1996年11月 碓氷峠紀行

旅行期間:1996年11月4日(月)

主な滞在地
11月4日(月):上野駅・レトロトレイン碓氷峠号・碓氷峠・軽井沢
碓氷峠紀行行程地図


96年11月4日は月曜日、文化の日の振替休日である。
この日のメニューは“鉄っちゃん(鉄道マニアの事ね)”の平野兄弟に誘われて、
旧型客車で運行される特別列車「レトロトレイン碓氷峠号」に乗った列車の旅。
拙者も鉄道好きなので、一も二も無くこの話に飛びついたのでござった。
皆で連れ立って茅ヶ崎駅から東海道線に乗り、
東京駅からは山手線で上野駅へ。
「碓氷峠号」と言う列車名からしてわかるように、
(今では廃線になってしまった)信越本線・碓氷峠を越える列車なので
当然、出発は上野駅の上越線ホームからである。
我々が上野に到着した時にはまだまばらな人出であったが
それでも「そのスジの方」とお見受けする人たちが
旧客(旧型客車の略称)はまだか、とカメラ片手に待受けておりました。
それから間もなく、本日の主役「碓氷峠号」が入線。
途端にカメラを持ったマニア様たちは、ホームをあちこち飛び回り
シャッターを切り始めた。って、オイラも人の事は言えないけど (^^;
上野駅
上野駅

上野駅のホームは終端閉鎖型。つまり、
列車の出発する方向と反対になる側は行き止まりなのである。
そのため、列車後部に運転台の無い客車列車は
バックでホームに進入する事になる。
写真の通り、列車の最後部に運転助手が控え
機関車の運転士に推進運転の指示を出すようになっている。
客車列車が上野駅に入線する時にだけ見られる光景。

切符片手に、いざ乗車。こげ茶色のクラシックな客車は
車内も古めかしい蛍光灯で照らされ、ムード満点。
座席はもちろん、木製椅子にビロード布貼りのボックスシート。
そう、某SF漫画で登場するアレである。
発車時刻になり、ガクンという衝撃と共に列車は上野駅を後にした。
この感覚も、現代の新型車両とは違って
クッションのないダイレクトな突き上げなのだが
これも風情と思えばむしろ心地良いもの。
上野から北上し、東京都内や埼玉県を抜けて行くのだが
通過する駅で列車待ちしているお客さん達は、
見慣れぬ古い車両の登場にみな唖然。
いやぁ、こりゃなかなか楽しいねぇ♪
旧客の窓は自由に開けられるので、車外の風景を撮影したり
デッキ部分まで行って機関車を間近に眺めたり、
連結器を覗きこんだり(!)と、車内の楽しみは盛り沢山。
これもまた、安全対策が厳重な昨今の車両では出来ない楽しみ。
もちろん、危険な事はやってませんので、悪しからず。
レトロトレイン碓氷峠号
レトロトレイン碓氷峠号

疾走する列車の窓からカメラを出して撮った1枚。
このまま銀河の彼方まで飛んで行けそう…って
それじゃそのまんまですがな!
さすがに機関車はSLじゃなくELです (^^;

大宮から高崎線に入り、熊谷・本庄を過ぎれば
埼玉・群馬の県境。あっと言う間に県をまたいで
ほどなく高崎駅に到着した「碓氷峠号」。
ここで数分の停車時間を消化しなくればならない。
と言っても、「待たされる」という感覚ではなく
格好の「撮影タイム」の到来だったのでござる。
上野駅同様、カメラ片手に右往左往、
先頭の機関車を撮影したかと思えば、後尾の貨客車を覗きこんだりと
時間はいくらあっても足りないくらいに忙しい。
え?もう発車の時間なの?!あちゃ〜…。

高崎からいよいよ信越線。天下の険・碓氷峠へと向かうルートである。
窓の外に広がるのは稲刈りが終わってすっかり更地になった田んぼばかりだが
あぜ道には多数の人だかりが…。
沿線から「碓氷峠号」の写真を狙う鉄道ファン達ですね。
驚くべき事に、この人達は写真撮ったら車で猛ダッシュして
次の撮影ポイントへ先回りし、また撮影してるんですね。
走る列車を追いかけてそこまでやるとは、
鉄道マニア恐るべし、としか言いようがない。
お見事、感服しましたと思う反面、
くれぐれも安全運転で、撮影マナーを守ってくださいませ★

