2000年2月 奈良遠征

旅行期間:2000年2月10日(木)夜半出発〜2月13日(日)帰着

主な滞在地
2月11日(金):

大阪城公園・枚岡神社・平城京朱雀門跡・不退寺・奈良公園
多聞山城跡・東大寺・春日大社・興福寺
2月12日(土):
唐招提寺・薬師寺・大和郡山城址・法隆寺・広瀬神社・龍田大社
2月13日(日):
飛鳥坐神社・石舞台古墳・酒船石・飛鳥寺・橿原神宮・藤原宮跡
奈良遠征行程地図


今回の旅行は高校時代の部活仲間で集まったもの。
拙者以外のメンバーはきゃーるたん女史とその相方であるあっこ氏、
それに毎度おなじみの黒旅殿。かすこばは勿論城マニアであるが
きゃーるたん女史は仏像マニア、黒旅殿は神社マニアなので
城・寺・神社の三点セットを中心にした、まさに
「和の風情を追求する旅(というととても聞こえは良い)」になるのは
出発前から確実でした (^^;
で、今回の旅はそもそも何が発端かと言えば、きゃーるたん女史の
「寝台列車に乗ってみたい」というひと言から。
「○○へ行きたい」とか「▲▲が見たい」ではなくて
寝台車に乗るのが第一目的ってコンセプト、他の人じゃありえまへんな(爆)
まぁ、それに異を唱えるでもなく面白がって便乗した
黒旅殿と拙者もどうかと思いますが…(自爆)
何はともあれ、そんなこんなで旅のプランニングが始まり
最初の予定では、四国方面に向かう寝台特急に乗ろうという話に。
まだこの頃は拙者も四国へは行った事なかったし、
他の皆もそれなりに四国の面白そうな所に注目していたようなので。
ところが切符を取ろうとしたら、既に売り切れ。
ついでに言うと、やはり寝台特急は料金が高い!
という訳で、急遽予定を変更。大阪行きの寝台急行に乗る事になりました。
これなら料金も安いし、本来はビジネス客が乗る列車なので
連休前の日はかえって空席が増えるらしく、すんなりと予約完了。
四国行きの計画から、一歩手前の関西旅行になりました。
まぁ、京都奈良は神社仏閣の宝庫なんで、このメンバーならその方が良いのかもね!

我々が乗車する「銀河」号は東京発大阪行きの急行列車なので、
茅ヶ崎に程近い大船駅で乗車する事ができました。
特急だと横浜まで戻るか、熱海まで行かないと乗れないからねぇ。
こういう点でも急行列車はありがたいな、と実感。
乗車してすぐに日付が変わる時刻。初めて乗る寝台車に少し興奮しつつ、
明日の行程に配慮して早々に就寝しました。
人によっては線路の音がうるさくて眠れないという事もあるようですが
オイラはそんな問題も無く、安眠できましたね。
ま、普段から車の座席で車中泊してるくらいですから
ベッドになっている寝台車は十分贅沢な寝床なのですよ。
翌朝は京都の手前あたりで目が覚めて、ややまったりしながらも
身支度を整えて出陣準備完了。終点の大阪駅に到着する頃には
バッチリと行動する気合が入ってました (^^)v

