2013年7月 JAXA見学!

旅行期間:2013年7月27日(土)

主な滞在地
7月27日(土):JAXA(ジャクサ:宇宙航空研究開発機構)相模原キャンパス
JAXA相模原キャンパス構内図 (C)JAXA


7月、子供が学校の夏休みに入った頃。どこか遊びに行く所はないかなと思っていたら
相模原にあるJAXA、宇宙航空研究開発機構で一般公開を行うとのニュースを聞きつけた。
ふむ、夏休みの自由研究とかにも役立ちそうだし、何よりJAXAのキャンパスなんか
こういう時にしか入れないだろうし、なかなか面白そうである。
と言う事で、あまり科学には詳しくないものの(何せ城好きの文系ですからw)
物は試しとばかりに、相模原へと赴いたのでありました。

相模原市内にて
相模原市内にて

市街地にある道案内の標識には
日本の宇宙探査機がそれぞれ描かれ
相模原がJAXAの街、宇宙の街であると
そこかしこでアピールしています。
ハレー彗星が地球に近づいた頃、
「さきがけ」と「すいせい」の名は
連日耳にしたなぁ(懐古)
相模原市内にて

そんな市街地を歩いてみて、JAXAの正門前に到着。
ここから先は宇宙…とは言い過ぎですが、先進技術の“秘密基地”です。
JAXA正門

大きく掲げられた看板には
堂々とした「特別公開」の文字。
おぉー!特別!!特別ですよ!!! 
入って良いんですよね?
今日は中に入って良いんですよね?
JAXA正門

中に入って進んでいくと、はいドーン!
M-3SUロケット
M-3SUロケット

ロケット!実物大模型キター!!
こちらはM-3SUロケット。先程紹介した
「さきがけ」や「すいせい」を打ち上げた機種。
日本で初めて、「人工衛星」ではなく
「惑星間探査機」を打ち上げた名機です。
M-Vロケット
M-Vロケット

そしてこちらにはM-Vロケット。
M-3SIIの後継機、あの小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げました。
白地に赤のラインと文字、なんだか「ウ■トラ警備隊」みたい…。
宇宙への憧れって、得てしてこういうイメージなんでしょうか(笑)
敷地内案内標識

「飛翔体環境試験棟」
「構造機能試験棟」
「風洞実験棟」などなど
マジで秘密基地っぽい!(笑) 
敷地内案内標識

さぁそれでは展示館内に入ってみます!
まずは第1会場の研究・管理棟へ。入ってみるといきなりコレ!!
第20号科学衛星 MUSES-C「はやぶさ」実物大模型
第20号科学衛星 MUSES-C「はやぶさ」実物大模型

小惑星イトカワから微粒子を持ち帰って来た探査機「はやぶさ」の実物大模型。
惑星間航行の動力源となったイオンエンジンの噴射デモを行っている部分のアップです。
2010年に地球へと帰って来て、大気圏に突入し火の玉となった光景、今でも鮮明に覚えてます。
満身創痍になりながら、数々の苦難を乗り越えて帰還を果たした姿は感動的でした。
スゲーよ!スゲーよはやぶさ!!その実物が目の前に!!!

※以下、個人的雑感

「はやぶさ」が小惑星の砂つぶを持って帰って来たからって何になるの?とか思う方も居ると思うんですが
例えば地球上では存在しない新たな物質が見つかったり、生物の起源になり得る組成が発見されたり、
はたまた地球外環境での新知見が得られたりする事で、もしかして「癌の特効薬が作れる」とか
「地球温暖化を食い止める新しい生成物が生産できる」とか、「月や火星への移住が可能になる」とか、
これからの科学技術に大きな発展が望めるかもしれない、ひいては人類の生存に劇的な恩恵が生じるかもしれない訳ですよ。
オイラは「はやぶさ」が地球に帰還して、無事に微粒子カプセルが回収できるかどうかって“人類史にとって重要”な事だと
思ってたんですがね。その帰還の日、2010年6月13日は…同時刻にサッカーのワールドカップがグループリーグ試合中。
と言う事で、日本のTV局はどこもかしこもその試合ばかりを採り上げて、「はやぶさ」の話題は全く眼中に無し。
あのさぁ、敢えて言わせてもらうけど
たかが「ボールを蹴っ飛ばす遊び」と「人類の存亡に関わる快挙」の
どっちが重要だと思ってるんだい!!!!!
 (▼▼メ

