1998年7月 中越紀行(2)

続く26日は、後輩連中も引き連れての周遊。
越後須原の駅前にある酒蔵を見学したのです。
越後と言えば米どころ、米どころと言えば酒どころ。
言うまでもなく数々の銘酒を生み出している新潟県ですが
その中でもここ須原の酒造、玉川酒造さんはひと味違う。
越後と言えば豪雪でも名高い所ですが、
この雪までも利用して酒の貯蔵や醸成を行っているとの事。
しかもこの地に湧く清水を使って酒を造っているそうなので
地元の米、地元の雪、地元の水をふんだんに用いた日本酒なのですね。
そんな「地元もの」にこだわった酒蔵さんは
工場見学、試飲、販売もその場で行っているので
ちょっとした観光地になっています。
酒の飲めない拙者は、清水を頂いただけでしたが
のんべえの連中は、銘酒をあれこれと試飲し、買い付けておりました。
(え、高校生もいたんじゃなかったっけ?)
ゆきくら貯蔵庫
ゆきくら貯蔵庫

中央にあるビニールシートで覆われた小山には
冬の間に蓄えた雪がぎっしりと詰まっております。
その山の中に、日本酒の貯蔵庫があるのですが
中に入ってみると、夏なのに寒いこと!
豪雪を利用した天然の冷蔵庫は、
間違いなく日本酒の保存に役立っております。
夏が過ぎ、秋ごろになるとこの雪も溶け切ってしまうのですが
その頃にはもう次の雪が降り始めるそうで、
上手い事1年のサイクルが繋がるようになってるんですね。

酒蔵見学の次は、湖までのドライブ。
守門村から国道252号線を走っていけば、奥只見の山を抜け
福島県との県境に達します。とんび氏と拙者は、
その県境を目指して車を走らせたのであります。
昨日は上条で国道290号線に折れたものの、今日はそのまま直進し
我々2台の車は入広瀬村へ。JR只見線とどこまでも並走する252号線は
徐々に険しくなっていく山を間近に感じながら東へと向かっていく。
時折見える谷間には荒々しい岩肌やこぼれ落ちる滝があったりして
いよいよ国境の秘境にやってきたような感じにさせられる。
越後須原から走る事1時間半、六十里越トンネルをくぐり抜けると
福島県へと入っておりました。そこで我々が見たものは、
眼前に広がる巨大な湖!只見川を封鎖する田子倉ダムが作り出す人造湖、
田子倉湖だ。この大きな湖は福島県の水道を供給する源になるばかりか
大規模な水力発電施設の稼動源にもなっている。
と、難しい説明は抜きにして、田子倉湖の水は真っ青なブルー。
波一つ立たない湖面はガラスのように透き通りつつ、周りの山並みや
空の雲を反射し、兎にも角にも美しいとしか言いようがない。
何だか見とれてしまい、しばらくその場で全員が呆けておりました。

福島県に入ったものの、これより先に進むのは時間的に無理だったので
その場で反転、もと来た道を取って返す。
福島県に入っていたのはせいぜい500m程だった (^^;
帰り道は急激な下り坂。先行するとんび殿の車は
加速に任せてガンガンかっ飛ばしていく。
何せ前回の旅行じゃ老齢の車で関越トンネルを160km/h以上で走り
結局オーバーヒートまでさせた位の飛ばし屋だからねぇ。
拙者はそんな無茶に付き合ってられん、と早々に諦め
後からのんびりと追いかける事にした。
で、六十里越から宿へと戻る道すがら、オイラ一人で立ち寄ったのが鏡池。
歩いても周囲を一周できるほどの小さな池だが、
その名の通り、鏡のように景色を映し出す秀麗さ。
巨大な田子倉湖もいいが、小ぢんまりとして爽やかな鏡池も捨て難い。
越後の奥山には、素晴らしい湖がいくつもあるのですね。

いよいよ帰宅する27日。高校生らは越後須原駅から電車に乗り
上越線経由で茅ヶ崎へと向かう事になっている。
対する我らOB連は、行きと同じく車に分乗し
各自の住所まで送り届けつつ帰宅する予定だ。
とにかく、宿から駅までは全員で向かい
列車組を見送った後、車は小出ICへと移動する事になった。
しかし只見線は田舎の単線、列車が来るまで結構時間がある。
そこで新潟を離れる前に最後の観光と言う事で、
国の重要文化財に指定されている目黒邸を皆で見学する。
この目黒邸、江戸時代後期〜明治初頭にかけて作られた豪農民家で
主屋・橡亭(新座敷)・中蔵・新蔵の4棟から成っているもの。
中に入ってみると、板張りの床や囲炉裏、土間のかまどなど
いかにも「日本の古民家」という情景が残されていた。
やっぱこういう伝統建築っていいねぇ…と、しみじみ感じ入りました。

越後須原駅で高校生を見送り、車組も移動を開始する。
ついでながら、前回の羽越旅行と同じく電車組に
小出駅で追いつく悪ふざけをまたやってみたりもしました (^^;
その後は小出ICから関越道を走破。
船橋の人間を送り届けるため、やはり外環道を通り千葉に抜け
然るのち、首都高湾岸線を利用して神奈川県へ。
ま、要するに初日の往路を全く同じ様に逆走し
茅ヶ崎まで帰ってきたワケです。
これにて第2次新潟合宿行も無事終了。
さすがに前回のようなオーバーヒート事件などのトラブルは起こらず、
無事に帰宅しましたので悪しからず★


◆◇◆ 越(こし)の国 仰ぎて見ゆる 山の瀬に 深き清水と ふるさとの酒 ◆◇◆




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