書に。
ん、風景印って何かって?
その地域の風物をデザインした特別な通信日付印の事です。
これを葉書に押してもらって、友達何人かに葉書を出しました。
で、続いて赴いたのが、郵便局の隣にある道の駅「ゆ〜さ浅虫」
土産物を物色し、建物の上にある展望台へ。
昨日は夜の暗さで見えませんでしたが、温泉地から望む青森湾は雄渾!
浅虫温泉と言えば、眼前に海が啓けた眺望でも有名ですからなぁ。
思わず望遠レンズを覗き込み、如何にも景勝地らしい写真なんぞ撮ってしまいました。

東北の移動は時間がかかるという事を悟ったオイラは、この日から予定を短縮。
青森市は黙って通過し、いきなり奥入瀬渓流へ乗り込む事に決定。
青森県道40号線にしようかとも悩んだんですが
可能な限り路面状況の良さそうなルートを選択するようにし、
国道103号線を使って八甲田山方面に向かいます。
八甲田山の麓はもう赤や黄色の紅葉が始まっていました。
いやー誠に綺麗です。関東の紅葉なんか目じゃないね。
茅ヶ崎の紅葉は赤く「枯れた」色合いだけど、
八甲田山のは赤く「染まった」鮮やかな色。やっぱ本場は違うわ。
酸ヶ湯温泉 地獄沼
酸ヶ湯温泉 地獄沼

八甲田山麓の名湯、酸ヶ湯温泉は
古来から湯治場として知られている。
その脇にあるここ地獄沼は
名前の通り、少々恐ろしげな風景。
沼の一番奥、白い湯気が立ち上っているのがわかります?
浅虫と並んで名湯とされる酸ヶ湯温泉の前を通り抜ける際、
湯気をあげる地獄沼を見れば、温泉らしく白濁した水の色。
さらにその先、笠松峠を越した所にある絶景の地・睡蓮沼は
打って変わって青々とした透明感。どちらも自然の為せる業なれば
青森の素晴らしい大地に感激した拙者でありましたが…
まだまだこれは序の口、奥入瀬の美しさはそれを遥かに凌駕しておりました。
流れる川のせせらぎ、まだ紅葉は始まっていなかった緑の木々、
これはもう幽玄の世界!その美しさは言葉で表現できません。
こりゃもう皆さんご自分で行って見て下さい、としか言えないねー (^^)
国特別名勝・天然記念物 奥入瀬渓流 銚子大滝
国特別名勝・天然記念物 奥入瀬渓流 銚子大滝

とことんまで美しい奥入瀬渓流を遡り
一番上流に鎮座するのがこの銚子大滝。
奥入瀬で感激に次ぐ感激を受けた挙句
この滝を見た日にゃ、もう何も言えませんよ★
ちなみに、写真右手にうっすらと
虹がかかってるんですが、見えますか?
奥入瀬渓流を遡り、銚子大滝の“水のカーテン”に感激したのち
車はいよいよ十和田湖まで到達しました。
神秘の湖とされるだけあるその姿は、これまた美しい。
周囲44km、深さ327mの十和田湖は火山の火口に水を湛えた典型的なカルデラ湖。
湖畔にある「乙女の像」も有名でござるな。
本当はぐるりと1周したかったんですが、時間節約が第一なので
景勝地の多い南岸半分を回る事にしましたが、
いやぁ、半分だけとは言えども見所十分!
特に、湖に突き出た御倉半島と中山半島を両方望める瞰湖台は
流石に観光客でいっぱい。それでも、ここで景色を眺めないとねぇ。
ここまで来た意味がない!と思って、その人込みに突撃しましたよ(笑)
左に中山半島、右に御倉半島、その間を進む観光遊覧船、という情景は
思わず時間を忘れて魅入ってしまう感じ。観光客でごった返すだけの事はありました。
国特別名勝・天然記念物 十和田湖
国特別名勝・天然記念物 十和田湖

さすがにこの日は有名な観光地を重点的に周回したので
掲載する写真がいっぱいです (^^;
ちょっとした入り江から対岸を眺めれば
十和田湖の奥行き、そして雄大さが際立ちます。
個人的に気にっている写真ですね。
十和田湖は南端のあたりから秋田県に入ります。
ちなみに、実は十和田湖での青森・秋田の境界は厳密に定まっていないとか?
それはさておき、秋田県も拙者にとっては初めて訪れる県。
発荷(はっか)峠展望台でふり返り十和田湖に別れを告げ、
山からくだるは国道103号線。さすがに観光道路なので交通量が多く
特に観光バスが道を塞いでやや渋滞気味。うーむ、3日目もロスタイムが多めか?
ここまでは頑張ってハイペースに来たつもりだったんだが、
それでももう午後2時を過ぎたし…。いや、慌てては事故のもと。
交通量が多いのはどうしようもない事なので、ここは我慢だね。
鹿角市郊外、大湯温泉の集落までやってきた所でようやく流れはスムーズに。
ここも結構有名な温泉地だよねー、と思いながら峠道を加速しようとしたら
ん?今何か通り過ぎたぞ ?!
何某の城跡と書いてあった標柱だったような…。
時間はオシていたけど、城とあっては見過ごせない。
思わず引き返し、もう一度確認してみると、大湯鹿倉城大手口跡だと!
説明書きを見れば、九戸討伐に関連して戦いの舞台となった城なんだと。
昨日に引き続き、またまた九戸党関連の史跡なんだねー。
うーむ、偶然通りがかった場所で城跡を発見するとは…。
と言うか、城跡じゃなければ無視して通過できたのに、
城だと云われたら行かなきゃならないじゃないか! (^^;
で、入りましたよ城跡に。ところがまぁ、史跡とは言っても
完全に植林された杉林になっている上、地面にはびっしりとシダ草が!
しかもこのシダ、とてつもなくデカい!戦国の城跡というよりも
何だか巨大植物に覆われた恐竜の時代に迷い込んだ感じでして、
こりゃアカン、これ以上進めんわ、と辟易してその場を辞した次第です(泣)

