1999年12月 駿府攻略

旅行期間:1999年12月26日(日)

主な滞在地
12月26日(日):駿府城跡・静岡市役所・浅間神社富士宮口本宮・小田原城址公園
駿府攻略行程地図


年の暮れ、12月。その中でもまさに終盤、クリスマスを過ぎて
年明けまであとわずかという26日の日曜日。何だか無性にドライブをしたくなり
ただひたすらに国道1号線を街一番号で西へと向かったかすこば。
思いつくまま走り、何となく静岡市を目的地に設定したのであります。
静岡市にある名城、駿府城ってまともに見たことがなかったんでねー。

城下町・小田原市を抜けると箱根の山。急峻な山道を登り、芦ノ湖を過ぎると
箱根峠の県境を越える事になります。ここからは静岡県。
今までの登り道が一転して急な下り道になり、眼下には駿河湾まで見通せる
三島方面の展望が開けました。程無く箱根山塊を抜け、三島市街地も越せば
沼津市に入ります。国道246号線との分岐点あたりから、1国はバイパス路に。
直線的な路面が延び、右手には霊峰富士に連なる愛鷹山が迫ります。
この辺の区間は非常に走りやすく快適な道。東名高速も並走していますが、
ここだけ走るんだったら一般道でも十分な感じです。
富士川の橋を渡ると道は左へカーブし、駿河湾に接する位置を走るようになります。
海沿いを抜ける道は何とも爽快。このあたりから富士を背中に受けるようになり
まるで富士山に見送られるかのような構図になりますね。
そうこうしている間に、清水港が近づいてきました。
遠洋漁業の一大拠点である清水は、工業も盛んな新興工業地域なので
大型トラックの姿も増えてきます。ここで街一番号はバイパス区間を離れ
旧道へと路線変更。JR草薙駅前を通過し、静岡市街地に入りました。

さて、静岡市の中心街に到着し目的の駿府城跡へ。
現在は駿府公園となっている駿府城跡、街のど真ん中にある大きな公園なので
すぐに見つけることができましたが、車を停める場所がなかなか見つからない。
何たって、年末の忙しい時期だからねぇ。歳末の買出しで人があふれ、
どこの駐車場もほとんど満杯。駐車場の空き待ちで暫し時間を費やしました。
ようやく見つけた駐車場は、公園から少し離れた場所になってしまいましたが
まぁ、贅沢は言ってられないやね。
賑わう歳末のショッピングモールを突破し、いざ駿府城へ!

と、意気込んで城の端まで来たものの、どうせ見るなら隅々まで見てみたい。
駿府城って、地図で見ると分かると思うんですが見事な四方形の敷地になっていて
周囲が綺麗に濠で囲まれているんです。よしそれなら、まずは外縁を一周だ!と決め
ぐるっと周りを歩いて見る事に。現在に残る駿府城二ノ丸の外郭は、
歩いて回っても20分ほどなのでそれほど手間のかかる道のりではありません。
近代に改修された場所もありますが、石垣がほとんど昔のまま残されているので
濠と石垣を見ながら回れば、城マニアなら退屈せずあっという間に散策が終了するでしょう。
そこかしこに屹立する石垣はさすがにお見事、神君家康公安住の地たる
駿府城の権威を見せ付けてくれますな。と、城の内側だけでなく
外側にも目を向けてみると、何だかレトリックな建物が。
ん〜?何だこの建物は。横浜あたりにありそうな感じだけど…と思い
近づいて確認すると、何とこれが静岡市役所の本館。
ほう、市役所なんですか、これ。へぇー。
ちょっと場違いにも思えますが、なかなか洒落た建物が忽然と現れ
あたりの景観にワンポイント、目立つ存在として鎮座されております。
静岡市役所本館
静岡市役所本館

“昭和の洋館”といった感じの市役所本館庁舎。
なかなかに重厚感のある建物ですよね。
隣には新館庁舎もありまして、
(写真左側に少しだけ写っている高層庁舎です)
そちらは現代的でスマートなデザインの建物。
対比すると結構面白みがありますよ。

さて、外郭散策を終えたらいよいよ城内に突入します。
近年の改修工事によって二ノ丸東御門が復元されているので、そこから城内に。
復元建築とは言え、この門はかなり立派なもの。もちろん、
最近の城郭復元で定番になってきた木造再建なので、
鉄筋コンクリート造りのような寒々しさがありません。
櫓門の梁に使われている木材なんか、めっちゃ太くて味がありますぞ。
もう少し歳月を経れば、古建築に追いつく風格が出てくる事でしょう。
で、門をくぐって城内に入ると、そこは駿府公園の敷地。
外は年末の雑踏だったせいか、公園内は結構静かなもの。
子供に人気のはずのSL、D51なんかも展示されているのですが
さすがに閑散とした状態でした (^^;
さらに歩き回り、他方に目を遣れば
芝生に覆われた開放的な敷地が広がっています。
昔はここに数々の御殿建築が建ち並んでいたのですね。
やはり神君家康公が終の住処とした巨城ですので
往時の壮大さが偲ばれますな。そんな訳で、家康公ゆかりの駿府城、
当然ながら城内には家康公の堂々たる銅像があったり、
家康公がお手植えされたと言うミカンの木が残っていたり。
何でも、この木は現代の品種改良を受けていない旧来種なので
今となっては学術的に貴重なものなんだとか。
城跡と言うと、歴史的に重要な史跡であるのはもちろんですが
こうして理化学的にも色々な保存種を残している事もあるんですね。
駿府城跡 内堀石垣遺構
駿府城跡 内堀石垣遺構

