★★★相州乱波の勝手放談 ★★★
#51 まさに焔硝蔵?!な「報道各社の矢文(ネットニュース)」を検証する!
 




注:今回は歴史とか城とかは全く関係ない話です


先日の仕事中、ある事件に遭遇した。
職場の中では大騒ぎ、損害も甚大であったのだが、どこから聞きつけたのか報道各社も取材に来て
いつの間にかネットニュースに上がっていたりする。こんな所にまで来て、報道業界の方々もヒマご苦労な事ですねぇ。
まぁ実際に被害が生じているし、それ以来いろいろと後処理に追われているので報道する価値はそれなりにあるだろうが
“当事者”でもあるので、気になってそうしたニュースを見てみれば(見たくなくても勝手に通知が来るw)
「ん?これって…」と、ビミョーにニュアンスが違っている点に気付いてしまった。中には「は?何だそりゃ」と思えるモノも。
そこで今回は、そういったネットニュースの“比較検討”をしてみたい。


事件の内容は…まぁニュースの文面をご覧頂ければ分かると思うので
とりあえず各社の内容をいくつかご紹介。一応、ネットニュースの元サイトにリンクするようにしておきますが
何せこの手の“使い捨てニュース”は数ヶ月(下手したら数日)で元サイトが削除されていくので
後日の為に、その文面も「引用表示」させて頂きます。


まず一番手は天下の公共放送・NHKさまのニュースサイト。 (以下引用)

リチウムイオン電池充電中に出火か 郵便局のバイク28台全焼 07月08日 17時33分

8日午前、神奈川県寒川町にある郵便局の車庫から火が出て、とめてあった配達用のオートバイ28台が全焼しました。
警察は電動のオートバイのバッテリーに使われるリチウムイオン電池を充電中に火が出たとみて詳しく調べています。

8日午前9時前、寒川町宮山の寒川郵便局で、配達用のオートバイをとめている車庫から火が出ているのを郵便局員が見つけて消防に通報しました。
火はおよそ1時間後に消し止められ、けが人はいませんでしたが、この火事で鉄骨平屋建ての車庫と配達用のオートバイ、合わせて28台が全焼しました。
警察によりますと、半数以上にあたる18台が電動で、通報した郵便局員がバッテリーを充電しているスペースから火が出ているのを見たということです。
警察は周辺に火の気がないことから、バッテリーに使われるリチウムイオン電池の充電中に出火したとみて詳しい状況を調べています。
日本郵便によりますと、火災の影響で寒川郵便局の管内では普通郵便の配達の一部などに遅れが出たということです。
9日以降は近隣の郵便局から配達用のオートバイを集め、通常どおりの配達ができるようにするとしています。
日本郵便は「ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ございません。早急に通常業務となるよう最善を尽くします」としています。

(引用ここまで)


続いては民放TV局、フジテレビ(FNN)系列は (以下引用)

「充電器付近から火が出ていた」郵便局で配達用バイク28台燃える
バッテリー充電中…車庫から出火 神奈川・寒川町
 2025年7月9日 水曜 午前8:40

神奈川・寒川町の郵便局で、配達用バイク28台が燃えた。
当時はバイク用バッテリーを充電していて、火事を見つけた局員は「充電器付近から火が出ていた」と話している。
警察と消防は、出火した状況を調べている。

(引用ここまで)


テレビ朝日だと… (以下引用)

2025年7月9日 18:33 郵便局のバイク 28台全焼 リチウムイオン電池が要因か

郵便局の電動バイクが次々と燃えました。

8日、神奈川県寒川町の寒川郵便局で、充電中だった配達用の電動バイクなど28台が燃える火事がありました。
実況見分の結果、火元の特定には至りませんでしたが、電動バイクのリチウムイオン電池が火が燃え広がる要因になった可能性があるということです。
黒煙が激しく上がりましたが、この火事によるけが人はいませんでした。

(引用ここまで)


新聞社系列、読売新聞では (以下引用)

