2012年8月 津軽弾丸往復
旅行期間:2012年8月13日(月)夜半出発〜8月15日(水)早朝帰着
主な滞在地
8月14日(火):平舘台場・蟹田駅・三内丸山遺跡・黒石市内各所・弘前城・堀越城址

夏休み!ただひたすら休み!何もする事がない!
嫁さんや子供たちはそれなりにやる事があるけど、オイラは単純に仕事が休みというだけ。
さすがに時間が勿体ないので、1日好き勝手に出かける時間を貰った。で、どこへ行くかと言えば
津軽!えぇ、もちろん青森県の津軽です。
何で?唐突に?本州の北の果てまで?とお思いでしょうが
以前、津軽へ行った時に時間の都合で素通りしてしまった台場跡が
実は凄い見事な遺構が残っていたと聞き、何とかリベンジしたいと前々から思っていた訳でして。
寒いのが苦手なオイラは、雪国には夏しか行けません(苦笑)
ここで行かねばいつ行くのだと決意し、夜の8時過ぎに家を出て北へ向かいます。
東京都内を抜ける頃、雨がパラパラと。あれ?雨の予報だったっけ?
まぁ目的地は青森だし、ここで降っていようと関係ないわと東北道に乗りますが
関東から南東北へ進んでもあまり天気が良くないまま。大丈夫か、これ?と少々不安になりつつ
弾丸ツアーを継続。夜が明ける午前5時頃、車は青森県に入るのでありました。
車の上空は曇天。雨こそ降ってませんが、結構分厚い雲がかかっています。
でも進行方向を見れば、雲の晴れ間が望めます。うん、これならきっと大丈夫。
津軽SAでちょっと仮眠を摂り、青森ICで退出。時刻は午前7時をちょっと過ぎたところ。
東北道を8時間ほどで全線走破致しました!

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東北自動車道 終点
終点表示!全長680kmですか。
取って付けたような「←新青森駅」と言う看板が可愛いw
この当時、北海道新幹線は未開通。東北新幹線が新青森駅を
終点としてましたが、それが開業したのも僅か1年半前。
新幹線が新青森に乗り入れた事自体が
まだ真新しいという感じの頃でした。
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青森市内も色々と面白そうな場所があるので立ち寄りたいんですが、とりあえずは一番お目当ての場所へ。
ですので、国道280号線をひたすら北上します。このルート、JR津軽線に沿っているんですが
その津軽線と平行して北海道新幹線の線路が建設されている…ですので、道路を走っていると

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北海道新幹線建設現場
田圃の向こうに新幹線の建設現場が。
この景色がずっと続きます。と言うか
殆んどの区間がもう完成しそうな状態?
青函トンネルは改造するだけだし、
これを見る限り、北海道まで繋がるのは
もうすぐなんじゃないかと思える程でした。
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まぁ実際に北海道新幹線が開業するのはこれから4年の後。北海道側での工事がまだだったのかな?

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津軽にて
280号沿線には、田圃の他にも一面の蕎麦畑が。
まるでそこだけうっすらと雪化粧したような大地。
そして空を見上げれば、すっかり青空に。
筋雲が棚引き、北国には秋が近づいていました。
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陸奥湾
お目当ての台場までやって来ました。
駐車場もあり、来訪は簡単。
何よりそこから望む海の風景がこれ。
対岸には下北半島、広々とした海原が広がります。
のどかな光景ですが、何気に絶景…。
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で、その台場というのがこちら。