明治期に陸軍が駐屯地とした駿府城、
いったんは内堀が埋め立てられてしまいましたが
近年の発掘調査で再び石垣が日の目を見ました。
現在はこのように整備され
見学できるようになっています。
ちなみに復元東御門の写真は…
「大天守」駿府城の頁を見て下さい(爆)

今日のお目当てである駿府城攻略は完了!
用が済んだら長居は無用、とっととズラかります(ォィォィ)
静岡市街地を後にし、街一番号はもと来た1号線を東に進みました。
しかしまぁ、陽が暮れるまでにはまだ時間がある。
帰りがけにどこか見る所はないかな…と考えていると
車は富士市に入りました。お、富士市からちょっと北に行けば富士宮市、
確か富士宮には浅間(せんげん)神社があったよな、と閃きました。
今年の夏に富士吉田や須走の浅間神社を巡ったので
ここは一発、富士宮口の浅間社も見てみようと決定。
1号線から左に折れ、国道139号線に移って北を目指しました。

富士市街地、富士宮市街地を抜ける139号線は
渋滞とまでは行かないまでも、何だか団子状態の道路状況で
少々時間がかかってしまったものの、陽が暮れる前には浅間神社に到着できました。
さてそれでは、謹んで境内に参内させて頂きましょう。
冬寒い夕暮れ時、しかも忙しい師走の終わりとあって
わざわざこんな日に、こんな時間に神社へ来る人は居ません (^^;
おかげで境内はガラガラ。拝殿や末社など、数ある古い建築物を
いくつか見て回り、神域の脇に来て見ると広々とした池がありました。
ここは湧玉池と呼ばれる富士宮浅間神社の神池で、かなり大きな池ながら
実は総てこの場で湧き出ている湧水で満たされているとか。
もちろんこの湧水、霊峰富士の伏流水です。
富士山からの地下水というと、忍野八海や柿田川湧水が有名ですが
それ以外にも、富士山麓のそこかしこにこうして湧き出ているんですね。
いやー、全部あわせるといったいどれほどの湧水量になるんでしょう?
さすがは日本一の山、人知を越えたスケールの大きさです。
湧水だけにとても透明な水で満たされた湧玉池を見ながら
これだけ綺麗な池ならば、神池となるのも当然だよなぁと感慨にふけってみたりして。
富士浅間神社 富士宮口本宮
富士浅間神社 富士宮口本宮

参詣を終え、帰りがけに撮った鳥居の姿。
夕日に照らされ、いっそう朱くなった鳥居と
その隣には雄大な富士山の全体像です。
不信心な拙者ですが、この光景ならば
富士を敬う気持ちも何となくわかるような…気がします。
(「気がします」かよ!というツッコミはご勘弁を)

さて、もうすぐ日が暮れてしまいます。
あまりのんびりする時間もないので、いい加減帰らねば。
今度は139号線を南下し、1国に合流。そこから箱根越えで神奈川県に入りました。
小田原に着いた頃にはすっかり真っ暗な状態。どうせ真っ暗闇ならば
ライトアップされた小田原城の姿を見てみようじゃないかとも思い
ちょっとだけ寄り道して、城址公園に入ってみたかすこば。
うん、もちろんこんな時間に人がいるはずもなく拙者1人だけ。
広いお城を独り占め!って思うのは城マニアだけでしょうな (^^;
普通の人だったら、夜の城跡に一人ぼっちなんて不気味なだけでしょうから。
そんな事を考えつつ、公園の頂部にある天守前広場に到着。
思ったとおり、ライトアップされて白く輝く天守の壁面が
闇夜に浮かび上がってとても綺麗です。この姿を見れば、
一般の人でも、夜の城跡が楽しく思える…かも?(微妙〜)
小田原城天守夜景
小田原城天守夜景

まるで宙空に浮いているかのような天守閣。
こういう姿を普段から目にしている
小田原市民の方々が羨ましい〜 (><)
写真を撮影したら、急いで車に戻り家路に就きます。
小田原から再び国道1号線を東に走り、茅ヶ崎に帰りました。
さて、明日も仕事。年末の忙しい時期、もうひとふんばりしないとね。
年越しに向けての鋭気を養った、歳末のお手軽ドライブでございました。


◆◇◆ 気ままなる 旅人迎える 静岡で 人の流れは 年越しに継ぐ ◆◇◆




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