2008年1月 新年皇居一般参賀

旅行期間:2008年1月2日(水)

主な滞在地
1月2日(水):東京駅・皇居(江戸城西ノ丸)・北の丸公園・内堀通り
新年皇居一般参賀行程地図 (C)Mapple


皇居、かつての江戸城
いや、今も現役で「御城主様」がいらっしゃる訳だから
“かつての”と言うのは間違いか?兎に角、その特殊な性格から
一般人がおいそれと立ち入れる場所ではない城である。
まぁ、本丸や二ノ丸は東御苑として一般開放されているし
北ノ丸は公園なので24時間出入は自由なんだけど
西ノ丸や吹上なんかは、そう簡単に入り込めない聖域だ。
宮内庁に申込すれば、ツアーとして見学できるらしいけど
決まったコースを順番に見て回るだけなので、なかなか思い通りにはいかない。
刑務所となっている某市内の城跡(伊達政宗の隠居城ねw)と並び
現在、最も過酷な守りで固められている堅城なのである。

しかし、しかしだ。
その皇居に入り込み、自由に歩き回れる日が年に2回だけある。
天皇誕生日と正月2日、一般参賀の日である。
(年に2回とは言え、10日程度しか挟んでいない訳だがwww)
江戸城内、西ノ丸をどうしてもじっくり見てみたい!という衝動に駆られ
とうとうオイラは皇居一般参賀に乗り込んだのでござる !!
国重文 東京駅丸の内側駅舎
東京駅

そんなこんなで東京駅に下り立った拙者。
国重文の駅舎前には日の丸が翻ります。
快晴の空からは眩しい光が降り注ぎ
まさしく晴れがましい日を祝っておりました。
逆光は勝利!(謎)
行幸通り(東京駅から真っ直ぐ延びる道)をひたすら直進、
わき目も振らずに皇居を目指します。と、いるわいるわ…おまわりさんが(爆)
皇居前広場(西ノ丸下曲輪)では入場(入城?)整理が行われており
全員が手荷物チェックを受ける事になります。
ま、これは覚悟の上。もちろん危険物なんか持ってませんからw
というか、カメラとフィルムそれに望遠レンズだけ持参したので
オイラは別段問題なくスルー。普通は引っかかる事なんか無い筈ですが
ペットボトルとかは持込不可なんだそうで、皆様も行かれる際にはご注意を。
二重橋
二重橋

皇居前と言えば、定番のこのアングル。
ただ、良く見て頂ければ分かる通り
橋を渡る人が大勢おります。
普段はこの景色を見るだけで
向こうへ入る事なんかできませんが
いざ、本日は未知なる世界へ突入! (^-^)b
皇居正門、つまり西ノ丸大手門をくぐりその先の虎口を右へ大きく曲って行きます。
しかし「立ち止まらないで〜!」という警察官の声が厳しく
なかなかゆっくりと写真なんか撮ってられません。そうは言っても、
未知の領域に立ち入ったんだから少しは見物する余裕くらい欲しいモンだよなぁ (^ ^;
皇居正門から180°転回した先にあるのが二重橋、
これを渡ればいよいよ西ノ丸に入る事ができるんですが
その前に、二重橋の上から見えるものと言えば…
伏見櫓
伏見櫓

伏見櫓キター!
いつもは二重橋前から遠く斜めに見るだけですが
(上の写真の構図です)
二重橋を渡る位置からだと、ほぼ正面に !!
いやはや、これを拝みに来たのだよ私は (T-T)感涙

西ノ丸に入ると、すぐに大きな広場が開けます。
皇居新宮殿前広場、TVのニュースなんかでお馴染みの
一般参賀で大勢の人が集まる場所ですな。参賀は1日数回あり
時間を区切って入るようになるんですが、オイラが到着したのは
前の参賀が終わった直後だったので…
皇居新宮殿前広場
皇居新宮殿前広場

こんな感じで、まだガラガラ(笑)
しばらく待って、参賀の時間になるまで
ボーっとしてました(爆)
とは言え、この後から続々と人が詰めかけ
時間までにはこれだけ広い空間がギッシリ (^ ^;
で、当然の事ながら参賀が終わったらそれだけの人が一斉に退出し始めます。
ここまでの通路は一方通行なので、もと来た道には戻れず
全員が入口とは反対方向の退出口へと進む事に。
「江戸城を見に来た」オイラとしてはここからが本番なんですが
出口にごった返す人だかりが出来ているので、さらに暫く待つ事に。
人が少なくなった所で、じっくりと散策する作戦なのでござるよ♪

さて、ほとんどの人が新宮殿前広場を出たあたりから行動開始。
広場から出る下り坂を歩き始めたら、途端にこれが
江戸城本丸西南隅部
江戸城本丸西南隅部

おぉ、本丸!普段は絶対見られない西側 !!
しかもその上に凛々しく建っておられるのは…
富士見櫓
富士見櫓

憧れの富士見櫓さま〜!! (><)号泣
天守が火事で焼けてしまった江戸城において
天守代用と言われた由緒ある三重櫓です。
皇居前広場からだと、様々な障害物越しに見るだけ
しかも“裏側”で眺めるしかないんですが
この日だけは、邪魔者無しに正面から拝謁できます★
目線の高さで富士見櫓が拝めるなんて、最高だ !!!!!

