2014年6月 飯田オフ

旅行期間:2014年6月28日(土)

主な滞在地
6月28日(土):

田切駅・飯島陣屋跡・大草城址・名子城址・伊豆木陣屋
経蔵寺・木下家屋敷・愛宕城跡・飯田城址(飯田市街地各所)
飯田オフ行程地図 (C)MapFan


長野県にお住いの、拙者の城友から「飯田市内を巡りませんか?」とのお誘いを受けた2014年。
飯田かぁ…南信濃は殆んど行った事が無いし、土地勘も無いからこういう機会でもないと
なかなか見に行く事も無いなぁと考え、参加を即決。関東在住の、他の城友さん達にも声を掛けたけど
運悪くその日はみんな都合が付かず(もし一緒できるのなら車にお乗せしたんですが)
拙者一人で神奈川から参陣する事となりましたが、逆に考えれば集合時間までは好き勝手に遊べる?(笑)
と言う訳で「朝駆け前提で」家を出たのは日付がオフ会当日に切り替わった頃(つまり深夜零時ね)。
神奈川では小雨が降っている日でしたが、現地は多分大丈夫…と、天気予報を信じて出発しました (^ ^;

相模湖IC入口
相模湖IC入口

神奈川から長野へ向かうなら、当然ながら中央道に乗るので、相模湖ICから進入。
でも帰りはもうこのICを使いません。馴染みの相模湖ICとはオサラバの日です。
それがどういう事かと言うのは…文末にてw
あぁ、何せ深夜ですからこの位置で撮影しても問題なく停車しましたよ(ォィ)

いくら南信まで行くとは言え、さすがに深夜0時から出発するのは早過ぎ?と思いますが
要するに「朝日が差したと同時に行動開始」出来るよう、現地でスタンバっておきたい訳です。
小黒川PAで時間調整(の仮眠)を摂り、薄っすら明るくなってきたので向かったのはJR飯田線の田切(たぎり)駅。
え、何で駅?と言う感じですが…ここからは城からちょっと離れて「聖地巡礼」を。

そもそも「田切」と言うのは特定の地名というよりは、川の浸食で台地が小間切れに分断された“地形”の事。
長野の伊那谷は、天竜川へ流れ込む大小の支流がこうした浸食谷を沢山作っているので
田園地帯に急崖がいくつも存在しており、飯田線の線路は高低差を避け谷を迂回し
各所で「Ω」のようなカーブを描いております。田切駅や大田切駅(と言う駅もあるのです)は
こうした田切地形の中に作られた駅。そんな長閑な農村風景が広がる田切駅が「聖地」?
聖地巡礼って、アニメやドラマの舞台になったモデル地を訪れる事でしょ??
まさか本当に宗教的な聖地巡礼の方ですか???と思われる方もいらっしゃるでしょうが…。
(あぁ、ちなみに拙者は宗教とか全く信じてないのでソッチの聖地巡礼には無縁ですw)
浄土宗 石上山太子院聖徳寺

いちおう、田切駅の目の前には
立派なお寺もありましたが…
だからそうじゃないんだってば(爆)
浄土宗 石上山太子院聖徳寺
映像作品で具体的な地名(場所)が用いられ、そこが聖地化するのは殆んどが21世紀になってからの
モノが多い中、1991年(まだ20世紀ね、しかも世紀末まであと10年以上ある)に発売されたOVA
「究極超人あ〜る」の劇中で、田切駅周辺が取り上げられているのです。
拙者は「あ〜る」や原作者・ゆうきまさみ先生が古くから好きでして…。

余談ですがこの頁を編集している2024年現在、ゆうき先生は北条早雲を主人公にした
「新九郎、奔る」を執筆中。ゆうきファン&後北条スキーの拙者としては二重の喜びw

ようやく飯田まで赴く機会を得たのだから、田切へ行かねば!

