★★★相州乱波の勝手放談 ★★★
#21 《築・城・記? その1》名古屋城 石垣編
 




男の子って、小学生や中学生の頃に一つや二つ(勿論それ以上の方も)
プラモデルくらいは作った事があると思うんですよね。
時代的にプラモデルが無かった大正生まれとか昭和一ケタ世代とかは除くとして
高度成長期以降なら例えば“■ンダーバード”とか“スーPーカー”とか、
第二次ベビーブームの世代からは“宇宙戦艦ヤ▼ト”や“ガン◎ム”なんてのを
誰しも作っただろうし。オイラの場合、ガ△ダムほかアニメ系のモデルは正直
興味が無かったんですが(だからガンプラは全然作った事が無い…)
「模型なんだから、やっぱり実在するモノのスケールモデルだろ!」という主義で
F-15や74式戦車なんかを次から次へと作ってました(←もう伏字面倒くさいw)
空自装備品縛りで片っ端からやっつけていたんで、T-2練習機なんか
前期型・後期型・FS-T2改・T-2CCV実験機の4種類網羅したりしてw
当然、F-1支援戦闘機もそれとは別に作ってて(アホだw)
F-2はまだ完成していない時代だったんで、限定発売品で作ったのが「FSX」…。

あ、ネタの意味わからない方どうもすいません… m(_ _)m

しかしまぁ、いい大人にもなりゃもうプラモデルも卒業ってなモンで
完成した作品はとっくに全部処分して、結婚して子供も産まれりゃ
記憶の彼方に消え去ってという感じでしたが、ある日突然
「久々に何か作ってみたいなぁ」と思ってしまったのが運のツキ。
「城好きなんだから、城のプラモデル作ろうかなぁ」
「そういえば、生まれて初めて作ったのは城プラモだったなぁ」なんて
色々と心悩ます思いが悶々と(苦笑)いや、むしろこの年になって
『今更』プラモデルを作るのであれば、子供騙しなんかじゃなく
みっっっっちり気合入れて作り倒さにゃイカンだろ!と考えるようになっていた処
2011年の9月、たまたま買い物に訪れた事務用品店で何故か売っていた
1/350スケールの名古屋城キットを見てしまったからさぁ大変。
「普段、ガンプラしか売ってない店なのに何で今日だけ名古屋城?」
「いや、これはもう俺に買えと云っているんだよね?」と悟り
気が付けばお買い上げ(爆)個人的に、名古屋城は大好きな城だし
それどころか、名古屋城の精密模型欲しいと思っていた程なので
これを作り込んで、自前で精密模型を完成させたろう!と決心した次第。

プロのモデラーではなく、あくまで“昔取った杵柄”という素人ですが
とりあえず、持てる技術は総て投入する!ガチの本気モードで作る!
絶対に手抜きはしない
、だから気分の乗らない時には敢えて作業せず
例え何年かかっても良いからキッチリ腰を据えて仕上げる!
というコンセプトで、名古屋城の“築城”が開始されたのでありました (^ ^;



城のプラモデルって、要するに近世城郭の天守一帯を切り取ったジオラマ。
ほぼ100%の割合で、石垣(つまり土台)の上に天守や櫓といった建物を
乗っけていく訳です。まぁ、たまに上田城のモデルみたいな天守ナシというのも
ありますが、原則的には殆ど同じ。という事で、まずは土台になる石垣を
扱う事になるワケですな。この石垣モデル、基本的には最初っから
石垣風の網目模様が成型されていて、簡単に組み上げるだけなら何もしなくて
良いようになっているんですが、模型雑誌のレビューなんかだとこの網目模様を
さらに掘り込んで、より凹凸を際立たせるのが良いなんて言われるワケです。
でもね、オイラは常々それに納得してなかったのでございますよ。
石垣を深く掘り込むのは良いけれど…名古屋城天守台石垣に埋め込まれたビール瓶
例えばプラモデルの石垣を掘り込んで、0.5mm位のスジを付けたとする。
(実際には0.5mmどころか、0.8mmや1mmになるのが普通)
それをモデルスケール分の350倍にすると、実物のサイズに換算して
何と17.5cmもの幅がある事になる!野面積みの石垣ならまだしも、
名古屋城の石垣は打込ハギと呼ばれる工法で、石と石の隙間は極力少なくし
それでも空いた隙間にはそこに入るサイズの石を打ち込んで(だから打込ハギ)
ガッチリと押さえ込むようになっているのだから、こんな隙間は有り得ない!!
右側の写真は現実の名古屋城天守台の石垣を写したもので
昭和の天守再建に先立ち、石垣の歪を検知する目的でビール瓶が
埋め込まれている部分。瓶のサイズと比べれば一目瞭然、
どこに17cmもの隙間が空いているって言うんだ?という話ですよ。
打込ハギの石垣を正確に再現するのであれば、むしろこんな隙間は
できるだけ潰して、平面に近い状態を作り出すのが当然。という事で、
オイラが名古屋城モデルで最初に取り掛かったのは、石垣の網目を埋める作業でした。
しかも、ただ埋めるのではなく「石の手触り感」を出すべく
表面を出来るだけザラザラに仕上げ、然る後に塗装で石の継ぎ目を再現したのです。

