2014年11月 371系ラストラン
旅行期間:2014年11月22日(土)
主な滞在地
11月22日(土):平山踏切・松田駅

371系特急用電車―――国鉄が分割民営化し、新たに発足したJR各社のうち
JR東海が初めて開発した在来線用特急車両。新宿駅から小田急線を走行し、松田駅から御殿場線に入り
沼津駅まで走る、小田急―御殿場線相互乗り入れ特急「あさぎり」専用車両として制作された。
当時、「あさぎり」は小田急電鉄側が20000形電車「RSE車」2編成を用意し
JR東海側がこの371系1編成を新造し、計3編成で往復運行するものでした。
しかし1991年の登場から21年、2012年に「あさぎり」としての運用は他の車両が担う事となり
371系は主に臨時列車(イベント列車)の運行にのみ充てられるようになってしまいます。
そして2014年の11月、久方ぶりに371系が御殿場線を走る臨時列車「御殿場線80周年371」号の運行を以って
JR東海は退役させる事を決定したのであります。11月の22日・23日・24日・29日・30日という5日間だけ走る
このサヨナラ運行のスケジュールで、何とか11月22日は予定が合いそうだったので、撮影に赴きました。
個人的に“葬式鉄”(廃線・廃車になる列車を狙って撮ったり乗ったりする鉄道趣味)では無いのですが
過去、数回見かけた事のある(それでいて撮る機会の少なかった)371系が居なくなるのは寂しい限りなので、
今回は「確実に撮るつもり」で予定を組み立てた次第。そんな訳で、この頁は「鉄道写真オンリー」の内容でお届けします!
そうは言っても、そんな特別列車ですから沿線にはそれこそ葬式鉄の方々がひしめいている筈。
御殿場線の撮影ポイントって限られるので、そういう場所には人混みが出来て満足に撮れないだろうから
何とか穴場はないものかと、まずは事前に入念なロケハンから。で、いくつか候補を考えた中で
今回選んだのが、山北駅の東に位置する平山踏切。小さな集落の中にある踏切で、程よく線路がカーブし
すぐ隣には鉄橋のトラスも見え隠れする、鉄道写真的には“欲張りな”ポイント。細い路地に架かる踏切なので
多分、あまり大勢がひしめくような混雑にはならないと踏んだのですが…行ってみたら大正解。
オイラの他に、このポイントに気付いた人が2人ほど後から来ましたが、それ以上に混みあう事もなく
じっくりと狙って撮れそうな場所を確保できました (^ー゚)b

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試し撮りの313系
まずは本番前に313系普通列車で試し撮り。
この日は快晴で真っ青な空、そして11月下旬は
丹沢の山並みに少しずつ紅葉の色合いが広がっている季節でした。
このアングルで371系が来たらどうなるか?
色々と予測を立てながら、本番に備えます。
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第一酒匂川(さかわがわ)橋梁
同じく313系を、反対側にある橋梁トラスに入れて撮影。
どピーカン過ぎて、こっち側を向くと逆光で列車の顔が影になる。
構図的には悪くないんだけど、陰影がキツくて
写真の出来栄えとしては、ちょっと期待できなさそう。
やっぱり今日は順光で撮らないとダメか(笑)
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と、上り下りそれぞれの普通列車で試し撮りした所で
いよいよお目当ての371系がやって来ます!!!(ちょっと緊張www)

先ほどの313系を踏まえ、腰を落とししゃがんだ体勢で撮影。
ちょっとアオり気味に見上げた事で、空の広さが引き立った上
迫る列車の迫力が増した感じに出来ました。シャッターのタイミングもギリギリまで粘り
編成が構図全体に入るようにし、背景の家並みを隠す事に成功。

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振り向いて橋梁に差し掛かる後ろ姿も撮影。
371系は新幹線のように流線形の顔立ちなので
逆光でも顔つきが真っ黒になる訳じゃなく、むしろ
立体感のある画像になりました。これはこれでアリか♪
前ボケでススキの穂が入り、いい感じに秋の風景も表現。
(偶然…ではなく、これは狙ったアングル)
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臨時列車が去っていったので、本日の予定はこれにて終了…ではなく、
松田駅で追いつけるので、そちらでも撮影します。

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松田駅ではさすがに人だかりが…でもそんな中、
何とか入り込みの少ない瞬間を狙って、ホームに入線中の列車を撮影。
先ほどはアオり気味に撮りましたが、今度は逆に上から見下ろす感じにしてみたら
顔立ちがアップとなり、ボリューム感のある写真に。丸いオデコがプリチー(笑)
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この列車に掲げられた特別ヘッドマーク。
左は沼津側、右は国府津側に出ていたもの。背景色が違いますね。
富士山と金太郎が可愛らしいwww
(何で金太郎?と言う方もいらっしゃるでしょうが、金太郎が育ったのは足柄山。御殿場線の沿線です)
この年、御殿場線は開業80周年で、それを記念した列車…なんですが
事実上、371系を最後にもう一度御殿場線で走らせるのが目的でしたわな(笑)

御殿場から走って来た列車は、ここで運転終了。ここから回送になって、国府津車両センターに入ります。
(午後から折り返しの列車になりますが、それまで繋留線に退避)
回送運転の前に、操車係の方が機器の点検をしていました。
プロの仕事の一コマを撮影。

隣のホームから、対岸にいる列車の顔も撮ってみました。
車両全体が撮れるアングルで、駅で撮る際は良く使われる手法ですが
ホームの屋根が影になって写り込み、ちょっとビミョー (^ ^;
真っ白い車体に、窓枠をブルーの帯で塗ったカラーリングは
流線形の先頭も相俟って、まるで東海道新幹線のようです。
この雰囲気だと100系?の在来線仕様って感じ(笑)
(グリーン車は2階建てですしねw)


編成の後端まで点検した操車係の方が先頭に戻ってきました。
運転室に乗り込んで、いよいよ回送列車の発車…これでお別れです。さやうなら〜!
最後にその回送列車が出発するシーンを動画にしてみました。
東海道新幹線の車両が300系以降、青い1本の線だけの帯になってしまったので
0系や100系のように窓枠を取り込むサイズで大きな帯になっていたのも過去の話。
この371系もそうした雰囲気を纏っていつつ、新鋭車両らしくシャープなデザインで恰好良かったんですけど
これまた引退してしまい、過去の話に…車齢的にはもう少し頑張ってくれても良かったのに、引退が早いッス (T-T)
と、嘆いていたら!
何と371系、JR東海は引退処分にしたものの、それを富士急が買い取って再利用する事に!!
(ちなみに、小田急RSE車も同じように引退したけどこれまた富士急が再利用!!!)
富士急では8500系の新形式名を付与され、塗装も全く違うものになりましたが
「富士山ビュー特急」として運行する事になり、そちらを撮影する機会にも恵まれましたが、それはまたの話でw
余談の余談で、RSE車は富士急で8000系になり、「フジサン特急」として運行。図らずも「あさぎり」2車種が
富士急路線内で肩を並べております。まぁ、廃車(解体)にならなくて良かった良かった。
◆◇◆ 空高し 色付く山に 青い帯 寂しく風と 共に去りぬ ◆◇◆
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