2000年6月 信濃騒動

旅行期間:2000年6月17日(土)〜6月18日(日) / 6月24日(土)

主な滞在地
6月17日(土):小諸市内各所
6月18日(日):JR小海線
6月24日(土):海野宿
信濃騒動行程地図


あっこ氏に譲ったかすこばの旧車「光冠号」が
この度、めでたく総走行距離10万kmを達成するとの事で
お祝いとして記念ドライブに出かけよう!という話になった。
あっこ氏と相方のきゃーるたん女史、それに前オーナーの拙者で
日帰り小旅行を目的としたのだが、行き先に選んだのは信州。
上信越道回りで長野へ入り、山梨方面に抜けて中央道から帰れば
ちょうど中間点あたりで10万kmになる、という計算だったのね。
そうと決まれば行くっきゃない!週末の土曜日、6月17日は
あいにくの雨模様だったのだが、そんなのお構いなしで出発しました。
ところがこの後、思いも寄らぬ出来事が待っていようとは…。

まずは茅ヶ崎を出発して上信越道を目指します。
これはもうお決まりのルート、国道129号線から国道16号線へ進み
入間ICで圏央道に。そこから関越道を北上して群馬県に入り
藤岡JCTで上信越道にシフトしました。藤岡IC、吉井ICと過ぎるたび
景色はだんだんと市街地から農耕地へ、そして山並みが近くなってきます。
これから向かう群馬・長野県境は妙義連山が立ち並び
次第に近づくその峰々はさながら横たう巨大な壁のよう。
その妙義山を眼前に見る横川SAで一休みしたのだが
雨天の山の中、さすがに天候はかなり荒れ模様になってきた。
こりゃひょっとして先行きヤバいかも… (ーー;
激しい雨の降り方に、もしかして高速は通行規制かかるかなぁ
通行止めになる前に早く峠を抜けたほうが良さそうだ、と考え
休憩を切り上げ(何か変な表現)慌ててSAを発ちました。
案の定、通行止めにはならなかったものの速度制限がかかった碓氷峠、
豪雨と霧の中では言われなくてもスピードを緩めて走ります。
上信越道の碓氷区間は高速道路とは思えないほどの急カーブが連続、
しかも急勾配で上り下りが繰り返されますが、
そんな険しい道を凌ぎきって軽井沢に下りた時、
ようやく雨が少し小降りになってきていました。

で、我々がどこに向かったのかと言うと、小諸の町です。
町歩きをしたいと言うきゃーるたん女史のリクエストでして、
拙者としても小諸は以前駆け足で見ただけの場所だったので
今回じっくりと見直してみたいと思った次第。
小雨がそぼ降る中、まずは小諸城の入口、大手門公園へ。
以前拙者が訪れた時は夕日が沈む間際、大慌てで城内を走り抜けただけ。
今回はゆったりと、大手門の建物から見学させて頂きますぞ。
この小諸城大手門は現存古建築。櫓門形式だったのを明治時代に改造され、
門扉部分を締め切って部屋にしたものの、旧状の雰囲気は良く留めている。
建物の両脇は高石垣で塞がれ、まさしく大手門の威厳が漂っていた。
その大手門の隣には移築された小諸本陣主屋の建物も。
ここだけ見ればすっかり江戸時代、という感じですな。
国重文 小諸城大手門
国重文 小諸城大手門

重厚な造りの大手門です。
両脇に石垣、どっしりとした二重櫓門、
城マニアなら惚れ惚れとする御姿ですな。
長押(なげし)がむき出しの柱なのは
結構古風な建築だという証拠です。