大阪駅の喫茶店でモーニング。それが終わったら、予約していたレンタカーを借り
我々一行は関西周遊のドライブに出かけたのです。走り出すや否や、
最初に目に付いたのは大阪駅前にある国道1号線終点の交差点。
おぉー、茅ヶ崎を横断している1国はここまで繋がっているのかぁと感慨ひとしお。
…と言うのは一瞬で、大阪市内の碁盤の目になっている道を進んでいたら
まず最初の目的地、大坂城に早くも着いてしまいました。
駐車場を探して大阪城公園の南側を回り、公園南東隅にある森ノ宮駐車場に入庫。
ここからは徒歩で噴水広場を抜け玉造口から内郭部に入りましたが、
まぁこれだけで結構な広さを痛感。
もひとつおまけに、早朝の静かな水堀には周囲のビルが鮮やかに写り
まるで鏡を見ているかのようで、これにも感嘆しました。
玉造口から一番櫓を望みつつ、見事な石垣に感激し、
石狭間の説明をしながら豊国神社の前を通過、いよいよ桜門に差し掛かります。
桜門は大坂城本丸の南側にあり、ここが大手の入り口。
中に入る者を圧倒するように巨石ばかりで組まれた石垣になっています。
で、本丸の中に入ったら入ったでまた驚き。広いんだわ、これが。
桜門を抜けたらすぐ天守が見えるかと思っていたら、さにあらず。
庭園の草木や博物館が手前にあり、その奥に天守が控えているため
そう簡単に天守の全景を拝む事ができません。ってことは
本丸の敷地だけでそれだけの奥行きがあるって事だよね。
やっぱ見事だわ、これは。来た甲斐がありました。
しかし、そんなのんびりとはしていられない。お目当ての天守の姿を確認し
写真を数枚撮った所でとんぼ返り。仲間をその場に残し、
拙者はせめて大手門も写真に収めたいと思い立ち、ダッシュで急行!
他のメンバーは城マニアじゃないから、そこまで付き合わせる訳にいかないからねぇ。
桜門から飛び出して、森ノ宮とは反対側になる南西隅の大手口へ。
大手門と大手多聞櫓、それに千貫櫓の姿を撮影し、またも引き返して
天守の前で待っていて貰った仲間と合流したのでありました。

とりあえずこれで大阪城公園の散策は終了。
拙者一人ならば、もっと色々と見て回るんですが
今回は仲間と一緒だし、他に見学する予定も色々とあるのでねー。
ま、こんなもんだろうと思い出発。とりあえず天守と大手門は見たし (^^;
森ノ宮駐車場から車を出し、阪神高速の下を走る一般道を通って東へ向かいます。
運転するのは勿論オイラです。みんな免許は持っているんですが
関西の慣れない道でも対応できるのは、運転歴の一番長いオイラだろうと言う事で。
そんな事言われても、大阪市内の道なんてオイラも初めて走るんだけど…。
って言うか、そんなに怖がらなくても何とかなるでしょ、そんなもん (^^;;;

次に訪れたのは枚岡神社。大阪城公園から真っ直ぐ東に走り、
大阪平野が生駒山脈に突き当たる場所にある神社です。
ここは勿論、黒旅殿のリクエストで訪れた場所。
近隣にはもう一つ、石切神社という有名な神社があるそうなのですが
それよりも枚岡神社の方に来たいとの話でした。
神社マニアなりのこだわりがあるんでしょうなぁ(爆)
何でもこの神社の鳥居が独特の形で、普通の鳥居のような横木(と言うのか?)がなく
縦木(それで良いの?)の先が刃物のような形状になっているからだとか。
見てみると、確かに変な形状(失礼)。まるで槍か矛を突き立てているような感じ。
戦の神様でも祀っているんでしょうか。拙者にはよくわかりません。
先ほど大坂城で拙者が飛び回っていた如く、今度は黒旅殿が
何やらあれこれと詮索しておりました。
枚岡神社鳥居
枚岡神社鳥居

ご覧下さい、この鳥居。
鳥居と言われても鳥居に見えないでしょ? (^^;
神社もなかなか奥が深いものなんですねぇ。

さて枚岡神社を後にした我々は、生駒山地を抜けて奈良県へ突入。
歴史ある古都には見所が満載です。車窓を過ぎる風景だけでも
赴きある寺院がいっぱいあるので、もうそれだけで一同大盛り上がり!
渋滞気味の道路状況も全然苦になりません。
奈良市内中心部に差し掛かると、平城宮朱雀門の姿まで見えてきて
これは是非ともみてみようと即決。車を駐車場に入れ、
復元された朱雀門の勇姿を皆で見上げました。
今からおよそ1300年も前に、これだけの大きさの建物を造るって
それだけでかなりの大事業だったんでしょうが、門だけじゃなく
町全体を新しく創り上げたんだから、そりゃ相当な苦労だったんでしょうなぁ。
世界遺産に登録された奈良市は恐らくこれから色々と
史跡復元事業を進めていくんでしょうが、やはり同じような苦労があるのでしょう。
それでも、そんな事にめげず魅力ある史跡整備をお願いしたいものです。
平城京復元朱雀門
平城京復元朱雀門