まず黒で塗り潰し
まず最初に法面全体を溶剤で
溶かし、元からある網目を消去。
そしてつや消し黒で塗り潰し。
この時点で既に表面が
ザラザラに仕上がってます。
手触り感まで写真で
伝えられないのが残念! (><)
石を一つ一つ塗る
で、このようにして
石を一つ一つ塗り分けて
石垣に見えるように
仕立てていく訳です。
橋台部分 進行状況1橋台部分 進行状況2
橋台部分 進行状況3
だいたい4色くらいを使い分け
少しずつ、真っ黒な下地の中に
石を“打ち込んで”いきます。



基本的には「打込ハギっぽい」石垣を塗り分けるだけで
さすがに1個1個の石の形までは再現できませんが、しかし一箇所だけ
実際の石垣と同じパターンに仕上げた部分があります。それがこれ↓
名古屋城天守台西面
名古屋城天守は計画段階において、西側に小天守を1基設ける予定でした。
石垣の構築もそれに合わせて連結部分を用意していたのですが、
この“西小天守”は造らない事に変更され、石垣も埋め戻されます。
現在も、天守台の西面には埋め戻しの痕跡が残されているので
これだけは忠実に再現したい!と思い、塗ってみたのがこれ↓
西小天守埋め戻し部分




作業風景
マジで、筆で1個1個の石を
塗り分けているんですよ (^ ^;

最近はプリンタでパターンを印刷して
貼り付けちゃう技法もあるようですが
それをやったら全然
「製作」じゃないので却下!
多聞櫓石垣 進行状況1多聞櫓石垣 進行状況2
多聞櫓石垣 進行状況3
地味〜な作業なんですが、
結構こういうのが好きなんで
着実にこなしていきます(笑)


さて、順調に塗り分けていった(と言ってもこの作業だけで1年以上経過w)
石垣なんですが、どうしても気になった部分が1箇所。天守裏手の
不開(あかず)門のあたりです。この部分、本物は
石垣が2段の段差を構成しているんですが、キットではそれが省略され
段差の無い1枚の“壁”のようになってしまっているんです。
一応、塗装で段差“っぽい”塗り分けをしてみたんですが…
不開門のあたり
やっぱり全然雰囲気が出ない。
と言うか、模型なんだから
きちんと立体成型にしないと
逆に違和感が出てしまう… (ー゙ー;
プラ板でパーツ生成
という事で、段差を再現すべく
プラ板でパーツを自作。
この段階では透明なので
イマイチ見難いですが―――
位置あわせ塗り潰し
位置をあわせ、同じように黒く塗り潰せばこの通り!
続き部分も
不開門の続き部分も、
同じ厚みになるように
パーツを生成しました。
不開門石垣 塗装完了
色を塗ったらこんな感じ〜!
ちゃんと段差が再現され
全体的なバランスも取れてます。



大きさ比較
50円玉の穴の中に、いくつ石が入っているでしょう?
このレベルで塗色し続けるのは、なかなか根気が要ります。



ところで、このキットで再現されるエリアの中には
実は排水用の石樋が2箇所設けられております。が、さすがに
プラモデルではそこまで成型されていないので………

これも自作するっきゃないでしょう!(笑)

自作石樋2個
という事で、作った石樋2個。それぞれ現物に合わせて形も違います。
土橋 石樋取付前土橋 石樋取付後
不開門に繋がる土橋、石樋取付前後の比較。
小天守前 石樋取付前小天守前 石樋取付後
小天守の前、石樋取付前後の比較。
不開門前土橋小天守前石樋
ちなみにこれが実際の土橋(写真左)と小天守前石樋(写真右)です。



さて、作業が進めば石垣の上に櫓や天守といった建物を載せていく訳でして
それをはめ込む為のガイドが用意されています。説明書通りに作っていけば
誰でも簡単に建物を組み上げられるようになっているんですけど、
先を見越すとちょっと気になる点が。不開門に連接する多聞櫓と
小天守の隣にある多聞櫓、プラモデルで作成するものは
実際の縄張にあったものと少々違っているようです。キットのまま作れば
大きく折れ曲がった勇壮な多聞櫓が完成するのではありますが…しかし
“精密模型を作り上げる”という目標にしている以上、現物通りの形で
再現したい!という訳で、多聞櫓部分を改造するのを見越し
石垣のガイドも、邪魔な部分を削り取る事にしました。
不開門連接多聞櫓 作業前不開門連接多聞櫓 作業後
不開門連接多聞櫓のガイドを切除。
小天守横多聞櫓 作業前小天守横多聞櫓 作業後
小天守の横に繋がる多聞櫓も同様に。

ガイドを切除した部分は、後ほど綺麗にコーティングします! (^ー゚)b




石垣塗色完了!
という作業を経て、とりあえず石垣の塗色が完了した時点で
このような状態になりました。小天守脇の多聞櫓、内側の法面が
塗られていないとお思いになった方、この部分は元来
土塁仕立てになっていた所なので、それを再現すべく
石垣の塗装は行わなかったのでございます m(_ _)m

実はここまでの作業で早くも2年3ヶ月が経過…。
リアルな築城と変わらんぞ、これ(爆)
紙面も膨大になってきたので、続きは別頁で!




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