郵便配達のバイク28台燃える…神奈川県寒川町の郵便局車庫 2025/07/08 23:36

8日午前8時40分頃、神奈川県寒川町の寒川郵便局で、自転車庫から出火、
鉄骨平屋の車庫が全焼し、車庫内に止められていた配達用オートバイ計28台も燃えた。けが人はなかった。
茅ヶ崎署によると、車庫内に置かれていたオートバイ用のバッテリーや電気配線などから出火した可能性があるという。
日本郵便南関東支社によると、近隣の郵便局のオートバイなどで配達業務を行っているという。

(引用ここまで)


そして地元紙、神奈川新聞では (以下引用)

寒川郵便局の車庫で火事 配達用バイク28台全焼、普通郵便を配達できず 2025年7月8日(火) 22:20

8日午前8時40分ごろ、寒川町宮山の寒川郵便局の自転車庫で「リチウム電池から出火している。バイクに燃え移っている」と119番通報があった。
鉄骨平屋建ての車庫と車庫内に駐車していた配達用オートバイ28台が全焼した。けが人はいなかった。
茅ケ崎署によると、出火当時は車庫内で電動バイク20台分のバッテリーが充電中で、その付近から燃えたとみられる。署は出火原因を調べている。
日本郵便によると、同局に配備していたオートバイ29台中28台が燃えて使用できなくなったため、この日は普通郵便の配達ができなかった。
簡易書留や速達などは周辺の他郵便局からオートバイを借りて配達した。普通郵便は9日からの配達を予定している。

(引用ここまで)


最近話題のネットニュース、JX通信社は (以下引用)

神奈川 寒川町宮山で火災 「リチウム電池から出火」 2025年7月8日9:22

8日8時42分頃、神奈川県寒川町宮山で「リチウム電池から出火しています。電池は30個程度あり、バイクにも燃え移っています。」と消防に通報があった。
消防によると、9時10分現在、消火活動を行っており、これまでに、けが人や逃げ遅れの情報は入っていないという。
SNS上の投稿からは、黒煙が上がっている様子が確認できる。(JX通信社/FASTALERT)

(引用ここまで)


この他、ネットニュース専門のサイトや個人ブロガーとかがこの記事を取り上げているんだけど
ほとんどが上記報道各社の記事を転用していたり、自前だといい加減な記載だったりするので割愛。
(「寒川」の話を「阿寒」と誤記しているサイトもあったり…それ北海道やんwご丁寧に「阿寒郵便局の画像」まで引っ張ってきてたけど真っ赤な間違い)


でね、大体の内容として共通しているのは「バッテリーから出火し、車庫が全焼し、当日の普通郵便が配達できなかった」
これはまぁ、正しい。その通りなのは間違いない。但し、細かい所を見ていくと差異がいくつか。
特に「通報の内容」を見比べてみると…
報道社
出火元
何が燃えている
 NHK 
 充電スペース 
 車庫 
 フジテレビ 
 充電器付近 
 (記載なし) 
 テレビ朝日 
 (通報に関して記載なし) 
 読売新聞 
 (通報に関して記載なし) 
 神奈川新聞 
 リチウム電池 
 バイクに燃え移っている 
 JX通信社 
 リチウム電池 
 バイクにも燃え移っている 
記載があるものに関して言えば、出火元はいずれも充電バッテリー関連。それはそうなんだけど
何が燃えているか、という点は全然違う。NHKさんは「車庫が燃えている」としているが
他の2社は「バイクに燃え移った」との断定。え、それって何が違うの?と仰る方もいるでしょうが
実は「通報時点では『まだバイクは燃えていない』」と云うのが実情。結果的にその後、バイクも燃えましたが
だとすればこの記事(2社)は「結果から逆算して記事を書いている」事になる訳です。ただ、2社に関して言えば
「誰が通報したか」が逆に書いてない。もしかして通りすがりの通行人が通報した?可能性は残りますが
だとすると、位置関係からして敷地外からは「何が車庫の中にあるか」は見えない筈なので
やっぱりこの通報記事は矛盾を孕んでいる事に。そもそもJX通信社の記事出稿は7月8日の9:22?
これ、まだ消防が第一発見者や通報者からの事情聴取する前の時刻なんだけど…。
SNSに何かしらの書き込みや投稿があったとしても、記事として断定できる内容は殆んど無い時点なんだが? (ー゙ー;

ネタをバラせば「通報した郵便局員」は「バイクが燃えている」と119番の相手に一言も言っていないのですよ!
この「バイクが燃えている」と云う文言はどこから出てきたんですか?