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青森県史跡 平舘台場
陸奥湾の入口、最も海峡が狭い平舘(たいらだて)の地に作られた台場です。
ご覧の通り、見事な土塁が今なお健在です。
台場だけあって、大砲を据え付ける砲座の部分は
土塁が切り欠きされ、使い易い構造になっていました。
松の木が生えているのも当時からで、沿岸を行く船から
砲台の位置が分かり難くなるよう偽装していたワケ。
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砲座からの視界
砲座からはこのように陸奥湾が開けます。
ちょうど真正面に函館へ向かうフェリーが。
こんな感じで異国船を監視していたんでしょう。
これだけ土塁が残っているので、使おうと思えば
今でも現役の台場として機能しそうです。凄い…。
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いやぁ、リベンジ達成できて万々歳でございます〜!!! \(^o^)/
さぁ目的は達したのでもう帰るだけ…じゃいくら何でも勿体ないので、戻りつつ別の場所も。
280号線を南へ引き返してくると、蟹田駅に辿り着きました。津軽海峡線(当時)の列車なんか
関東在住だとなかなか見られない。なので駅に乗り付け、列車が来ないか待っていたら
キハ40系
繋留線にはキハ40が。
白地に赤のラインが鮮やか。
神奈川じゃ見られない車両です(嬉)
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JR北海道 785系300番台+789系0番台 スーパー白鳥
すぐに来た!ラッキー(笑)
あまりにも予想外に早く来たので、構図も何も考えるヒマが無かったんですがw
まさかの特急列車登場♪これも関東じゃ見られないJR北海道の「スーパー白鳥」です。
785系300番台の増結編成を先頭に(左写真)、「HEAT789」のロゴを記した789系(右写真)の編成。
「HEAT」は"Hokkaido Express Advanced Train"の略称だそうで。
鮮やかな黄緑色の車体が目に眩しい(爆)そして白鳥が飛ぶヘッドマークは優雅な絵柄。
北海道新幹線の開通で廃止されてしまったのが残念〜!!! (><)
ぶっちゃけさぁ、青函トンネルに新幹線走らせる必要ってある?
札幌や函館から東京まで来るなら新幹線より飛行機使うだろうし、
北海道と本州を繋ぐ路線と言うなら、むしろ在来線の方が需要あると…いや、何でもないw
さて、津軽半島から青森本土(と言うのか?)に戻って来ました。青森市内に入って、
歴史好きが見に行く場所と云えば―――やっぱり三内丸山遺跡でしょ (^-^)
縄文時代の大規模集落跡として有名なこの遺跡は

国特別史跡 三内丸山遺跡
このように竪穴式住居や高床式倉庫、それに三内丸山のシンボルと言える
大型竪穴建物+六本柱建物が復元されています。大型竪穴建物は中にも入れます。
ちょっとした縄文テーマパークみたいですねぇ★
見ているだけで楽しくなってきます。平日ですが夏休みだけあって賑やかでしたし。
三内丸山遺跡をじっくり見るとキリがないので、軽く見る程度で撤収。時刻は午前11時になるところ。
青森県に来たら、城好きとしては弘前方面へ向かいたい。東北道で東京へ戻る方向ですし。
そんな訳で、とりあえず三内丸山からすぐ目の前にある青森ICから高速に乗り
まずは黒石へ。黒石近辺も前回来た時に見られなかった所があるので、それを拾いに行きます。

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舘神社から見る岩木山
まずは黒石ICのすぐ近くにある浅瀬石(あせいし)城跡へ。
山の斜面を利用した高台にある城跡で、
そこにある舘神社からは岩木山が綺麗に見えました。
岩木山、津軽のシンボルと言える郷土の名峰ですよねぇ。
“津軽富士”と称される、堂々とした佇まいです。
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そして黒石市の中心部へ。黒石陣屋を見に行きます。
浅瀬石川の河岸段丘に作られた陣屋跡で、ちょっとした堀切なんかが残っている公園なんですが
むしろ目についたのは…
黒石よされ祭り
黒石の民謡「よされ節」の流し踊りが
ちょうどこの日から行われるようでして
夜の祭りに向けて、陣屋跡の公園では
櫓を組み立て、準備が進められておりました。
郷土の祭りって良いですよねぇ。
さすがに夜まで待つ訳にはいかないので
残念ながらこの写真を撮っただけでしたがw
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さて、黒石市街地から郊外へ向かうのですが、その道すがらたまたま通りがかったのが

