★★★相州乱波の勝手放談 ★★★
#34 ゲーム感覚だったとは思いたくないけれど…
 




序章(?)
2017年末、色々な経緯があって(←そこは大して重要ではないので割愛)
昔々に使ってたオールドPCのエミュレータを現行Windows機に導入。
で、年末年始が忙しかったのでようやくヒマになった2018年2月
当時遊んでいた懐かし〜いゲームソフトをちょこちょこっと動かしてみた。
大戦略Uやっぱり面白いなぁ…と思いつつ、今回たまたま使ってみたのが
中国軍の兵装。その昔、プレイしていた頃には中国軍なんて全然
見向きもしなかったんだけどねぇ。定番で米軍とか?鉄板に西ドイツ軍とか?
いやいややっぱり我らが日本のユニットが一番思い入れあるよねー、と。
まぁ今回も本当に気まぐれで中国の兵器を使ってみた訳でしたが (^ ^;
キャンペーン版大戦略U 中国軍兵装
ちなみにこれがゲームにおける中国軍の兵装。まぁ「1990年代初頭の」内容ですが(古)



改めまして、キャンペーン版大戦略Uというゲームのご説明を。
マップ上に2国〜最大4国(青国赤国緑国黄国)があり、その国ごとに
実在する兵器を生産、その部隊を前進させ、敵国の軍勢と戦いながら
相手の軍隊を全滅させるか、首都を占領すれば勝利となるゲームです。
所詮はゲームですので、実際の戦争がそんな簡単に進められる訳でもないんですが
(補給は無尽蔵、武器生産も即完了(資材調達とかの概念はなし)、歩兵は敵の町や空港を一発占領などなど)
でも「実際に高性能な兵器は高性能、安価な兵器は数合わせ程度の使い道」だったりして
「このユニットでこの敵に当てても勝てないなぁ」とか
「先にこっちで一撃を加えて、その後なら何とかこれで勝てるか?」とか考えながら
敵と戦っていく訳でして。なのでやっぱり米軍や西ドイツ軍のユニットは優秀なんで
どうしてもそういう兵器が使い易い訳ですよ。で今回初めて中国の兵器を使ってみたら―――

いやはや、どうにも使いにくい!(爆)

まぁね、当時の中国の兵装ですから、例えば戦車と言えど打撃力はイマイチだし
それどころか対空砲なんか全然当たりゃしないし、人民兵は安いだけが取柄で
猛烈に足が遅いし。上のユニット一覧表で言う処の「80式戦車」というのが
一応、当時の中国軍主力(そして最新鋭)戦車なんだけど、米軍や西ドイツ軍にしてみれば
二線級の性能しかない。77式兵員輸送車なんて、ロクな防御力がないんで
兵士を乗せて移動するにしても、敵に攻撃されたら兵員もろともあっという間に全滅。
兵士を守って最前線まで進出するのが兵員輸送車の役目なのになぁ(苦笑)
兎に角どれもこれも打撃力も防御力も速力もない兵器ばかりなんで、敵陣を切り崩すには
攻撃機を早い段階から作って、相手に爆撃をお見舞いするしかない…という編成なんですわ。

ゲームの進展状況
それでも頑張って敵軍を追い詰めて行きましたけどね。ちなみに青国・緑国は既に首都占領済。

そうなると攻撃機が頼みの綱という事になるんですが…これがまたダメダメでw
武器一覧表の中にある「ファンタンA」というのが中国軍唯一の爆撃可能機種。
他に選択の余地なし(うぁー最悪だwww)
中国ユニット性能表
ファンタンというのはNATOのコードネーム、中国では「強撃5」という機種名だそうで。