入口は西ノ丸大手門の1箇所だけなんですが
新年一般参賀での出口は、坂下門・桔梗門・乾門の3箇所。
好きな出口から出る事ができます。新宮殿前広場から一番近いのは
坂下門なので、だいたいの人は流れに沿ってそこから出て行きます。
オイラもとりあえずはその流れに従って、坂下門方面へ。
坂下門はまさしく名前の通り坂の下にある門で…
坂下門
坂下門

幕末、老中の安藤信正が襲撃された
「坂下門外の変」が有名ですけど
こちらは門内側からの撮影。
普段は見られない内側の写真を撮る為に
わざわざこのルートをやって参りました。
ちなみに、明治時代に改築されているので
実は江戸時代と建物の向きが違ってたりしますw
で、皆様坂下門からゾロゾロ出て行かれますが
オイラはここで方向転換。坂を登り直しもっと富士見櫓に近づくのが目的ッス。
しかしその前に、坂下門から本丸方面へ至る道の前に現れるのは―――
宮内庁
宮内庁

宮内庁の庁舎。無論、明治以降の近代建築なので
江戸時代からあった訳ではありませんが
堂々とした貫禄があって、随分と格好良い。
ここで記念撮影する人も結構多いですね。
昭和10年に建てられた建物だとか。

さぁ、宮内庁の建物を過ぎればいよいよ本丸の傍に。
富士見櫓さまが手に届く距離に近づいて来ました!
富士見櫓
富士見櫓

“八方正面の櫓”と呼ばれるだけあって
どこから見ても美しい、均整の取れた姿…。
―――でもやっぱり、裏側から見るよりも
こうして表側から見た方が、綺麗に決まってます!
丁度この時間、この位置からだと順光で撮れるので
空の青さも引き立ちました。これはもう、富士「見」と言うより
この櫓そのものが、富士山に匹敵する秀麗さです。
本丸石垣
本丸石垣

城マニアとしては、櫓ばかりでなく
石垣だってじっくり見てます。
この折れ具合、この高さ、さすが天下の府城!
中腹に排水口が開いている点にも注目。
(え、そんなの何が良いのか分からんって?w)

石垣に沿って歩き、桔梗門出口方面に進むと
道の右側、芝生の中に何やら埋もれた石が。
こちら、富士見櫓の下で通路を塞いでいた蓮池門の跡。
蓮池門跡
蓮池門跡

本来はこの上に石垣が組まれ、
そこに渡櫓の門が建てられていた訳です。
現在は建物が撤去された上に
石垣そのものも崩してしまったので、この状態。
ちなみに、解体された渡櫓門の建物は
名古屋城の正門として移築されたんですが
惜しくも戦災で焼失してしまいました (T_T)

そしてここは富士見櫓の直下!
これ以上、富士見櫓を間近に見られる場所はなし !!
ここに来る為に、今日わざわざやって来たと言っても過言ではなく
思う存分“八方正面の櫓”を四方八方から撮影 (^-^)v



逆光もまた良し…やはり逆光は勝r(以下略)

そのまま富士見櫓の向こうへ進んでしまうと、桔梗門から退出する事になりますが
これじゃまだまだ早すぎる。せっかく皇居内に入ってるんだから、もっと居座らないと(爆)
という訳で、坂下門前と同様に再びUターン(笑)
今度は宮内庁前から乾門方面を目指します。
蓮池濠と本丸西面
蓮池濠と本丸西面

ちょうどフィルムが終わったので、
ここで新しい物を装填していると
皇宮警察官の方が「いい写真撮れました?」と
声をかけて来られました。参賀よりも
城目当てで写真を撮りに来る人、
結構居るみたいです (^ ^;

本丸西面から蓮池濠を挟んで並行に進むと
左手に広がるのは吹上の森。人波もすっかり掃けていたせいもあり
さっきまでの騒ぎがウソのような静けさ。
で、この道を進んだ先の注目ポイントは…本丸富士見多聞櫓!
富士見多聞櫓
富士見多聞櫓

皇居東御苑の中からは間近に見えるんですが
近すぎて全然上手く撮影できないクセモノ。
これも、普段は入れない皇居側から見るのが
一番美しい姿になる櫓でございます。
それにしても、伏見櫓といい富士見櫓といい
どうして江戸城は「普通には見られない場所」の
櫓ばかり残っているんだろう… orz
下道灌堀
下道灌堀

続いて登場するのは下道灌堀。
江戸城を作った人と言えば太田道灌、
その名を冠した堀ですから、言い伝えでは
この堀は築城当時から現在まで残されている
ものなんだとか?これまた、皇居内に
立ち入らないと見られない代物でござる。
そして逆光はしょ(もういいって)
西桔橋門跡
西桔橋門跡