と、思い立った次第(笑)
そんな訳で、作品中に出てくる場所をチラホラと撮影…。
以下、作中のカットを引用させて頂きつつ、撮った写真を見比べて下さいませ m(_ _)m
田切駅遠景
田切駅の前に差し掛かったところ、
ちょうど飯田線の一番列車が入線してました。
飯田線は1本逃すと次に来るのは30分以上後なので
原作場面とはちょっと角度が違うけど、慌てて撮影。
田切駅遠景(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
ホーム端にて
ホーム端から列車を見送る構図。
と言っても、本当にホームの外には
出られないので、それに近いアングルで。
車両が違うのは…時代の違いw
ホーム端にて(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
田切駅待合室
田切駅は無人駅&ホーム1本の高架駅ですので、
待合室と言っても、プレハブ小屋の如し。
雨風を凌げればそれで良いのですが、
2〜3人しか入れません。とは言え
満室になる事はなかなか無いでしょうがw
劇中で描かれたものより
新しく建て替えたようですね。
当時、広角レンズ持ってなかったので
劇画と同じアングルは上手く撮れず(悲)
田切駅待合室(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
Ωカーブ
駅の北側は「Ωカーブ」の曲がり口。
駅を出た列車がすぐに曲がって行きます。
Ωカーブ(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
切符回収箱
田舎駅ですから、改札らしい改札も無く…。
列車内での精算か、必要金額分の切符で乗車し
こうした回収箱に切符を入れて下車します。
この箱も新しく変わったようですね。
切符回収箱(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
田切駅乗降通路
駅への乗降通路。
まんまだwww
田切駅乗降通路(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
田切駅ガード下
高架駅ですから、列車は中空を走ります。
駅のすぐ隣に高架橋。その下を
10人乗りの自転車が… (^ ^;
えぇ、所詮は昭和(原作がね)のギャグアニメですから
違法とかそう言うのは置いといてw
田切駅ガード下(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
国道153号線交差点
で、駅前から国道153号線へ出る坂道。
実際問題、10人乗りで自転車を走らせたら
僅かな坂道でも猛スピードが出そう…。
それどころか、作中ではパトカー振り切ったり
中央高速(らしき道)まで爆走するのですけど(汗)
国道153号線交差点(劇中) (C)EMOTION / BANDAI VISUAL
現代の(デジタル作画の)アニメだと、割と簡単に写真データを加工して背景画像を作れますから
“聖地巡礼ありき”の御当地アニメが沢山出てますけど、1991年当時の“セル画アニメ”で
リアルな現実の場所を描いた作品は異例中の異例。原作の漫画でも飯田線は出てくるものの
ここまで細かい設定ではなく、OVA化で実現した作画です。と言う訳で「あ〜る」は“最初の御当地アニメ”とされ
今では田切駅前に「アニメ聖地巡礼発祥の地」の記念碑が建立されているそうですね。
(2014年当時はそんなの影も形もありませんでしたがwww)
アニメはもちろん、原作漫画が猛烈に面白いので機会があれば皆様「あ〜る」ご覧になってみて下さい。
田切駅 駅名標

いちおう、田切駅の駅名標も入れて
1枚撮影。まだ夜も明けきらぬ早朝なので
ヘッドライトの光が眩しくギラギラ (^ ^;
田切駅 駅名標

さて、いつまでも田切駅に留まっている訳にもいかないのでそろそろ移動。
集合場所を目指して南下します。国道153号線を走っていくと飯島陣屋の前を掠め、
飯島駅前で線路を越えてバイパス方面へ移動しようと思ったら…あれ?また列車が来る?
本数の少ない飯田線が目の前に現れるとなれば、撮らねばなるまい!(そうなのか?)
と言う訳で、飯島駅で予定外の寄り道…(苦笑)
211系 飯田線
飯島駅 飯田線交換風景

北からやって来たのは
神奈川では見られない213系。
続いて南からはJR東海でしか見られない
313系が。それがこの駅ですれ違い。
わざわざ寄り道して正解!
飯島駅 飯田線交換風景

全くの余談ですが、「あ〜る」OVAで飯田線シーンのバックにかかる曲
山本正之さんの「飯田線のバラード」は“ダジャレに見せかけて泣ける”名曲なので
「飯田線のバラード」