データをご覧あれ、GAS(燃料搭載量)40、爆弾搭載量(=攻撃可能回数)は2!
大戦略に馴染みのない方にご説明いたしますと、航空機としてはとんでもなく低レベルな
燃料搭載量だからすぐに燃料切れで墜落!爆弾2と言うのも、全く弾数が無いようなもの。
生産→相手に攻めに行って爆弾1消費→相手のターンで対空砲に撃たれ反撃→これで弾切れ!
そもそも常に燃料切れの危険性があるので、補給する為にすぐ空港へ戻らにゃならん(怒)
米軍ユニット性能表
ちなみにこちらは米軍(空軍機)の性能表。爆弾は最低でも3、F-111なんか6発搭載!
燃料40というのも、アパッチ(攻撃ヘリコプターです)ですら達成=ファンタンAはヘリと同レベル(悲)


弾数もなく燃料もない飛行機という事は、戦ったらすぐに補給のため空港へ戻らざるを得ない。
でもそれじゃ戦線を維持できないから、補給に戻っている間を埋める次の部隊を用意する。
しかしその部隊も同じように弾数も燃料もないからまた空港へ戻る。
そうすると更に替えの部隊が…(以下、エンドレスwww)
中国の兵装は「価格が安い」という点だけは取柄なので、何とか次々と
飛行機を生産していけるんですが(米軍機とかだと高価なのでそうはいかない)
部隊が増え続けると、今度は補給する空港が足らなくなって…どーすんだこれ?!?!?

通常、大戦略の部隊って戦歴を重ねていくとユニットのレベルが上がっていくんですよね。
初期生産当時はF、これがE→D→C→B→Aと上がって、極めるとレベルSに!
当然、レベルが上がる程に攻撃の命中率が上がっていったり
敵の攻撃を上手く回避できるようにもなるので、できるだけ同じ部隊に
経験値を稼がせたいんですけど、こんな取っ替え引っ替えで部隊を入れ替えていたら
全然、経験値が上がる訳もなく。ユニットの能力も上がらないまま時間だけが経過。
爆撃がロクに出来ないので、地上部隊も殆ど前進できず…最悪だ、中国軍 (T-T)
レベルCのファンタンA
涙ぐましい努力で何とかレベルCまで上げたファンタンA。
「ファンタンA」という機種名の右に「C」と書いてあるのがレベルです。
レベルF、しかも既に2機(?)欠けた動員兵の部隊に攻撃を掛けているんですが…。
例えばこれがレベルCのF-111(上で紹介した米軍の攻撃機)なら余裕で全滅させられる、
しかも相手は反撃できない先制攻撃とかのボーナスが付くと思うんですが、
ファンタンAじゃ同時攻撃(画面端に「同時」と書かれているのがそれ)の
扱い(実際には動員兵じゃ対航空機の反撃方法がないんですけど)にしかならず
結局この爆撃、6機(??)しか倒せませんでした。使えねー! (▼▼メ


こうなるとね、貴重な攻撃機と言えども使い捨てになってきますよ。
どうせレベルが上がるほど戦わないんだから、敵陣に爆弾落とすだけ落としたら
そのまま相手の反撃は放置させ、補給に戻るよりも捨て置いて次の部隊を同じように…。
ま、所詮はゲームですから。すぐに生産できるし、画面上じゃ
パイロットが死んだかどうかも見えてきませんし―――。



って、ちょっと待て!何気に恐ろしい事
平然と書いてるぞこの文章!!!!!




と、はたと気が付いたんですよゲームやりながら…。
燃料は相手に突っ込ませる分だけで良し、多少なりとも敵に被害が出れば十分、
あとは繰り返し次の部隊をどんどん送り込めば―――って、どっかで聞いた事あるぞコレ。
大戦末期の日本軍だ!



実はここから歴史ネタ本題(遅)
「皇国のため」「銃後を守るため」「生きて虜囚の辱めを受けず」理由は色々あっただろうし
少なくとも特攻していった1人1人のパイロット達は真剣・壮絶な思いで
“神風を起こす”つもりだったと思いますが(そうでなければ浮かばれません)
果たしてそれを命じた司令官は、特に上級部署であればあるほど
本気で「人命を懸けている」「この1人1人、1機1機の代償に見合う戦果か」を
考えていたんだろうかと、物凄く疑問に思ってしまった訳でして。
そりゃ、ふざけているとか遊んでいるという筈は無いまでも
「とりあえず(かなり楽観的・他人事で)何かやってみる」
「頭数揃えればどうにかなる」「降伏が許されないんだから、それで構わない」と
酷く言い訳染みた主張で、神風特攻隊というのは送り込まれたんではないだろうか。
正常な人間の思考であれば(特に人徳を貴ぶ日本人の正しい考え方を持っていれば)
「これは“やって良い選択肢”ではない!」と気付く、思い留まる筈なんですが。
大本営の壕に籠っている将官どもは、実に最前線とは乖離した存在だった―――つまり
兵士を、部隊を「手駒でしかない」=今で言う「ゲーム感覚」で扱っていたという事に???

