2000年11月 北陸再訪(5)

さて、お気楽旅行も予定していた最終の日を迎えました。
車中で野営し、目を覚ましたのはまだ夜が明けきらぬ午前6時前。
とは言え、二度寝して寝坊するつもりはさらさらありません。
むしろここはこれくらいの時間から拝観させて頂くつもりでした。
早朝一番から見ようと思ったお寺は、常照皇寺。
京北町の奥深くにある静かな古刹です。
京都の裏庭になる京北町ですが、観光で賑わう京都市街地とは打って替わって
ひと気の全くない静かな所。ここにある常照皇寺は、隠れた紅葉の名所でして
この時期は特に庭園に映えるもみじの赤さがお見事!
ここは本当に穴場中の穴場と言える景勝地ですので、
本当はあまり教えたくないくらいの“秘密の場所”なんです。
しかしまぁ、そう言ってたら話は進みませんからね (^^;
素晴らしい紅葉の風景、写真でちょっとだけ味わってみてください♪
常照皇寺の紅葉
常照皇寺の紅葉

はい、そんなワケで常照皇寺の紅葉です。
ホントにとっておきの場所なんで、
敢えて少し地味めな写真を掲載しました。
本堂裏のもみじを撮った写真なんですが
表側の庭園や境内は最高ですよ★

常照皇寺のゆかしさを思う存分に堪能し(かれこれ2時間近く居りました)
再び京都市街地へと帰ります。昨日の夜に走った道を逆に進み
古都とは言え、今では近代都市となった都の喧騒に身を置きます。
さて、これからどうしようかな?
折角京都にいるんだから、どこかのお寺をもう一つくらい拝観したいものだが…。
さりとて、市内はやはり観光シーズン真っ只中だけあって大渋滞。
昨夕と同じように、車はロクに進まず時間だけが過ぎていくばかり。
このままでは観光などする前に日が暮れてしまうなぁ。
色々と考えた挙句、向かった先は洛南の東福寺。
寺の境内すべてがもみじの木で覆い尽くされているお寺です。
せめて1箇所だけ、定番と言える観光地に行く事にしようと思った次第。
今朝方は穴場の常照皇寺で紅葉を楽しんだので、
今度は超有名な紅葉の名所に行こうかという訳ッス。
ところがまぁ、想像通りですがここが渋滞の元なんじゃないかと思うくらい
観光バスやら自家用車やらが大挙して押しかけてきます。
臨時駐車場の、そのまた臨時駐車場までが用意され、
寺からかなり離れた所にようやく車を入れる事になり
そこから延々と歩かされる事数分、何とか東福寺に辿り着きました。
で、そうまでしてやってきた東福寺は…ご想像の通りでしょうが
紅葉の見事な木々を見るよりも、大群の観光客を見る嵌めになりました。
ホントにまぁ、何をしに行ったのやら… (T_T)
東福寺の紅葉
東福寺の紅葉

はい、そんなワケで東福寺の紅葉です。
ホントに有名な場所なんで、
敢えて少し外れた所の写真を掲載しました。
境内へ続く裏道のもみじを撮った写真なんですが
落ち着いて撮影するにゃこの辺りが限界でした★

呆れ返る(厭きれ返る?)ばかりの大混雑に辟易し、京都観光に見切りをつけた拙者は
洛南・東福寺からそのまま南へ下り名神高速京都南ICへ。
もう家路に着くルートを取りつつ、どこか他の場所に立ち寄ってみようと思ったワケね。
琵琶湖を左手に見つつ、そのまま伊吹山系の山並みを抜け
滋賀県・岐阜県を通過、愛知県までやってきました。
名神高速と東名高速とが切り替わるあたり、小牧の地で高速を下りて
見学しに行ったのは小牧城の跡。小牧市役所の裏山がそれで
かつて美濃進出を覗う織田信長が、ごく僅かな期間ですが本拠地とした城跡です。
市役所の駐車場を拝借し車を停めさせて貰い、ダッシュで城山に登ります。
見た目はそれほど高い山でもないので、軽く登れると思ったんです。
しかし!これが甘かった。さすがに城跡だけあって、上へ登る道は
複雑に折れ曲がり、距離があるだけでなく
どちらへ進めば本丸に着くのかがよく分からない。
いろいろ悩み、予想よりも手こずって本丸まで辿り着きました。
山頂には模擬天守が建てられてますが、本来小牧城に天守はありません。
こういう「空想天守」には然程興味がないので、結局天守には入らず
むしろ曲輪のつくりを探求して下山したのでありました。

小牧まで来たのだから、そのまま国道41号線を真っ直ぐ南に進み
名古屋市を目指しましょう。そう、この旅行最後の観光地は名古屋城です。
もう言うまでもないでしょう。徳川家康が名古屋の町を作り出し、その中心に
全国諸大名を総動員して建てさせた天下の名城というのは教科書でも習います。
他の中小大名が技巧を凝らして屈曲に続く屈曲を取り入れて城を築いたのに対し
名古屋城の直線を基調とした縄張りはシンプルかつ大胆な構造で、
小細工無しの巨大戦闘要塞として徳川幕府の絶対的自信を物語っています。
そんな名古屋城、拙者はこれまで何回か訪れていますが
ここは何度来ても感心させられますな。見事な石垣に圧倒的大きさの天守、
それに威厳あるいくつかの現存建築物。時刻はもう午後4時を過ぎ
すっかり夕焼けに色づいた建物が、これまた情緒を醸し出して良い風情。
そんな中、今回の来訪時には本丸北側にある塩蔵構と呼ばれる小曲輪の石垣が
解体大修理を受けておりました。重機を使ってバラされた石材が並べられ
さながら築城工事の真っ只中にいるみたい。当時は重機なんぞなかったでしょうから
こうした作業を総て人力でやってたんですよね。それにしてもこの石、
一つだけでも相当な重量だぞ?!こんなのを人力で運ぶのか!
改めて、この城の創建事業は凄まじい事だったんだなぁと見せ付けられました。
名古屋城大小天守の夕景
名古屋城大小天守の夕景

夕暮れの空を背負った名古屋城の天守。
巨大な天守を包み込む秋の空は
夕暮れが近くなると共に赤みを帯びていき
かげっていく建物に対比して
勇壮なコントラストを見せてくれました。
城内をぐるりと見て回り、二ノ丸西鉄門から城外へ出る頃には街灯が点り
すっかり薄暗くなってしまっていました。さぁこれで今日の観光は終了です。
名古屋市からオサラバし、東名高速に乗って自宅へ帰ります。
北陸を横断し、さらに丹波・京都と名古屋を周遊した旅は
もっぱら、以前の旅で取りこぼした場所を見直す“リベンジの旅”でしたが
これで思い残す事はない!と思える満足したものでした。
天橋立ではこれでもかという程に晴男パワーを活用したしね (^-^)
いやぁ、この年2度目の“秋休み”有意義に使ったな〜♪

それにしても、後半戦はすべて「行き当たりばったり」で行動。
地図を見返してみると…滅茶苦茶なルートだね、こりゃ (^ ^;;;


◆◇◆ 木々燃ゆる 能登と古都とを 行くもがな 雨晴らしたる きまぐれの旅 ◆◇◆




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