この日に撮影した動画や映像を編集し、曲を流してみました♪ (^-^)v


飯島駅から20分後、訪れたのは大草城址公園。天竜川を遥かに眺む
断崖の上にある公園です。公園化で遺構は良く分かりませんが、雰囲気は良く分かる城跡。
大草城址公園

季節は梅雨の頃。
断崖を見下ろす斜面には
鮮やかな色をした紫陽花が♪
大草城址公園

まだ集合時間までギリギリ間がある!と言う事でもう一丁!!
松川町に入って、松川町と言ったら伊那大島城が超有名なんだけど、そこではなく…
城山公園
城山公園

松川の町を走っていると、真正面に立ち塞がる山。
これが城山公園。即ち…
名子城跡からの眺め
名子城跡からの眺め

名子(なご)城の跡。公園内には
堀跡が数条あって、ちょっと良い感じ。
そして上からの眺めがコレ。
先程の写真を撮った道を
眼下に見下ろします。

朝駆けはここまで。集合時刻が迫ってきたので慌てて撤収します。
(っつーか随分と長く前振りしてきたなwww)
ここからがオフ会本番です。集合時間の9時半キッカリに到着したのが
飯田市の南部にある旧小笠原書院こと伊豆木陣屋。「書院」とあるように、陣屋の
書院建築が現存している“城好きには隠れた名所”なんですが、この書院と言うのが凄くて…
国重文 旧小笠原書院

これ!まるで「清水の舞台」ですよね!
懸け造りと呼ばれる、斜面に足場を組んで
その上に建物を据える技法です。
言葉の通りの京都・清水寺の本堂や
伊達政宗の居城・仙台城の御殿なんかに
使われている工法なんですが
信州の静かな町にもこんな立派な
建物があったとは…。
(仙台62万石の大大名と張り合ってる?)
国重文 旧小笠原書院
写真としてはイマイチな出来栄え(構図とか見栄えとか)なんですが
書院が見えた瞬間の“ファーストインパクト”を切り取ったものなので、敢えてこのまま掲載w
小笠原家資料館

小笠原家資料館

書院の隣には、藩主・小笠原家に関する史料を
展示している資料館があるのですが…これが
伝統的な書院建築とは好対照な前衛的建築物。
宇宙船の搭乗ゲート?と言うかこれも懸け造り?
この敷地は別に傾斜地でも何でもないのにw

小笠原家資料館 内部
国重文 旧小笠原書院

国重文 旧小笠原書院

書院そのものは極めて伝統的な建築。
現存するのは小ぶりな書院部分ですが
玄関の式台、その前に門も備え
格式は非常に高い様子が窺えます。

そこかしこに小笠原家の家紋「三階菱」が…。
国重文 旧小笠原書院
国重文 旧小笠原書院
↑懸け造りの足場を上から。
建物本体から雨垂れする箇所には
小屋根が掛けられています。

建物内の釘隠しは「永楽銭」の紋様。→
国重文 旧小笠原書院

さて、一通り陣屋を見学したら市街地の入口まで移動。ここで立ち寄ったのが
経蔵寺山門(表)

日蓮宗 法輪山経蔵寺

え、何で寺?と言った感じですが
写真にある山門が元々は飯田城
桜丸正門だったもの。いわゆる“移築門”です。
世の中には移築門愛好家が居るものでして…
ほら!そこの貴殿!!移築門スキーでしょ!!!(謎)

経蔵寺山門(裏)

さて「飯田の移築門」と言えばこれ!と言う有名な建物がもう1つあるので、次はそちらへ移動。
お好きな方は言わずもがな御存知であろう、こちらです…
旧飯田城八軒門

旧飯田城八軒門

飯田城にあった八軒門(はちけんもん)
明治期に市内の木下家へ払い下げられ、
現存しております。パッと見ただけでは
「城門そのもの」…と言うか、ここが
城なんじゃないの?と思える程(笑)

門越しに見えるお宅も、まるで御殿のよう…。
木下家邸宅
まぁ、言うてオイラはそんなに移築門にゃ興味ないんだけどねー (^ ^;
城から出ていっちゃったらそれはもう城の建物じゃないし
況してや寺の山門とかになってると、それは寺のモノだと思うので(改変とかもあるしね)…。
でも八軒門は今でも城らしさを留めているので、これは見るべきものだと(改変されてるけどね)。

んで、いよいよ飯田市街地の中へ。やってきたのは飯田市役所の向かいにある
愛宕稲荷神社…ここは愛宕城と言う古城の跡。小さい城跡なんですが
そこは崖っぷちの台地上、城を築くに相応しい天険の地であります。
神社として見れば神社、城として見れば城…と云う場所なんですな。