ましてや「桜花」「回天」のように“特攻専用兵器”まで作るとは…。
国民の命を、意思や尊厳を無視して「1個の弾」としてしか考えていない証拠です。
当時の日本が、如何に異常だったかが良く分かります。人命軽視も甚だしい(怒)
戦艦「大和」も最終的にはタダの特攻兵器?何だそれ、無駄の極みだよ。

※「桜花」「回天」
桜花は「おうか」、回天は「かいてん」と読む。
桜花は簡単に言うと爆弾にロケットエンジン(ジェットエンジン版もあり)を付けた物。
要するに、現代で言う処の“対艦ミサイル”な訳だが、これが開発された太平洋戦争末期、
ミサイルの弾体に組み込めるような高度で小型な位置制御コンピュータなどある筈もない。
それに代わるものとして用意されたのが…操縦席。つまり人間が搭乗して、敵艦まで
誘導する訳である。言わずもがな、射出されたが最後―――乗員が生きて還る事はない。
回天はそれの魚雷版。即ち“ホーミング魚雷”であるが、その“ホーミング(敵艦認知・誘導)”は
コンピュータ処理でも何でもなく、乗員が行うのだ。こうした特攻兵器による攻撃は
米軍艦に多少の被害は与えたものの、戦況を覆す筈はなかった。

少なくとも、もはや特攻をしたからと言って戦況が好転する訳はない状況。
米軍に一撃を加えれば、あるいは講和が有利になるか?という予測で行ったとも云うが
真珠湾以後アメリカが条件講和に応じる可能性は皆無な訳だし、ましてや
日本を敗北寸前の所まで追い込んでいる時期に、いまさら講和交渉なんてのも
あり得ないのだから、そんなのに期待するのも「全く的外れ」なんですよね。
何より、ゲームのように次から次へと新しい飛行機(と操縦士)を作り続けるのは
不可能なんだし、特攻という作戦自体が早々に破綻するものの筈なんだが…。
仮に昭和20年8月で終戦になっていなかったら、特攻というのはいつまで続け(られ)たの?

でも、まるでゲーム感覚だったとしか思えない結果なんだよなぁ。
だって、ゲームやってたからこそ「片道切符で良いや」って気づいちゃったんですもの。

結果論なら何とでも言えるし、当時の日本がそこまで先を見通せる状況に無かった事を
差し引いたとして、専門的に太平洋戦争を研究されている先生方や、何より当事者自身は
「そんな出鱈目な考えで立案した作戦ではない!」とお怒りになるでしょうが
でも本当に、真剣に、特攻というものが「それに見合う戦果が出るもの」だったと
考えた結果でしょうか?いや、やっぱりそうではなくて、結局のところ
「やるだけの事はやった、という安心感(という名の言い訳)」での立案だったんじゃ?
費用対効果…と言ってしまうと非常にビジネスライクというか、計算だけの話に
なってしまうのですが、さりとて真珠湾奇襲作戦を考案した山本五十六あたりが、
さもなければ熟慮を重ねた日露戦争の秋山真之参謀なんかが、
昭和20年まで存命であったなら?こんな作戦にOKを出すと思うか??と。
個人的に山本大将が万能の天才だなんて思ってないんですけど、でも彼ならば
ここまで敗北が決定的になった時、神風なんて言う“悪あがき”を許さないんじゃないかと。
それなら早々に降伏して、戦後日本の復興に尽力すべきと考えるだろうけど
大戦末期の日本軍首脳は、全然そういう考えには至らなかったという時点で
既に「指揮能力が完全に破綻している」と言わざるを得ない…。