さて大手門から向かったのは城跡…ではなく、逆方向の市街地へ。
城の中は時間に余裕があったら見る事にして、先に
きゃーるたん女史の楽しめる場所を散策する事にした訳やね。
小諸という町、結構昔の趣を残している所でなかなか素晴らしい。
島崎藤村に関連した名所もあり、歩いてぶらぶらすると
色々な発見があったりもする。さすが城下町、そして宿場町。
大手門公園から本町交差点方面へ歩み、そこから東向きの道を進むと、
古い建物がいくつか現れ、早くもタイムトリップ気分に包まれてきた。
酒蔵の前には酒ばやしの丸い玉が吊り下がり
蔵屋敷の軒下には漆喰で造形された「味噌」「醤油」の文字が浮き上がる。
小諸にて 古い土蔵
小諸にて 古い土蔵

ちょっと見にくいですが、
奥の土蔵の庇の下に「味噌」「醤油」の塗り込み。
小諸はこういう古い建物が
今でも息づいている街です。
道を直進して突き当たった先は松井稲荷のささやかな神社。
雨に濡れた境内は少し薄暗く、お参りもそこそこに切り上げて
今度は荒町1丁目の交差点から小諸駅へ戻る道に入った。
細かい路地にも入り込んでみると、そこにあったのは藤村井戸。
何でも島崎藤村が住んでいた頃、使っていた井戸だとか。
古い町並みに溶け込んだ井戸はごくごく普通に馴染んだ光景で
案内板がなかったら「ただの井戸」で見落としそうでもある。
でもまぁ、騒ぎ立てないこういうさり気なさが良いのだろうね。
やや遅い昼食はもちろん小諸蕎麦。これも景観に配慮した
古風な建物のお店で頂き、雨の信濃路を堪能したのでした。
藤村井戸
藤村井戸

街中で普通に溶け込んでいる井戸。
昔なつかし手押しポンプで汲み出すようになってます。
今やこういう井戸も市街地じゃ見かけませんよねぇ。
改めて小諸という町の良さを感じさせます。

町の散策から戻り、小諸駅の地下道を抜けて懐古園へ。
藤村の「小諸なる古城の辺」で有名な小諸城跡でござるな。
相変わらず小雨が降る中、傘をさして城内へ。重要文化財の
三ノ門をくぐったらそこかしこに豪快な石垣が立ち並び
気分は一気に戦国時代。まぁ、江戸時代に整備された城跡なんですが
何というか迫力?荒々しさ?が戦国な感じなんですよ (^^;
園内には小さな神社がいくつか建立され、その先にはひと際大きな
天守台の石垣が。もちろん登ってみました。石垣の際には
特に柵が建っている訳でもないので、ギリギリまで近づけます。
そこから下を覗き込んでみると…うひょー、さすがに高いわ!
もしここで戦なんかやったとして突き落とされたりでもしたら、
ひとたまりもありませんな。
つくづく、城跡は見るだけで良い時代に生まれて幸せだと思いました。
小諸城天守台にて
小諸城天守台にて

下から見上げるとそれほどでもないんですが
上から見下ろす光景はかなりの高さを感じます。
目いっぱいせり出してシャッターを切りましたが
高所恐怖症の方は止めたほうが良いですね(え、やらんって?)。

小諸の町を十分楽しみ、車は少しずつ引き返すコースへ。
そろそろ10万km走破が近づいてきたので、ビデオカメラまでスタンバイ (^^;
国道141号線を南東へ向かい、佐久市に入ります。上信越道の
佐久IC前を過ぎ、今や長野行新幹線の停車駅となった佐久平駅近辺の
繁華街までやって来た時、記念の瞬間は訪れました。長土呂東交差点で
光冠号が総走行距離099999km→100000kmを達成したのであります!
時刻は夕方4時過ぎ、いつの間にか雨は止み
雲の隙間から薄日が射すようになっておりました。
ちょうど目の前にミスター○ーナツのお店があったので
その駐車場に車を入れ、記念撮影。ついでにお店に入って
ドーナツで(笑)ささやかな祝杯を。いやぁ、めでたいめでたい♪
オイラとあっこ氏&きゃーるたん女史の積み重ねで
とうとう光冠号も10万kmかぁ。考えてみりゃスゲーなぁ。
拙者が免許を取った時に即決して中古で買ったのは1993年の事。
確かその時にはまだ3万kmちょっとくらいのメーターだったんだよね。
買っていきなり富士山を1周するロングドライブを敢行し
(今考えると、免許取りたての初心者が無謀な事をしたもんだ)
近場では伊豆や千葉、遠出して中部圏全体や新潟方面にも出かけたオイラの相棒。
1999年の正月にあっこ氏へ譲り渡した後も、色々と使い込んでもらって
今日で遂に大台達成。感慨もひとしおでござりまする〜 (^^)
「いやー10万キロだねぇ、おめでと〜!」
「おつかれさまー、よく走ったねぇ!」
「10万km過ぎたとたんに壊れたりして」
「そんなバカな、ハハハハハ」
なーんて談笑。時間は午後7時を少し回ったところでした。

