★この時代の城郭 ――― 琉球の「グスク」
グスクとは、琉球における城郭を意味する言葉だが、日本本土の城郭とは違い
戦時の防衛施設としての意味だけではなく、祖霊に祈りを捧げる礼拝所としての機能や
住民の居住空間をその中に含んでおり、つまりは「集落」そのものを指していた。
平時には住民の生活の場所、祭事には「御嶽(うたき)」と呼ばれる神聖な信仰の聖地、
そして戦時には城郭となる総合的な空間だったのだ。
中国から技術を得た琉球では日本本土より早く石垣の製造方法が確立したため、
こうしたグスクは沖縄で産出する石灰岩の石で城壁が組まれていた。
もちろん、地の利を活かし山岳斜面や峡谷の谷を防衛施設として利用する事もあったが、
さながら中国の万里長城を思わせる高く壮大な石垣で囲まれるグスクが目立つ。
現在、国連の世界文化遺産に登録された今帰仁城や座喜味城が代表例である。
今帰仁城(沖縄県)の石垣
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