★この時代の城郭 ――― 稲葉山城
現在の岐阜県岐阜市、道三の支配する時代には井之口(井ノ口とも)と呼ばれた町に
戦国有数の名城・稲葉山城(現在の岐阜城)がある。海抜329mの金華山に築かれたこの城は
もともと鎌倉時代に砦が築かれていたものを戦国時代に改修され、道三の居城となった。
稲葉山城は、岐阜市内に単独で屹立する金華山の山頂に築かれた城であり、
周囲は断崖絶壁で隔絶され、麓には長良川が流れて天然の濠を為していた。
山頂の本丸に至る道は凄まじく急峻な坂道で、現在ではロープウェイが敷設されているものの
そうした文明の利器がない時代には容易に攻め上がる事など出来ない代物だ。
よって、数ある戦国時代の名城の中でも関東後北条氏の小田原城と並び評される程の堅城で
全国で一二を争う難攻不落ぶりを誇っていた。道三という名将がこの城を抑えている限り
武勇を誇る信秀といえど攻め落とす事など出来ず、城下町を焼き払う程度で終わったのだ。
現在は観光地として整備され、濃尾平野を一望し名古屋市内まで臨む事ができる岐阜城は
稲葉山城の名で呼ばれた時代、戦国屈指の名城であったとして特筆しておかねばならない。
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