群馬県を代表する霊峰、妙義山が見えてくるとそこは横川駅。
碓氷峠の東麓に位置する駅でござる。
古来から天下の険として知られる碓氷峠の出口を守る地として
横川の関所が置かれた交通の要衝である。
もちろん、現代でもその意味合いに変わりはない。
急勾配の山道を登っていく信越線の列車は、
ここ横川駅で補助機関車を増結して進んで行くのだ。
補機をつけなければ登れないほどの坂とは如何なるものか、と期待していたところに
ちょうど峠を下りてきた上り特急列車が到着。
こちらは逆に補助機関車を切り離す事になるので
「碓氷峠号」の乗客はそちらの作業風景に殺到した。
横川駅
横川駅

これから山を登る列車は補助機関車を連結し
山を下りてきた列車は機関車を切り離す。
鉄道史に有名な碓氷峠を越えるには当然の備えであったが
長野行新幹線の開通にあわせて
信越本線碓氷峠区間は廃止されてしまったため
今ではもう見られない光景になってしまった。
現在の碓氷峠に鉄道は走らず、バスが運行されるのみである。
写真は補助機関車の連結作業。
EF63型は碓氷峠補機専用として使われていたELだ。

機関車の連結も終わり、いよいよ出発時刻。
そうそう、横川といえば“峠の釜めし”が有名だ。
発車前に越後守殿が釜めしを買ってきてくれたので
車窓に碓氷峠の自然を眺めつつ、昼食として駅弁を頂いた。
さすがに峠の上り坂はキツイ。補助機関車が後ろから押していても
スピードはノロノロ、おかげでゆっくりと窓の外を眺める事ができた。
有名なめがね橋を渡り、いくつものトンネルを抜け、
所々にカメラを構える鉄道ファンがいる中をすぎれば
列車は終着駅、軽井沢駅へと滑り込んでいく。
軽井沢駅も鉄道マニアでごった返していた。
となりのホームには別の特別列車が入線していたため
この2本の列車をカメラに収めようとする人々で通勤ラッシュのよう。
さすがにこの混雑は辟易し、列車を降りた我々は、
撮影をそこそこで切り上げ改札の外へと退散した。

駅構内の撮影ムードから一転、改札外はいかにも「観光地〜!」という雰囲気。
さーて、これからどうしようかと思っていると
(「碓氷峠号」に乗るのが目的だったので、その後の予定は考えてなかったのだ)
案の定、越後守殿は切符を買っている… (ーー;
その間、駅の周辺をブラブラと散策すれば
片隅に古めかしい電気機関車が展示されている。
電気機関車で碓氷峠を初めて走った10000型だ。
錆びて寂しげな鉄の塊とはいえ、これもれっきとした鉄道の語り部。
こちらも写真に収める価値アリと思い、レンズを構えた。

とりあえず、軽井沢の周辺を観光しつつ帰宅ルートを考えようと思った我々は
駅前でレンタカーを調達し、高崎まで向かう事にした。
で、どこに行こうか?と行先を決めていると
観光地図に「白糸の滝」の文字が。
白糸滝と言ったら、富士山じゃないの?ここにもあるの?
それならば是非見に行って確かめようという話になり、
軽井沢駅から一路北上、千曲川の上流にある白糸の滝へ。
実際に行ってみると、富士山の白糸滝とは違った趣きながら
「あぁ、確かにこりゃ白糸の滝だ」と思わせる美しさ。
見るからに土中の帯水層が地表面に出て、
そこから帯のように水が吹き出し滝になっているのがわかる。
富士の白糸滝ほど大きくない、むしろ小柄という滝だが
静かな山間の清流は見る者に感動を与えてくれます。

山から下りると、結構遅い時間になっていた。
ペースを上げないと帰れなくなるぞ、と思った我々は
軽井沢駅から今度は南へと向かい、碓氷バイパスを走破。
先ほど通った横川駅を横目に見つつ、国道18号線を東へ走り
大急ぎで高崎駅へと滑り込んだ。ここでレンタカーを返却し
またも鉄道に乗り換えて帰宅する。
で、拙者は在来線で帰るつもりでいたら、平野兄弟が
「どうせだったら新幹線で帰ろう」だって。
えー?マジっすか??そんな贅沢しちゃっていいんですか?
と言っている間に、平野センセは新幹線の切符を調達してました。
結局、新幹線料金おごってもらっちゃったんだよね (^^;;;
おかげで予定より早く茅ヶ崎まで帰れました。感謝!

余談ですが、上越新幹線に乗ったのは、後にも先にもこれっきりです(爆)


◆◇◆ 郷愁を 誘う汽笛の 峠越え 信越の路(みち) 時は移りぬ ◆◇◆




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