ミ▼ドで小一時間ほど休憩し、いよいよ帰宅する道に進みます。
もう夕日も西に沈みかけ、あたりは暗くなってくる時間でした。
これから山梨に抜けて高速乗ったとして、帰り着くのは深夜だろうねぇ。
まぁ、明日特に予定があるわけじゃないし、記念ドライブなんだから
少しくらい遅くなっても笑って許そうじゃないか!
とりあえず国道141号線を南下、佐久市街地を抜けて山梨方面を目指しました。
ところが!忘れもしない小海町大字千代里2915番地で
走行中にもかかわらず車のエンジンがなぜかストップ!
運転していたのはきゃーるたん女史、慌てて路肩に停め、
後続車からの追突は免れましたがいったい何事?!
「なになに、どーしたん?」
「エンジンが、あれれ?」
「ちょっと代わってミソ?」
「バッテリーは…大丈夫だねぇ」
「セルモーター回ってるもんね」
「せんぱ〜い、どーしようー?」
どーしようーと言われても…ガス欠という訳じゃないし、バッテリーも大丈夫だし、
ひょっとして電気系のトラブルか?だとしたら大ごとだぞ。
うぇ〜、たった今10万km記念を祝ったばかりなのに
一転して大問題発生だ。どうしたもんだろ?
うわさをすれば何とやら、ホントに故障してしまったのです。
色々と試してみた挙句、結局どうにもならんのでJAFを呼ぶ事に。
あーぁ、イベントドライブどころじゃなくなった (T_T)

あたりはとっぷりと日が暮れて、もう真っ暗。
この暗闇の中、JAFのロードサービス係の方が来てくれて
エンジンルームを覗き込んで「ベルトが切れてますね」
という事は、部品を換えない限りこの車は動かない。
しゃぁないので、一番近いカーディーラーまで運んで貰う事になりました。
ロードサービスのトラック荷台に光冠号を積み、
今まで走ってきた道を引き返します。結局、佐久市まで戻る事に。
時刻はもう夜10時。もちろんこんな時間に営業している訳はなく、
ディーラーの駐車場に光冠号を置き、翌朝営業が始まるまで待っててくれとの話。
ゲッ、ここで夜明かしかよ!マジ〜?
回りを見渡してみても、開いているお店は1件もなし。
というか、お店らしいもの自体見当たらない。
これじゃ何もできないやね。動き回ろうにも、肝心の車は使えんし。
まだまともに夕食も食べてないし、だいたいここで一晩明かせって…。
とりあえずオイラが歩きで辺りを探索し、1時間ほど歩き回って
ようやく開いている少し怪しげなレストランを発見。
この1件だけだったね、店らしい店は。
ここで3人して苦笑いしつつ食事を取りました。もう笑うしかないよね。
こうしてこの夜の夕食はわびしく終了。あとはひたすら夜明けを待つだけ。
腐れ縁(?)の3人は狭い車内でザコ寝して、長い夜を凌いだのでありました。
いやぁ、それにしても翌日が何もない日曜で良かったよ。
仕事のある日だったりしたら、もうどうにもならんかったし (><)




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