大湯で本来見たかったのは、実は他の史跡です。
それは大湯環状列石、国指定特別史跡になっている重要なもの。
漢字で書くと難しくて良くわからないかもしれませんが、
古代人の造ったストーンサークルなんですね。
ストーンサークルというと、どうしてもイギリスのストーンヘンジが有名ですが
いやいやどうして、日本にも立派な遺跡があるんですよ!
縄文時代後期、約4000年前の集落跡と言われる大湯環状列石は
野中堂遺跡と万座遺跡の2つの遺跡を主体とする大規模なもので
野中堂遺跡は直径42m、万座遺跡は直径48mにもなる、それぞれ二重環状列石群。
1931年4月、耕地整理中に発見されたこの列石は
1951年12月、国史跡に指定され、
さらに1956年7月には特別史跡とされました。
野中堂遺跡の中心部には、古代の日時計ではないかと言われる組石もあり
なかなか興味をそそられます。駐車場も広く用意されてますから、皆さんも是非見学を!
国特別史跡 大湯環状列石 万座遺跡
国特別史跡 大湯環状列石 万座遺跡

かなり引きで撮っているんですが
それでもなかなか全景が入らないほど
巨大なストーンサークルです。
古代の人々は、いったい何を思って
そしてどうやってこの遺跡を創ったのでしょう?
丸い石列を見ていると、色々と興味は尽きません。

鹿角市の次には大館市へと向かいます。国道103号をひた走り、
東北自動車道の十和田ICをそのまま通過。米代川に沿う所では
路面状況の良いバイパス路となっていたため、時間を短縮する事ができ
鹿角から30分ほどで大館に到着いたしました。んで、ここで見るのは大館城跡。
大湯の城は偶然発見した予定外の城でしたので、
順路に組み込んでいたものとしては、ここが今日初めての城になります。
3日目は奥入瀬や十和田湖といった大自然をメインにして、
城跡は少し休もうと思ってたのよ。
バカみたいに城跡ばかりじゃ観光にならんでしょ?
って言いつつ、やっぱり城跡に行ってるんだけど (^^;

羽州街道、国道7号線を北に進み、矢立峠を越せば再び青森県です。
今日の宿は矢立峠の麓にある碇ヶ関と決めていたんですが
ペースを早めたおかげで、逆に今日は時間が余り気味。
日没まではまだしばらく余裕がありそうでした。うーん、それならば
明日行こうと思っていた城跡を一つ、攻略しておくか?
そう思い立ち、まだ宿へは入らずそのまま北へ向かう事にしました。
碇ヶ関ICから東北道に乗り、黒石市をスルーして浪岡ICへ。
ここで見学するのは津軽地方の旧跡、浪岡城跡です。
浪岡御所とも尊称されたこの城跡は、南北朝時代にまで遡る由緒を持つ古城で
現在は国の史跡として大規模な整備が行われてござる。
そんな城跡を訪れた所で、丁度日没の時間。無論、他に観光客はいませんでしたが
夕暮れ時に犬の散歩をされるご近所の方が数名…。
あのー、ここって貴重な史跡なんですが、犬の散歩コースで良いんですか ??(核爆)

浪岡から碇ヶ関に引き返し、宿にチェックイン。
ふむ、今日はそれほど遅い時間にならずに宿入りできたぞ。
あー良かった、と一安心し、夕食にありつきました。
―――で。
宿の夜は長いですな。
特にする事もなく、もう寝てもいいんだけど…寝たら勿体ない!
せっかく東北まで来てるんだから、時間にゆとりがあるならば
何かせにゃ気が済まんぢゃないか!
幸か不幸か、弘前市は目と鼻の先。
という事は、ライトアップした城が見られるよねぇ ( ̄ー ̄)ニヤリッ
急に悪巧みを思いつき、夕食後に宿から外出した拙者は
またもや碇ヶ関ICから東北道に乗り、大鰐弘前IC(たった1区間や)で下り
夜の弘前市街地へ突撃。向かうは勿論、弘前城
現存天守を擁する城としては日本最北端に位置する名城にござれば
きっと美しいライトアップが施されているに違いない!と期待して赴き
城内に入ったのでございます。北の城門、亀甲門から参内した時点で
なんだか気分は戦国の城攻め。回りには誰もいないし、夜の闇に浮かび上がる
木造の現存建築は妖しい風格に包まれた感じで、現代と乖離しておりましたゆえ。
城内に忍び入るような思いで先へ進めば、見えてきたのは天守の姿!
煌々とした強烈な光りに包まれたのではなく、この時のライトアップは
周りからぼんやりと間接光で照らされた状態で、まるで宙空に浮かんでいるよう。
明る過ぎない、柔らかな光りのライトアップだったので
空に輝く星と並んだ天守の姿を撮影する事ができました (^-^)
それにしても、他には誰もいない夜の城跡を一人占め!なんて贅沢なんでしょう。
国重文 弘前城天守
国重文 弘前城天守

夜の星と現存天守の撮りあわせ。
ため息が出るほど美しかったですねー。
つくづく、城跡のある街が
羨ましく思えました。





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