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旧佐藤酒造店
津軽には「こみせ」と呼ばれる
日本伝統のアーケード的な街並みが残ります。
このお宅にも、街路(歩道)を全て繋ぐ軒がありますよね。
伝統建築のまま使われていた酒蔵でしたが、惜しくも2008年に廃業。
ですがこのように建物は綺麗に残されておりました。
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この後、一時は解体の危機に瀕したようですが、篤志家の方が保存活動に御尽力され
建物の整備保全を行い、現在は「元町こみせ初駒館」として観光活用されているそうです。良かった〜!
岩木山
この後、黒石城跡(石碑だけなんですけど)を経て
田舎舘城方面へ向かったんですが、どこからでも
見えるのが、やはり岩木山。とても目立ちます。
歌にもある通り
♪きっと帰ってくるんだと お岩木山で手を振れば〜♪
(って、古いねw)津軽の方々には心のふるさと。
「お」を付けて尊称するのも分かる気がします。
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で、13時を回ったところで弘前市内に到着。もちろん、弘前城を見に来たんですが
午後をまるまる使って、じっくりと外堀からぐるりと回るつもりです。
その時のログ(的なモノ)がコレ↓ クリックすると拡大図(巨大です)が開きます

観光駐車場に車を入れ、そこから徒歩で行動。基本的に北から南へ順に、外から中へ入り込み
広大な弘前公園を概ね全域見て回るルートです。で、まずは北の武家屋敷街から。
国の伝統的建造物群保存地区にもなっているエリアですが、中でも一番目を惹くのが…

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国重文 石場家住宅
国の重要文化財になっている石場家住宅。
これまた「こみせ」の軒が歩道を覆っています。
壁面の長押(なげし)と出格子窓が
シックで格好良いアクセントになってますな。
そして兎に角デカい。凄い豪邸ですよねー!
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亀甲門(北門)から城内へ。ここは四ノ丸に当たる曲輪。運動場にもなっていて
広大な面積を誇る曲輪です。その南東隅に行ってみると、外堀の水位を調節する水戸違いがあり
城内に水を引く分流も。弘前城が細かい高低差を計算して作られていた事が分かります。
水戸違いにて
そんな濠跡では、カルガモの親子が生活。
小ガモを見守るお母さんカモが優しいw
戦に備えた城ですが、今ではすっかり
市民の憩いの場。カモも人慣れしていて
近づいて写真を撮っても気にしません★
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四ノ丸を西へ突っ切り、一陽橋(いちょうばし)を出た所にあるのが
弘前市指定「趣のある建物」 旧弘前市消防団西地区団第四分団消防屯所
弘前市では歴史遺産として「趣のある建物」を選定していて、
そんな中の1つ、第四分団消防屯所の建物が橋のすぐ先に建ってます。
火の見櫓を備えた、オシャレな洋風建築。こういう建物が弘前市内には
いくつも残されていて、実はお城だけじゃなく色々な名所が隠されています。
弘前市、良い町ですね〜!!!
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西濠沿いの水路
再び城内に入り、西濠沿いを歩きます。
濠に沿って水路が走り、そこには盛夏のもみじの木が。
真夏の太陽が、青々とした葉を透かして降り注ぎ
葉っぱの色を柔らかく際立たせます。弘前城と言えば
桜の花が有名ですが、夏の青葉も良きかな! (^-^)
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三ノ丸(植物園になってます)、東門をぐるりと廻り、いよいよ本丸へ。
弘前城の本丸と言えば、もちろんこちら!