さてここからは市街地の散策。え、散策?
と言うのも、飯田城というのは実は市街地全般に遺構が広がっているので
あちこち見て回るとなると、それはまるで市街地散歩のような状態になる訳です。
飯田城 外堀跡
飯田城 外堀跡

飯田病院の近くにある路地が
実は飯田城の外堀跡。飯田城が
総構えを備えた大きな城郭だった証です。
全然、そんな大城郭の遺構には見えませんがw
案内して下さる方がいなかったら、初見の町の遺構なんか気づかないものですけど
逆に色々と教えて頂きながら歩くと、あれもこれも怪しく見えてくる(笑)
登録有形文化財にもなっている追手町小学校の前を過ぎると…
飯田市街地にて

小学校横の脇道に逸れた途端、この急な下り坂。
飯田城が、と言うか飯田の町そのものが
急峻な台地の上にある事が分かります。
飯田市街地にて
飯田城 赤門
飯田城 赤門

小学校近くの駐車場(の脇)にも
門が残されています。赤門と言うと
将軍家の息女が嫁いだ証。由緒ある門です。
敢えて裏側から撮った写真を掲載www
飯田城 水の手御門跡石垣

坂道を下る途中にはこんな立派な石垣が。
元々は水の手御門があった場所に
現在は宝正稲荷と言う小さな社が
置かれており…急傾斜地なので
鳥居の足の長さが違う!
飯田城 水の手御門跡石垣
二ノ丸跡は現在、飯田市の美術博物館になってます。
その駐車場敷地の隅には…
飯田城 二ノ丸御門跡
飯田城 二ノ丸御門跡

ここにあの八軒門が建っていたそうです。
飯田城は移築門が残るのみならず、
このように細かく案内展示が出ていて
見学するのが楽しい城跡ですねー♪
飯田城 水路跡展示

ほらね、こんな感じ (^-^)b
飯田城 水路跡展示
本丸跡は長姫(おさひめ)神社の境内になっているのですが
その傍らにある庭園を切り取った風景が
飯田城 本丸跡
飯田城 本丸跡

古木と燈籠と苔むした庭。
ちょっと絵になる…と思うのですが
如何でせうか? (^ ^;;;
城地の先端(本丸よりも奥)は山伏丸と呼ばれた曲輪跡。
ここには現在、温泉施設が建っておりまして…
飯田城 山伏丸跡
飯田城 山伏丸跡

その名も「天空の城 三宜亭」さんw
でも崖っぷち(そういう城ですから)の立地なので
眼下は遥かに谷底…そりゃ確かに天空の城だわ(爆)
あ、この建物も懸け造りだ…(そこかよw)

ぶっ続けで歩き回り、飯田城を堪能したのですが
流石にちょっと疲れた…ので
息抜き〜★ 喫茶店で一休み ( ̄∇ ̄)
近くにはこんなリノベーション蔵も 三連蔵
飯田の町、落ち着きがありつつ華やかでもあり、良い所ですね〜★

と言ったところで時刻は17時を過ぎたので、オフ会はお開き。
解説感謝&ご参加の方々お疲れ様でした!
ここから中央道を飛ばして帰宅します。飯田ICから高速に乗り北上、
駒ヶ岳SAと八ヶ岳PAで土産物購入&休憩を摂り、行きに使った相模湖IC…はそのまま通過!
実はこの日、2014年6月28日に圏央道の高尾山IC〜相模原愛川ICが開通!
と言う訳で、中央道からそのまま厚木ICまで乗り入れられる事となり
相模湖ICで出入りする必要は無くなったのであります (^-^)v ヤッター!
圏央道 厚木PA
圏央道 厚木PA

このPAも同日開業!
と言う事で、記念に立ち寄ってみました(笑)
いやぁ、新しい道って走り易くて良いわ♪




今回のオマケ
これも平面展示?
飯田市内の案内表示、多種多様に用意されておりましたが
こんなモノも…まぁ、ひと目で分かるには分かりますが
これも「平面展示」って言うんでせうか?(苦笑)





◆◇◆ 天空の 城の眺めは いと凄し 信濃の営み 見事に示す ◆◇◆




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