実際に取材班が現地に来た上で掲載された記事としては、NHKが一番早い。
そして記載内容には「間違いは無い」(本当は「正確」と言いたいのだが後日の検証が必要なのかもしれないので)。
さすが全国を網羅する公共放送、地方のちょっとした(?)火事ですら見逃さず素早く的確に報道するとは恐れ入る。
世間では「NHKなんて」とか「受信料不要」とか叩く輩が多いけど、今回の火事然り、震災報道然り、
一番頼りになるのはやっぱり日本放送協会だと、拙者は思う。受信料払いたくないなんてのは単にケチなだけだよ(暴論?)
受信料がかかったとして、NHKの出す結果はそれ相応(それ以上?)のものがあると言う検証は
文句を言う輩どもはやってるんだろうか?っつーか、そう言っている連中の方がまるでおかしい事を言っている風潮ですし。
実際、今回の火事で「記事の正確性・速報性」を見比べるとNHKの内容が一番“充実していた”訳ですから。


かと言って手放しにNHKだけを褒め称えるつもりも毛頭ありません。
この頁で言いたいのは「そもそも報道ってどこまで正しいの?」って処。
速報記事だから百歩譲って足りない点や誤報もあるかもしれませんが、あれから数日が経っても
続報や訂正記事が出る訳でもなく、それどころかこの報道を元にした“憶測”や“中傷”が飛び交う始末。
それを火消しするような記事もなく、このまま流れていくんでしょうね。で、後になってこうした「いい加減なアーカイブ」が元になって
さらに妙ちくりんな話が作られ、二次災害的な風評が広がったりして…ちょっとね、こういう悪循環もう止めませんか?

今年(2025年)は太平洋戦争終結から80年。それこそ報道各社はそれを取り上げて
「過去の戦争はこれほど酷かった」「再度の戦争は絶対に許されない」「現代の戦争も止めさせる」と
戦争(戦禍)報道を繰り返しております。正直、取ってつけたように連呼し、ちょっと押しつけがましくてウザいんだけど
あと1ヶ月するとピークになって、特番続きになったりするんでしょうな。しかしながら戦争当時の世相を見てみれば、新聞やNHKは
大本営発表を鵜呑みにし、誇大な戦果を垂れ流し、今とは逆に国民を戦争に煽り立てたのは間違いない筈。
「軍部には逆らえなかった」とか「国家国民全体の同調圧力」とか言って防ぎようが無かったと弁護する意見もありますが
そうした「軍政への対抗」「加熱する意見の鎮静化」をするのが報道機関の責務では?
「逆らえない」にしても「煽らない」「取り上げない」方法を考えるべきだし、実際そうやって
“巧妙に戦争忌避を織り交ぜた手法”を採っていた報道人も僅かには居たようですので
やっぱり真に求められるのは“正確・迅速・裏付けのあるニュースの提供”ではないでしょうかねぇ。
今回の火事報道を見てみれば、多分に伝聞や推論から作り上げている記事が見受けられ
“裏を取った”ニュースとは言えない例がチラホラ…報道の作り手さんには今一度原点に立ち戻って頂きたいし
それを見る我々も、どこまで信用できるのかを見極める知性や経験値が必要なんでしょうなぁ。


って言っても、選挙宣伝のSNSとかでもアホな物言いにコロっと騙されているのが今の日本。
本当に大丈夫なのか、これからのこの国は…。10年前なら笑い話で済んでいたけども
最近は真剣に危機感を抱かざるを得ないのが悲しい所。とりあえず拙者が生きている間くらいは平和であって欲しい(半分諦め?)
いや、何があろうと未来永劫戦争をしない国であって下さい m(_ _)m
秀吉の朝鮮出兵とか歴史を振り返ると恥でしかありませんし(←この価値観もそのうち変わるのか?)
軍国主義政策も現代の感覚では理不尽極まりない(そして根拠のない拡大政策で暴走)話でしたから
そういう「みっともない国策」は二度と採らない事を切に願います。

憑りつかれたような終戦80周年キャンペーン報道も…8月16日になった途端に過去のものにされそうで怖い… (^^;


2025年7月15日 稿




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