下道灌堀の先、本丸側に目を転じると
西桔橋(にしはねばし)門跡が見えてきます。
今は架け替えられた小さな橋がありますが
当時はここに跳ね橋が架かり、吹上と本丸の
往来に使われていたようですな。勿論、戦時には
橋が上げられ、通行できなくなる仕掛け。
天下泰平の城なれど、実戦に備えていた訳です。

富士見多聞をふり返る本丸北端部
ふり返れば富士見多聞があんなに遠くなり…一方、進む先には現代のビル街が見えてきました。
宮内庁前から乾門まで、直線距離で600m以上! いや、結構あるもんですなぁ。

乾門
乾門内側乾門外側
で、ようやく乾門に到着。13時頃に皇居へやって来たんですが
乾門に着く頃には、既に陽が傾き始める14時半過ぎ。駆け足で動いたんですが
それでも、2時間弱も皇居内をウロウロ(笑)いや、別に不審者じゃないですよ (^ ^;;;
これにて皇居を退出致します。それにしても、おまわりさんがいっぱいだ…。
もう1回中に入れてと言っても、簡単に阻止されそうw

しかし、これだけではまだ帰りません。
せっかく江戸城を満喫するのだから、そのまま北の丸公園にも突入します。

現在は北の丸公園、本来は江戸城北ノ丸。
今は市民の憩いの場になっており、庭園も自由に散策できる中を
カメラ担いで一人黙々と歩く拙者。わざと公園の外れに出て
千鳥ヶ淵の眺めを見て回ったりするのは…マニアならではですかね?
そして一番北端までやって来ると、目に飛び込んできたのは

田安門
田安門内側田安門外側
江戸時代からの現存建築物、田安門です。
いわゆる枡形門の構造になっていて、威風堂々とした構え。
特に櫓門の外側石垣は精巧な切込接布積みになっていて
将軍家の権威がこれでもかと光り輝いています。
櫓門のすぐ内側には日本武道館があるので、良くご存知の方も多いのでは?
この日も武道館で何かコンサートでもあったらしく
門の外まで入場待ちの人が列を成し…。江戸時代では有り得ない光景だ(苦笑)

先に千鳥ヶ淵は眺めたので、田安門を出たら牛ヶ淵沿いに進みます。
北ノ丸を時計回りに外側を歩くコースですが
程なく現れるのは清水門。

清水門
清水門外観清水門枡形
北ノ丸の北を守るのが田安門ならば、こちらは東の出入口。
それぞれの門の傍に屋敷を与えられた事から命名されたのが
徳川御三卿の田安家と清水家です。つまり、清水門は清水家の姓の由来。
それは兎も角として、清水門の枡形は実にお見事な作り。
半分を開放系にしておきながら、そこには対岸の出隅から
射撃が加えられるような設計になっていて、近世城郭の完成形と言える
江戸城の中でも、特に秀逸な構えと評価できます!

清水門から再び北ノ丸の中に入り、皇居方面へと戻ります。
北ノ丸のど真ん中を突っ切り、突き当たるのが北桔橋門。
本丸の北側入口、普段ならば東御苑へと入れる門なんですが
一般参賀の日は、逆にこちらが閉園日なので本日は入れません。
ここを入れば、目の前に天守台の巨大石垣があるんですがね。
とりあえず遠景を写真に収めるだけにしておきます。
北桔橋門土橋
北桔橋門土橋

東京の中心にある江戸城ですが
こうして見ると、結構な台地上に
築かれた城だという事が分かります。
何と言うか…軽く山だなこれは。

ここからは本丸の外側を時計回りに歩くコース。
道なりに歩けば、竹橋門の跡に行き当たります。
今は自動車用の道路に架け替えられましたが
当時は木橋で竹橋が架けられ、その防備をする門がありました。
尤も、当時の竹橋と現在の竹橋はごく僅かに位置が異なるので
破却された竹橋門も、歩道の隅の方を良く見れば
ひっそりと石垣跡を発見できます。
更に先へと進めば、見えてくるのは平河門。
これも皇居東御苑の入口になっていますが、本日は通行不可。
堀越しに遠景を眺めるのみです。
平河門
平河門

平河門は鬼門を守る門。しかも江戸城本丸の
通用門。という事で、なかなか独特の形状を
している門なんですが、今日は遠くから
見るだけです。個人的にはこの風情
結構お気に入りなんですがねー。

このルートで最後に到着するのが大手門。
城の正面入口なんだから、本来は最初に来る場所ですが
今日の道順だと一番最後という事に(笑)
そんな大手門前で、本日のオマケ写真★
大手門前にて
大手門前にて

桔梗堀を優雅に泳ぐ白鳥さん。
水の中には鯉の姿も…。
冬の1日でしたが、結構歩き回ったせいで
それほど寒さは感じませんでした。
この後、東京駅へと戻って終了〜!



◆◇◆ 初春を 寿ぐ城に 集う人 江戸の心気 今も変わらず ◆◇◆




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