サッカーファンからは「ふざけるな!」「サッカーだって国の命運がかかってる」と怒られそうだけど、でも正直
「はやぶさ」帰還の重要性って間違いなくサッカーの勝ち負けより圧倒的に上だと思うんだよなぁ…。
サッカー中継するTV局「も」あって良いけど、「はやぶさ」の解説をするTV局「だって」あって良かった筈なんだがなぁ…。
サッカーが終わった後になってから、ようやく世の中「はやぶさ」ブームに沸いたけど、
あの日、サッカーにばかり興じた連中は…仮に「イトカワの微粒子から完成した癌の特効薬」が出来ても使う資格は無いぞー!!!(怒)



えーっと、話が脱線したので元に戻すとw
月球儀
月球儀

地球の模型が地球儀なら、月の模型が月球儀。
月は公転周期(地球の回りを1周する時間)と自転周期(月自体が地軸を中心に回転する時間)が
完全に一致しているので、地球には常に同じ面しか見せませんが、この月球儀なら
簡単に裏面を覗き見する事が出来ます。この写真も、普段地球からは見られない角度です(笑)
月面探査車模型
月面探査車模型

当時、JAXAで研究開発中だった月面探査車の模型。
これが改良されていき、ispace社の月面探査車に進化し
この頁を編集中の時点では、2024年の冬に打ち上げ予定…なんだとか。
砂地でも確実に地表をキャッチする車輪や太陽光パネルなど、如何にも月面車ですなぁ。
H-2Aロケット構造模型/月周回衛星 SELENE「かぐや」模型
H-2Aロケット構造模型/月周回衛星 SELENE「かぐや」模型

ニュースでもよく名前を聞くH-2(シリーズ)は日本の主力ロケット。
(将来的にはH-3になりますが、現状でH-3は初回打ち上げ失敗で終わっていますので)
そのロケットにどのようにして衛星が収納されているかを示した切断模型ですね。
H-2Aの足下に置かれているのが月周回衛星「かぐや」の10分の1模型。
2007年に打ち上げられ、2009年に月面へ制御落下させるまで月の周回軌道を回り
さまざまなデータを収集した観測衛星です。もちろん、「かぐや」を打ち上げたのもH-2A。

他にも色々な展示があり、研究・管理棟1階を一通り見てから再びエントランスフロアへ戻って参りました。
改めて、間近に「はやぶさ」を眺めてみますと…
「はやぶさ」サンプラーホーン・回収カプセル付近
「はやぶさ」サンプラーホーン・回収カプセル付近

「はやぶさ」機体から手前下に突き出している筒のような部分が
小惑星イトカワの地表面に突き刺さるような感じで着地し
星の組成物を回収する部品「サンプラーホーン」。
その上にある金色の中華鍋のような部品(笑)が、
回収した組成物を地球へ投下するカプセルです。
それにしても、こうして目の前で見ると
宇宙探査機って結構デカいのね…(感嘆)
「はやぶさ」全体の姿
「はやぶさ」全体の姿

上のフロアから全体像を捉えるとこんな感じ。
太陽光パネルまで含めると、かなりの大きさです。
中心にある通信アンテナが特徴的…ですが、
後継機「はやぶさ2」ではこの通信アンテナも2つ積むように変更。
トラブル続きだった「はやぶさ」は、それでも機材を予備系統まで
必ず用意していた為、最終的な成功を達成しました。なので、「2」は
肝心の通信アンテナも、種類を変えて2つ搭載したそうですよ。

太陽観測衛星 SOLAR-B「ひので」模型

一方こちらは太陽観測衛星「ひので」の模型。
ほぼ望遠鏡といった躯体をした太陽観測衛星「ひので」は
可視光・極紫外線・X線といった波長帯で太陽を観測し
コロナやフレアの状態などを地球に報じている。
この衛星のおかげで太陽磁場の悪影響をいち早く判断し
地球上や宇宙ステーションでの被害を軽減する“宇宙天気予報”が
できるようになりました。だからね、宇宙観測をナメちゃいけないのよ。
サッカー中継なんかよりよっぽど(以下、自主規制)
太陽観測衛星 SOLAR-B「ひので」模型
人工オーロラの実験