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国重文 弘前城天守 (南東面)
ド定番のアングルで撮影!
「大天守」弘前城の頁では夜景で紹介してますが
昼間に撮るとこういう感じ。出窓と破風が規則的に並び
実に美しい均整美を作り上げています。
青い空に白い壁、そして整った形状。
個人的には、現存天守の中で最も美しい建物だと思います。
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国重文 弘前城天守 (南西面)
ところがちょっと西側へ回って来ると
おや?全然破風や出窓が無い。
本丸の内側に対しては、装飾が必要無いので
幕府に遠慮して?コスト削減のため??
そういう構造は省かれている訳です。
表側だけが派手で、裏側は面白みが無く
まるで「薄っぺらなカキワリ」のようだと
酷評されてしまう事も多い弘前城天守ですが…。
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国重文 弘前城天守 (北西面)
本丸内側から見るとこう。装飾はゼロ。
観音開きの鉄板扉で開け閉めする
大きな窓が並ぶだけ。でもこれ、むしろ
採光や広い眺望を得るには最適な形。
実に機能的な構造になっている訳です。
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城外側に対しては目一杯の美しさを見せ、それでいて機能性も兼ね備える。
城内側は装飾を徹底的に省くというのは、むしろ清々しい位だと思うのですが、皆様どうでしょうか?
天守からの眺め
そして天守の中から外を見れば
やっぱり津軽のシンボル、岩木山。
柔らかな西日に輝く山容は、地元民じゃないけど
すっかり“懐かしい”と思える程に見慣れました。
ちなみに、屋根は瓦じゃなく銅板葺き。
本瓦だと凍結破断してしまうので
徳川幕府の城と同様の最新技術を
“最果ての城”でも用いています。
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本丸〜北の丸〜二ノ丸へ順に回り、木々の隙間から仰ぎ見れば
国重文 弘前城天守 (東面)
逆光は勝利!!!
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いやまぁ、弘前城は天守ばかりじゃなく
他にも重要な建物がいくつもあるんですけどねw
どうしても天守が主役になっちゃって(笑)
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国重文 弘前城南内門
弘前城は、天守だけでなく城門にも鯱が。
そして大棟の切妻には津軽家の家紋である
近衛牡丹。え、津軽家なのに近衛?
実は津軽家は近衛家と“縁戚”と称し
家格を上げようとしていたとか (^ ^;
真偽は兎も角、近衛家の家紋があると
俄然“重厚感”が増しますね!
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津軽為信像
弘前市街地ともお別れ…という頃
津軽藩祖・津軽為信の像がお出迎え。
謀略の限りを尽くして津軽の領地を
獲得したと言われる為信ですが、
領民には情愛の念を以って接したとか。
戦いには手加減なく、統治には分を弁える。
そう考えると、戦国武将としては
天賦の才を得た人物だったのでしょう。
甲冑姿、恰好良いッス!
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弘前城は思う存分堪能。もう帰っても良いと思えたんですが、まだ陽がある。
どうせならギリギリ日暮れまで粘ろうと思い、大鰐弘前ICへ至る国道7号線沿いにある堀越城へ立ち寄ります。
現在は熊野宮の境内になっている城跡なんですが…

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熊野宮鳥居群
西日に照らされた熊野宮の鳥居。
透かしの扁額って、すげー恰好良くないですか?
朱塗りの鳥居がいくつも並び、その奥にも
白木の鳥居が。その更に奥が城地です。
ちなみに堀越城は弘前城と共に国史跡。
津軽家の城、優れた史跡として認知されております。
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なおこの当時、堀越城では各所で発掘調査の真っ最中。
あちこちがブルーシートで覆われ、色々と掘り起こされておりました。
さぁ、いよいよ日没。青森県ともお別れです。大鰐弘前ICから高速に乗り帰宅します。
最後に弘前市街を振り返れば―――

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岩木山夕景
今日一日お付き合い頂いた岩木山。
マジックアワーのシルエットだと
より一層、美しく見えます。
さらば弘前!さらば津軽!!
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そして帰路も延々と高速をひた走り、帰着したのは翌日の朝。まぁ、当然ですが。
正味35時間程度と言った弾丸旅、疲れましたが出来るもんですな(え、無茶だって?)
◆◇◆ 最果てへ 残した想いに 誘われて 苦にもならじや 遠き道のり ◆◇◆
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