1998年10月 南東北縦断(4)

明けて東山温泉の朝。天童・東山と贅沢な宿に連泊し
一日走り続ける旅行でも疲れなど全然感じない。
すがすがしい朝の空気を堪能するため、宿をチェックアウトした後も
しばらく東山温泉郷の中を散策してみる。改めて見てみると
温泉旅館が何件も並び、かなり大きな温泉街だという事がよくわかる。
温泉街と並んで流れる湯川を遡れば、雨降滝という滝もあり
宿もお湯も風景も極上の気分にさせてくれる名温泉場だったワケですなぁ。
東山温泉郷 雨降滝
東山温泉郷 雨降滝

日光竜頭の滝のように、幾段にも分かれて流れる滝。
川の流れに沿って並ぶ温泉郷というのは
何とも日本的で良いものですね。

昨日の会津藩校日新館は、時間ギリギリで見物したので
今日は朝からゆっくりと観光しようと思い
東山温泉郷の山すそにある会津武家屋敷の再現施設を訪れた。
ここは会津藩士の武家屋敷を復元した観光地で、
会津藩家老の西郷家屋敷や、城下の中畑陣屋などが移築されている。
季節柄、菊祭りもやっている時期だったので
日本の古民家と共に綺麗な菊の花も堪能する事ができました。
ちなみにこの施設の中に、幕末の京都で見廻組を率いた
佐々木只三郎の墓もあります。何でも坂本龍馬を倒した人物らしいですな。

藩校に続き武家屋敷と、会津の江戸時代を感じさせる観光地を回るかすこば。
とかく会津というと白虎隊の話が有名すぎて、
そればかりが注目されてしまうのですが、結構色々な見ものがあるもんですね。
で、もう一つ会津の江戸時代を感じさせ
現代にまでその姿を残している場所があります。
国道118号線を南へ向かい、下郷町に入った所にある宿場町、大内宿です。
ここはもう今でも江戸時代のままの町並みが並んでいて、
道の両脇には疎水が流れ、萱葺き屋根の古民家が
軒を連ねている場所でございますな。
118号線から分岐した国道121号線に入ってすぐ、
会津鉄道の湯野上温泉駅前で121号線を右に曲がり、
小野川沿いに山を登っていった先が大内宿。
写真を見てもらえばわかると思いますが
のどかで情緒溢れる宿場の姿が広がっていました。
疎水を使って洗い物をしたり、野菜を冷やしたり
おばあちゃんがのんびりと日向ぼっこをしたりしていて
あー、日本の良い風景だなぁと感じさせてくれる場所です。
伝統的建造物群保存地区 大内宿
伝統的建造物群保存地区 大内宿

宿場町の風景を残す名所は
日本各地に数多くありますが、
これ程まで昔のままの景観が揃っている場所は
なかなかないと思われますね。

小野川沿いの道を戻り、再び国道121号線を目指すかすこばの車。
この小野川というのも綺麗な渓流で良いですぞ。
思わず路肩に車を停め、写真撮影などしてしまいました。
さて、121号線から更に118号線へと戻ったら
今度は東へ向かい、鶴沼川に沿って白河市方面へと進みます。
これまた鶴沼川というのも山あいを縫って流れる大きな川で
所々に現れる早瀬や絶壁などが美しい。この川の写真も撮ったりして (^^;
鶴沼川の最上流部のあるのが羽鳥湖。羽鳥ダムで堰き止められた人造湖で
かなり大きな湖面が延々と広がっている。この湖からは南へ進路を取り
118号線から別れ、福島県道44号線を選択。一気に白河市の中心街を目指します。
白河ICから東北自動車道に乗り、帰宅する予定でございます。

白河の町に着いたのは午後3時半頃。
高速に乗る前に、白河で見ておきたいと思ったのが小峰城
白河と言うと、古来から陸奥国の入口とされた土地で
交通の要衝だった場所。当然、城の歴史も古く、南北朝時代に築かれたものが
紆余曲折や移転を経ながら江戸時代にまで用いられてきたのです。
幕末の戊辰戦争では会津若松での前哨戦として戦いが繰り広げられ
惜しくもこの時に数々の建物が滅失してしまったのですが
1991年(平成3年)、地元の熱い要望で天守に相当する三重櫓が
伝統的本格木造工法で再建され、町のシンボルとなりました。
そんな小峰城を訪れたかすこばの第一印象は「石垣が高い!」
東国の城は石垣を用いる事自体が稀で、あってもなかなか
高い石垣が組まれるようなものがないのですが
ここ小峰城には見上げるような石垣が建ち並んでいるのにビックリ。
城の中に入ってまたビックリ、復元三重櫓がここまで立派だとは!!
ここは城マニアじゃなくてもオススメできる場所ですね。
城マニアの人ならば、絶対行かねばならない場所でしょう。
しばし時間を忘れて、素晴らしさにウットリとしてしまったかすこばでした。
小峰城
小峰城

これがその復元三重櫓です。
小柄ながらスマートなので高く見えます。
内部も木造工法なので雰囲気たっぷり。
城郭建築物の復元はこうあるべき、という見本ですな。
石垣の高さにも注目して下さい。

もう陽が落ちる時間なので、観光はこれにて終了。
白河ICから高速に乗り、帰路に着きました。
東北の情緒や自然の美しさを思い返しながら
夜景の横浜を通り過ぎ、家に帰ったのでありました。


◆◇◆ 陸奥国 城と自然を 仰ぎみて 深き情緒に 心打たるる ◆◇◆




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