1995年7〜8月 羽越旅行(3)

月が替わって8月。守門村に逗留して3日が過ぎ、
茅ヶ崎に帰る日がやって来た。旅支度を整えた我々は、
星の家に別れを告げ、再び越後須原駅にまで下りてきた。
後輩たちは行きと同じく鉄道で帰るのだ。
列車の時刻までまだ間があったので、時間を潰すため
駅に近い旧家・目黒邸を見学する一行。
目黒邸は江戸時代から残る豪農の古民家建築で
国の重要文化財に指定されている貴重なもの。
雪国の古民家を外から眺め、内部を見学し
江戸時代の生活を思い浮かべていたら、あっという間に列車の時間となった。
ここでとんび氏と拙者は後輩達を見送り、車での帰路に着く。

と、関越自動車道に向かう国道252号線の道すがら
悪ふざけを思い立つ我々。
列車組は越後須原から只見線で小出へ出て、そこから上越線で上野、
さらに山手線・東海道線を乗り継いで茅ヶ崎へ帰る予定である。
単線の只見線は駅ごとに上下列車の待ち合わせがあるから
小出駅に辿りつくまで、かなり時間がかかるはず。
ならば車で先回りし、見送った彼等を小出駅で待ちうけるというのは?
この大アホな企画は即座に決行され、とんび氏のワゴン車は
小出ICではなく小出駅を目指して走り出した。
案の定、小出駅には我々の方が先に到着し、
後輩連中の騙し討ちに成功♪
こういうオバカな楽しみ方というのも、旅行ならでは。
まさに「旅の恥は掻き捨て」ってやつですな (^^)v

さて、小出駅を後にした我々は、今度こそ高速に乗るべく
小出ICに向かったのでござった。ここで更に悪ふざけな提案が。
「上野駅にも先回りできるかな?」
えーっ?!そりゃちょっと無謀なんじゃない?
よほど飛ばせば出来なくはないだろうけど…と思ったら
すっかり乗り気のとんび殿はいきなり車を加速させ始めた。
確かに、関越道は渋滞しているワケでもなく
車線はガラガラ。飛ばし放題にスピードは出せる状況だけどさぁ。
あっという間に六日町IC、塩沢石打IC、湯沢ICを過ぎ
いよいよ上越国境の関越トンネルへ突入。
谷川岳をブチ抜く関越トンネルは全長10926m、
要するに、約11kmの長大なものである。
普通に走っていれば、10分ほどはかかる長さなのだが
何ととんび殿、5分程度で抜けてしまった。
え?そんな馬鹿なと思いスピードメーターを覗いて見ると…
時速160km?!おいおいおいおい、そりゃ出し過ぎどころの話じゃないぞ!
だいたい、この車は冷却系がおかしくなってるんじゃなかったっけ(冷汗)

このままとんび氏に運転させてたらどうなるかわかったモンじゃないので
途中で運転交代。拙者が東京まで運転する事にした。
群馬県から埼玉県へ入り、東京は目前という所になって
交通量が増加、渋滞の気配が感じられた。
関越道の終点は練馬ICだが、その先は首都高速に繋がっていないので
一般道を通って都心に向かわねばならない。
この交通状況で一般道を通っていては絶対に上野駅には間に合わないと予測し
大泉JCTから外環道へシフトする。少々お高く付くルートだが
時間には替えられない、まさに「時は金なり」というやつだ。

外環道を走る区間はわずかで、美女木JCTで首都高速5号線へチェンジ。
板橋、池袋を通過して上野方面を目指すコースを狙ったのだが…
恐れていた予感が的中、車の調子が急激に悪化してきた。
先ほどから水温計の針が上下にふらついているのだ。
しかも首都高はガチガチの渋滞で身動きが取れない。
こうなりゃ車を騙し騙し動かすしかないと思い、為すがままに任せたが
飯田橋あたりまで来たところでゲームオーバー。
水温計は完全に振り切り、オーバーヒートして車は動かなくなった。
渋滞中なので後続車に追突される恐れはなかったが、
ハザードランプを灯け、故障発生を周囲に知らせなきゃ…と思ったら
地獄に仏、不幸中の幸い、我々の車の前に居たのは
首都高速のパトロールカーであった (^^;
こちらの車が不調という事にすぐ気付いたパトロールカーは
その場でロープを接続、非常駐車帯まで牽引してくれた。
いやー、「故障車」というスクロールサインが目の前でスタンバイするのは
なかなか見られるもんじゃないやねぇ(←感心するな!)
高速パトロール隊の方々、あの時は本当にありがとうございました。

パトロール隊の車は去り、JAFのロードサービスが来るまで
非常駐車帯で待ちぼうけの我々。もちろん、ガチガチの渋滞では
救援車がすぐに来れる訳もなく、いたずらに時間が過ぎていく。
ちなみに待つ間、とんび氏がとんでもない大ボケをかましてくれたのだが
彼の名誉のため、ここでは伏せておきます (^^)
さてはて、いったい何時まで待っていれば良いのだろう…と途方に暮れた頃、
ようやく牽引車が到着。この場ではどうにもならないので、
一番近い所にあるカーディーラーの営業所まで行き、そこで修理する事となった。
と言っても、この渋滞から抜け出る事も容易ならず、
高速を下りて修理場所に着くまででまたもや時間を食う。
修理している間もひたすら待ちぼうけ…で、結局は日が暮れる頃になって
車が復活する運びに。やはり冷却系の異常で、
冷却水の循環パイプに穴が開いていたんだそうな。
もちろん、上野駅で追い着く計画は全くのパァ。
無理な運転は何事につけ良くない結果になるもんですな。

何だかとんでもない結末になってしまった羽越旅行であったが
とりあえず、短い夏の思い出としては上々だったかな?
清涼な山形の山々を味わい、日本海越しのドライブを楽しみ、
新潟では夏の夜空に天の川を眺めた今回の旅、
迷パートナー?のとんび氏と交代交代の運転も良いものでした。
ちなみに、 超オンボロ ご老体の御車は
現在も何とか生き延びて走っているそうでございます。


◆◇◆ 天の川 眺む我等の 北紀行 羽越の思い出 今も目蓋に ◆◇◆




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