これを見た瞬間
「とうとう奈良に来た!」と実感。
いにしえの栄華が目に浮かびます。

続いて訪れたのは市内の不退(ふたい)寺。今度は仏像マニアの
きゃーるたん女史が御希望された見学地です。当然、今度は彼女が
仏像に向かって突進。残り連中は中を少しばかり拝観させて頂いたのち、
どちらかというと庭園の風情に誘われて、庭の散策に足を向けたのであります。
冬の2月とは言え、この日はうららかな良い天気。日差しも柔らかく
それほど厳しい寒さを感じる程ではなかったので、
のんびりと日向ぼっこという感じで庭園を眺めていたのでござりました。
一同で「あー、やっぱ奈良って良い所だねー」なんて話し合いながら…。

時刻は午後1時を過ぎた頃。今日の予定は奈良市内の観光だけなので
ひとあし早く宿の駐車場に車を停めさせて貰い、その後に遅めの昼食。
腹ごしらえが終わったら、いよいよ今回の旅行の目玉になる奈良公園へ。
みなさんご存知でしょうが、奈良公園と言えば東大寺・春日大社という
大きなお寺と神社が揃っています。という事は、仏像マニアと神社マニアは
それぞれ思う存分、自分の好きなように見学したい場所というワケですね。
そこで出た結論は「奈良公園は各自自由行動」
宿に帰る時間を決めておき、後は各々好き勝手に動くべし、という事です。
当然、きゃーるたん女史は東大寺へ、黒旅殿は春日大社へ…。
じゃ、拙者はどこ行くか?と言いますと。
もちろん東大寺も見たいし、春日大社もアリだし、すぐ傍には興福寺もあるし
見所満載に違いは無いんだけど、やっぱり城が目標な訳ですよ。
困った事に、奈良公園からやや離れた所に城跡があるんですね (^^;
それも城郭史の上では欠かせない重要な城跡なんですね、これが (^^;;;
奈良まで来たら、城マニアとしてはそこを見ない訳には行かない訳でして (^^;;;;;
結果として、拙者が一番遠くまで出張る破目になったんですよ。
「じゃ、あとは自由行動で」の掛け声がかかった途端、他のメンバーを尻目に
一目散でダッシュして動き出したかすこばなのでありました。
後で聞いたら、拙者が一人猛烈に駆け出したのを見て
彼ら一同、何事かと思っていたそうです。

奈良公園まで来て、東大寺や興福寺、春日大社を見ない訳には行かない。
でも城も見なくてはいけない(←もはや義務)。
そのためにゃ時間節約で駆けずり回るのも致し方ないんですよ。
東大寺転害門の前を通り過ぎ、息を切らしつつやってきたのは
若草中学校。実はここ、多聞山城の跡なんです。
大和の梟雄・松永久秀が築いた城として有名なこの城は、
城郭の重要な構造物である多聞櫓発祥の城としても名高うございます。
しかもこの城、何と聖武天皇陵の跡地に建てられた城!
何と、眼下には東大寺大仏殿を見下ろす事ができます。
神も仏も恐れなかった久秀ですから、皇陵でも構わず踏み荒らし
東大寺を足元に見くだす感覚で城を築いたのでしょう。
ここから東大寺を望むと、そんな風にしか思えなくなってきます。
う〜ん、さすが「天下に3つの大罪を犯した男」ですなぁ。

時間は押してます。城跡を見たら直ぐに引き返します。
あぁ忙しい。
続いて訪れたのは、もちろん東大寺。やはり正面から入るのが礼儀だろうと思い
多聞山城からは遠回りになる南大門へときちんと回り込み、そこから参拝。
南大門の中には有名な金剛力士像が収められておりますが、これも逃さず見学。
日本史で習う文化遺産を目の前にしている訳ですからね、素通りなんて許されません。
南大門から奥へ進むと中門があり、その中には金堂、すなわち大仏殿が控えます。
東大寺に来たからにゃ、ここを見るのが当たり前。
というか、大仏さま見るために東大寺へ来たようなもんですから (^^;
しっかり中へ入り、御尊顔を拝させて頂きました。
いやぁ、満足満足♪