太陽磁場の大爆発によって起きるのがオーロラ。
簡単に言えば、太陽から大量の磁力が地球に降り注ぐと
極地の大気と反応して発光すると言う現象です。
幻想的な光が夜空を覆う姿は誰しも見た事があるでしょう。
実はその状況は人為的に作り出す事が可能。それがコレ。
ガラス管の中に電気を通すと、紫色に光るという実験です。
さすがJAXA、高電圧実験なんか軽々とやってのけます(爆)
人工オーロラの実験

さて、如何にも“先端科学技術!”的な展示をやっているかと思えば、こんなコーナーも♪
折り紙で人工衛星

お子様用に、折り紙コーナーも! 
小さな人工衛星を作って
こんな風に飾ってました。
なごむ〜★ (^-^)
折り紙で人工衛星★

折り紙、と言えば…
小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」模型
小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」模型

太陽からの光(エネルギー照射)にはごく僅かですが物質を押す作用があるそうで
それを帆船の帆のように受ければ、ロケットの噴射など行わなくとも推進力を得られます。
と言う理論を実証すべく、打ち上げられた実験機がこちらの「IKAROS(イカロス)」。
14m四方の帆を宇宙空間で展張させ、その推進力を得る構造ですが、当然ながら
打ち上げロケットに積むにはこの帆を畳んでおかないといけない。即ち、折り紙のように
この帆を出来るだけ小さくしまい込み、宇宙に出た所で柔軟に開くような折り方が研究された訳で、
実際に折り紙を使って何通りもの展張パターンが考えられたとか。また、IKAROSに限らず
人工衛星の太陽電池パネルを展開させるには、同様な考察がされるそうです。
“たかが子供の遊び”“古い時代の遊戯”と思われるような折り紙遊びですが
今や先進科学と密接に関わる重要なファクターになっているんですね。深い…。
そんな研究・管理棟の中には
「IKAROS」研究室のプレート
「IKAROS」研究室のプレート

研究室の室名標。
おぉー!何だかこれだけでも十分恰好良い!!(憧)

その一方、当時はこんな展示品も…
第26号科学衛星 ASTRO-H模型

第2会場(新研究・管理棟)に展示されていた、
当時はまだ計画段階だったX線天文衛星「ASTRO-H」の模型。
後に打ち上げられ、「ひとみ」と名付けられ
軌道には乗ったものの、姿勢制御系統が暴走し
宇宙空間で分解してしまった、悲劇の衛星です。
打ち上げから破壊まで約1ヶ月。短命に終わりました。
この頃はまだ開発中だったので、希望に満ちていたんですが
その後の運命を考えると、泣けてきますねぇ… (T-T)
第26号科学衛星 ASTRO-H模型

一旦、外に出てみると中庭にこんな物が
探査ロボットの模式模型
探査ロボットの模式模型

探査ロボット…ですが、ロボットそのものではなく
「こんな感じで動くんだよ」と言うタイニー模型。
良く見て下さい。
この車輪、カップ麺のどんぶりで出来てますからwww

特殊実験棟
特殊実験棟

って言う名前だけでワクワクしてきます!(笑)
こちらは第3会場になってました。
が、展示内容は高度すぎて良く分からず(爆)

飛翔体環境試験棟

続いてやって来たのは第4会場の飛翔体環境試験棟。
やたらと高い天井、何となく秘密基地のハンガーっぽい。
この奥に格納されているのはサン■ーバード◎号か、
それとも98式AVイングラ△か…いや、そうじゃなくてw
飛翔体環境試験棟
実験実演中!
実験実演中!

そのハンガーの中では、子供にも分かり易い実験を実演されてました。
中高年にはちょっと懐かしい光景、液体水素でバラを凍らせております。
(昔ね、そういうテレビCMがあったのよ。バナナも凍らせて金槌のように釘を打つって…)
これ、宇宙空間での温度を実感するための実験。無重力、そして真空にして
寒ければ-100℃以下、暑ければ逆に100℃を越える過酷な環境の中で
どんな構造や素材を使えば、人工衛星が正常に作動し続けるかというお話。
基本的に金属を多用する人工衛星ですが、そんな温度差があると
当然ながら金属は収縮や破断あるいは溶解する可能性がある訳で。
それをどうやって回避するか、どれだけの予測が必要かという…なるほどね〜!
「アンテナ」展示

