★この時代の城郭 ――― 武士のおこり
城を舞台に戦をし、城の主として領国を経営したのは言うまでもなく武士である。
その武士の起源はこの時代、平安時代中期まで遡る。
桓武平氏や純友のように、地方官として下向した者が土着し
武力を以って領地・領民を支配した「実力者」達である。
彼らは平時においては開墾などを行って領地を増やし
他者の侵略を受けた時、あるいは他者の領地へ侵攻する時には
武器を携え勇猛に戦った。このように、当初の武士は「半農半兵」であり
「生活の糧として」武装化し交戦したのであった。
それ故、負ける事は領地を失う事を意味し、
実力本位の厳しい戦いが繰り広げられたのである。
都で貴族が平安を謳歌していた頃、地方農村では生きるために戦い、
死と隣り合わせで領地を獲得していった武辺者が誕生していた。
彼らは地位が低くとも、自らの力のみを頼りに生きる強者であり
次第にその実力(=武力)は貴族にとっても無視できない存在になっていく。
特に東国は桓武平氏以来「武士の治める地」の風潮が根強く、
「武士による武士のための政治」を希求するようになっていき
その信念は鎌倉幕府成立への原動力となっていった。
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