満足したのは良いんですが、大仏の後に見ようと思っていた
東大寺正倉院は、タッチの差で閉館時刻になってました。残念…。

正倉院は見られなかったので、今度は若草山方面へ向かいます。
正倉院を見るために大仏殿の裏手に回ったので、
そこから東の若草山へ歩を進めると、ちょうど二月堂や三月堂の前に出ました。
有名なお水取りの祭事で篝火が焚かれるお堂ですよね。
三月堂は法華堂というのが正しい名前(らしい)です。
このあたりには諸種の御堂がいくつも建っていて、
四月堂(三昧堂)とか、開山堂、不動堂など、結構密集して建物が並びます。
大仏と正倉院を観る人は多いのですが、こちらの御堂まで観に来る人は少ないので
意外と静かで落ち着いた空間が広がってます。
東大寺を訪れる方、時間があればこちらもどうぞと言った感じですな。
三月堂の南側にあるのが手向山八幡宮、その更に南は春日大社の境内です。

春日大社も有名な神社でござるな。奈良の神社と言ったらここ、という感じです。
朱塗りの建物が並ぶ姿は、さすがに神々しさを漂わせます。
不信心の拙者ながらも、神妙に参拝。今まで駆け足で見物してきましたが
ここで一息つきました。ふぅ〜 (^^;
で、時間を確認したら…集合時間まではまだ少しだけ余裕がある。
猛烈なダッシュで走り回っていた分、逆に時間が余ったようです。
となると、このまま終わらせるのは勿体無い。
まだ何かやる事はないかと考えると…そうだ、興福寺!
今いる春日大社から奈良公園を西へ突っ切れば、これまた有名な大寺の
興福寺が待ち構えています。ようし、これは興福寺が呼んでいるんだなと
(勝手に)気がつき、またもや猛スピードで走り始めた拙者でございました(馬鹿)

春日大社の境内を出て西に向かえば、奈良公園の中心にある建物の
文化財研究所の前に出ます。旧奈良県物産奨励館を再利用したもので
瓦葺の白壁に変わりガラスの窓という和洋折衷の建造物は異彩を放って目を引きます。
研究所の前を通り抜け公園出口へ、そこで国道169号線を渡ればそこが興福寺。
東大寺と並ぶ宗教権威であった興福寺は、中世に絶大な権勢を誇り
しばしば政治にも影響力を及ぼした存在です。と言っても、今は静かな文化財。
夕暮れの境内は、観光客よりも仕事帰りの方が帰宅の為に通り抜けたりしています。
そんな中、五重塔は夕日に赤く照らされ、南円堂は逆光に溶け込み、
中金堂はどっしりと腰を据えて泰然の姿。おおー、やっぱり来て良かった!
夕景の古寺というのは、何とも言えぬ趣がありますね。
ちなみにこの時、中金堂前の広場では大掛かりな発掘調査をやっておりました。
町の中心部で発掘という状況も、古都奈良ならではのものですよね。
駆けずり回った奈良公園周辺でしたが、色々と見学できて楽しゅうございました。
興福寺 東金堂と五重塔
興福寺 東金堂と五重塔

風格ある古刹の佇まい。
手前が東金堂、奥が五重塔。
どちらも国宝に指定されている第一級の文化財です。

さて、宿へと戻り夕食。昼間の慌しさから一転してまったりモード…
にはならないのです (^^;
東大寺、興福寺は間違いなくライトアップ中。
これを写真に収めずして何とする!
ちゃーんとこの為に三脚も持参しているのだ!!
夜の奈良公園探訪に出発するべし!!!
という事で、再び奈良公園へと向かったかすこば。
案の定、奈良公園の浮御堂はオレンジ色に浮かび上がっています。
まさに浮かび上がっている御姿、素晴らしいものです。
今度は興福寺境内へ移動。夕焼け時に見た様子も良かったのですが
ライトアップに照らされる情景も神秘的で素晴らしい。
五重塔なんか、まるで夜空を刺すような鋭さが感じられるし
月夜に佇む南円堂はまるで幽玄の世界、俗世から乖離しています。
おおー、やっぱり来て良かった!(再び)
興福寺 東金堂と五重塔(夜景)
興福寺 東金堂と五重塔(夜景)

上の写真とほぼ同じアングルで撮影。
闇夜に煌々と照らされた姿は
昼間見るのとは全く違う様相です。
凛とした空気が漂う空間でした。




次 頁 へ


本 丸 御 殿 へ 戻 る


城 絵 図 へ 戻 る