そんな飛翔体環境試験棟では、探査機に取り付けられた
アンテナに関するあれこれも展示されていました。
こちらは第24号科学衛星 PLANET-Cこと
金星探査機「あかつき」に取り付けられた
送信用高利得アンテナ。
「アンテナ」展示
「はやぶさ2」電気試験モデル

何で飛翔体環境試験棟でアンテナ紹介がされていたかと言えば、
この建物には「電波無響室」があるから。何それ?と言う感じですが
詠んで字の如く、電波が反射しない特別な実験室。これにより、
探査機が宇宙空間でどのように電波の送受信を行うか、
向きや角度でどのような影響があるかを調べられる訳です。
その無響室に置かれていたのが、「はやぶさ2」の電気試験モデル!
初代「はやぶさ」に続いて小惑星からのサンプルリターンを成し遂げた
「はやぶさ2」ですが、この当時はまだ計画段階。打ち上げに向けて
様々な試験を行っていた真っ最中でして、このモデルもその一環。
ちなみに、写真の左端にたくさん写っている三角形のトンガリが
電波の反響を吸収する特殊な構造物です。
「はやぶさ2」電気試験モデル

お次にやって来たのは第5会場の構造機能試験棟。
ここには“ちょっと未来の”探査技術が展示されておりまして…
火星飛行機

火星用の飛行機!
当然、これを実際に飛ばせるとなると
火星に到達する事が大前提となります。
それが実現するのは、果たして何年後の事か…?
火星飛行機
臼田アンテナ模型
臼田アンテナ模型

火星まで行くにしろ、宇宙探査を行うには
探査機を制御する通信手段が必須。その電波を送受信して
深宇宙を観察する施設が、長野県にある臼田宇宙空間観測所。
そこには直径64mにもなる巨大パラボラアンテナがあるのですが
こちらはそのミニチュアです。模型と言っても大きい…。
そしてそのアンテナを動かす事も出来るので、なかなか楽しい(笑)
再使用機体RVT-9
再使用機体RVT-9

宇宙開発のネックの1つが、機材が“使い捨て”でコストがかかる事。
スペースシャトル(引退しましたが)のように、地球へ帰還して
機体を再利用できれば、それは軽減される筈です。JAXAでもそれを考慮し
再使用できる有人カプセルを研究していて、こちらはそのシリーズの中の1つ。
実際に宇宙までは行っていないようですが、貴重な研究資材ですよね。
さり気なくぬいぐるみなんか飾っていて、可愛らしいw
ペンシルロケット
ペンシルロケット

1950年代〜1960年代の「宇宙黎明期」、米ソや各国が開発研究を急速に進める中、
“敗戦国”であった日本は、そうした技術開発に大幅な制限が課されておりました。
しかし、将来日本でも必ず宇宙技術が必要になると考えた当時の諸先生方が
限られた条件の中、作り上げたのがこのロケット。
これ、縮尺モデルではなく「実寸大の」ロケット。まるで鉛筆のようだという事で
その名も「ペンシルロケット」です。先人達の“苦労の結晶”…これが現代に繋がる訳で。

最後に訪れたのは第6会場の風洞実験棟。
で、その中は…
風洞実験棟

何とまぁ、随分と雑然とした…もとい、
ここだけはイベントと関係なく普段通りの雰囲気。
様々な機材が所狭しと並び、如何にも「ラボ」という
感じが見て取れます。やっぱり科学って
こういう所で生み出されるものなのかな? (^ ^;
風洞実験棟
「はやぶさ」のカプセルや、各種ロケットの機体などはここで空気抵抗等を実証し作られたとか。
どことなく“町工場感”とか“松本零士の漫画”のようにも見え、ちょっと身近にも思えますw

そんな感じで一通り敷地を縦断。普段は縁の遠い(物理的距離も遠い)「宇宙の彼方へ」飛びだす技術が
今日は手の届く所に凝縮されていて、JAXAの研究所を存分に堪能させて頂きました!!! (^ー゚)b 満足♪
M-3SUロケット
最後にもう一度、M-3SUロケットをじっくり眺めて研究所を後にします。楽しかった〜★
(あれ?子供より大人の方が喜んでる…w)



◆◇◆ 星の街 遠き夜空に 想い馳す その第一歩は 身近な所に ◆◇◆




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