何はともあれ、国家運営そのものが異常だった時代です。
命を懸けて、そして散っていった方々には哀悼の意を表すのみです。
そして私は(青臭い?アホ臭い?リベラリズムを謳うつもりは毛頭ありませんが)
全体主義を自己弁護するに過ぎない「皇国」とか「大東亜」という表現が大嫌いです。
(だから水戸史観も大嫌い…ってこれは脱線w)
歴史愛好家であるからこそ、この表現は誤った思想表現と断じます。
合掌。





ところで使えない使えないと言いつつも頑張った中国ユニットですが(そこか!)
ファンタン部隊の健闘は無駄にならないよう最大限の英知で
赤軍の最期
赤軍は残ったのがこの1部隊(しかも1機のみ)だけ。
周りは全て戦車と艦船で囲んだ状況で、対空ミサイル車両は何の意味もありません。
補給や新規生産も封じ、完全に“ナマ殺し”状態です (^ ^;

最終攻撃命令
首都占領も可能な状態(既に部隊は入れてある)でしたが
ここは最後まで戦い続けた敵軍に敬意を表し、最終決戦を。

赤軍全滅…
そして彼らは散っていきました…。
戦争終了
「部隊全滅」実にドライだw
エンディングクレジット
これがエンディングです♪

っつーかさぁ、何だよ89ターンって!
もっと使えるユニットだったら、普通40ターンくらいで終わってるって!(爆)
やっぱダメだよ、中国軍… (T_T)




オマケ
生産タイプ編集
全く余談ですが、オイラが普段使うユニットはこんな感じ…。
攻撃力の高い兵器or足の速い兵器 というのが基本(むしろそれだけで十分)
※89式戦車というのは陸自90式戦車の事
同じく88式というのは89式歩兵戦闘車です
当時、正式化前だったので“仮称”でした




オマケのオマケ
21世紀になって軍拡目覚ましい中国は、大戦略のゲーム当時より
遥かに近代的な兵装を充実させており、独自にステルス機なんかまで作ってたりします。
でも一方で「中国のステルスなんて、本当に効果あるの?」と疑問視する意見もあるし
何より軍事機密ですから、その実態は全く分かりませんがね。

ところが“特攻機”として使われた零戦も、当初は“世界最高性能の戦闘機”と
呼べるほどの名機(まぁ、これも私は色々と思う所があるのですが、それは置いといて)。
しかしヨーロッパ列強やアメリカ軍は、登場当時の零戦についてスパイからの極秘報告が
「日本軍に超高性能戦闘機登場」と知らせていながら
「日本ごときがそんな凄い飛行機を作れる筈がない」と誤報扱いしたため
太平洋戦争序盤、血相を変えてパニックに陥るハメとなりました。

相手を知る事こそ戦いの第一歩…な訳ですが、果たして中国のステルス機
零戦のようにパニックを起こさせる程の高性能機なのか
それとも名前だけのステルスなのか?どうなんでしょう。
少なくとも、相手を見くびるのだけは止めた方が良いと思うんですけどね。ね?
(↑誰に向かって言ってるんだ、これ)



かつての“世界帝国”だったスペインやポルトガルが大英帝国に敗れ去り
その“日の沈まない帝国”イギリスも、20世紀後半の高度経済成長で日本に抜かされました。
そして“眠れる黄龍”中国が、いよいよ世界第2位の経済大国となった今。
科学技術はまだ日本の方が上なのか?それとも??歴史の因果を、自分にだけ都合の良い
自己中心的な目では見ないようにしたいものですな、お互いに(←え?誰と誰??)



と、こんな事いまさら書かんでもという内容ながら、
昨今のそこはかとない全体主義化?流されていく右傾化?に微妙な恐怖感を抱いたので
軍国主義を今一度顧みる文面を書いてみた2月26日なのでありました。
(2018年2月26日 稿了)





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